2018.10.06 Saturday

【東京店】東京店にて10月6日から − 生誕110年 − 野田英夫展 がスタートします。

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    JUGEMテーマ:展覧会

     

    みぞえ画廊のコンセプト:「流行や時代に左右されない、上質な作品、作家を提供」をもとにセレクトされた取扱作家から毎週一作家をご紹介します。

     

    今回は、第11回でご紹介した野田英夫(1908年〜1939年)になります。東京店にて10月6日から − 生誕110年 − 野田英夫展 がスタートします。

     

    東京店内展示風景 ドローイングを中心とした貴重な作品27点を展示   

     

     

     

     

     

    野田英夫については第11回でくわしく記していますので、画廊に作品を展示して、また、この展覧会のために年譜を編集制作したなかで、感じたことを書きます。

    年譜の編集作業は一般的なケースでは画業80年ほどの長きにわたるその画家の人生を俯瞰することができますが、野田英夫の場合は、悲しいほど短いものです。まさに「夭折の画家」。ただし、その1年1年を細かくみていくと濃密な時間を疾走していったことがわかります。

     

    いくつかの重要な出会いがあります。1926年18歳でピードモント・ハイスクールに入学し、美術クラブに所属。そこで美術学部教師のリリアン・ゾネシャイン先生に出会い、油彩画を学びます。野田の才能を感じとったのか野田が卒業後もこの先生は応援してくれました。それが1937年(29歳)の母校ピードモント・ハイスクールでの壁画制作です。貧しかった野田のために200ドル(現在の100万円程度に相当)で依頼、1ヶ月がかりで『学園生活』を完成させました。(この壁画は、その後、1979年ゆかりのある熊本県立美術館に収蔵され、その売買代金は母校ピードモント・ハイスクールで野田基金となったそうです)。

     

    カリフォルニア・ファイン・アーツに進学した23歳の時、画家のディエゴ・リベラに出会い、壁画について学びます。野田にとって「壁画」は重要なキーワードとなっていきます。ニューヨークから教えに来たアーノルド・ブランチ教授との出会いも重要です。このブランチの勧めと援助もあり、その後、ニューヨークに行き、ブランチが教えるアート・ステューデント・リーグの夏期講座を受講します。ニューヨークでは、多くの知識人、アーティストと交流することになり、活動の幅が大きくなります。1933年(25歳)の時、ロックフェラー・センターで大壁画を制作中のリベラと再会し、ここで、ベン・シャーン、ジャクソン・ポロックらと助手を務め、リベラから「壁画的構図の造形法とその思想」を学びます。野田の代表的な油彩作品(活動期間が短いので点数が少ない)は、今日、東京国立近代美術館や横浜美術館、熊本県立美術館に収蔵されていますが、野田作品の真骨頂は、まさにこの「壁画的構図」の作品といえると感じました。いくつもの要素が画面上に描かれた非常に質の高い作品です。

     

    これは、本展 展示作品の 『壁画エスキース』 

     

    このように、野田にとって「壁画」は重要な要素となり、この後、いくつか独自の壁画制作を展開します。

    ・1934年(26歳)シビックセンター(ニューヨーク)内に壁画『移民』を制作

    ・1936年(28歳)西銀座7丁目のバー「コットン・クラブ」に壁画を制作(戦災で焼失)

    ・1936年(28歳)赤坂2丁目の飲食店「フロリダ・キッチン」にテンペラ壁画を制作(戦災で焼失)

     

    戦災で焼失していなければ、今でも都内で野田の壁画を実見できたかもしれません。いや、壁画という媒体である以上、建物と一緒に消滅してゆく運命のものがほとんどであるのも事実です。そういった意味では、「キャンバスの油彩作品」は、美術館に収蔵されれば半永久的に保存されていくだろうと思われますので、感慨深いものがあります。

     

    長くなりましたが、本展では、作品数の少ない夭折の画家、野田英夫の貴重な作品群27点を生誕110年記念のこの機会に、ご紹介するものです。ぜひ、野田英夫年譜を細かくご覧になり、30年という短い画業を振り返りながら、作品をご高覧いただけましたら幸いです。(ym)

     

    2018.09.30 Sunday

    神戸アートマルシェ2018に出展しました!

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      アニバーサリーイヤーとなった神戸アートマルシェ2018に出展してまいりました!

       

      神戸アートマルシェ

       

      あいにくの台風直撃となってしまいましたが、東京から駆けつけるお客様もいたりと、フェア10年目の貫禄を感じました。

       

      みぞえ画廊からは、2015年ぶりの三人展となりました。

       

      神戸アートマルシェ

       

      弓手研平(ゆんでけんぺい)
      全てのモチーフが「土」の上に存在すると言うコンセプトから、一年がかりで、キャンバスに塗り重ねては削ってをくり返し、重厚かつ透明感のあるマチエールで描く油彩画が特徴。対照的に、全て取材現場で描かれると言うドローイングは、即興的なスピード感の中にも作家の息遣いと現場の臨場感が感じられます。今回は大阪の風景を描いた作品も並び、「あの場所が作家の人からはこんな風に見えてるのね」と驚かれました。安定の人気です!


       

      神戸アートマルシェ

       

      永武(えいたけし)
      作家の空想の世界から生まれてくる哀愁を帯びた人物画と、静謐かつ生命力に満ちた冬瓜、流木や身近な廃材から生まれた遊び心溢れるオブジェ達、独自の手法による一点物の版画作品を展示しました。ハマると中毒性のある永武の世界に魅了された方々が、今年もお気に入りの作品を見つけてお持ち帰りになりました。

       

      神戸アートマルシェ

       

      城ヶ悟(じょうがさきさとる)
      日常の何気ないひと時を、ユーモアと情緒豊かに切り取る作品で、無垢な造形と、砂のようにざらざらとしたマチエールで描かれた油彩画は、「かわいい!」と癒される人が続出!ご成約となった作品は納品を待つばかりです。

       

      天候は厳しいものでしたが、真にアートが好きな方々が集結した内容の濃いアートフェアとなりました。ご来場いただいた方々には、厚く御礼申し上げます!

      来年もお会いできますことを心よりお祈り申し上げます。

      2018.09.29 Saturday

      【東京店】取扱作家から毎週一作家1点ご紹介。 第11回は、野田英夫(1908年〜1939年)

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        JUGEMテーマ:展覧会

         

        みぞえ画廊のコンセプト:「流行や時代に左右されない、上質な作品、作家を提供」をもとに

        セレクトされた取扱作家から毎週一作家、1点ご紹介します。

         

        11回は、野田英夫(1908年〜1939年) 

         

         

        『スコッツボロ・ボーイズ 』 1933年  グワッシュ  290x416mm

         

        出稼ぎ日系移民の子として北米カリフォルニア州で生まれました。生活苦も理由のひとつですが、義務教育を日本で受けさせたいという親心もあり、1911年3歳の英夫は姉と共に熊本で歯科医をしていた叔父に預けられます。親の顔を満足に知らず、移民生活に追われる両親からは手紙も届かず、孤独な幼年期、少年期を送りました。

         

        英夫は小学校の頃から絵の道を志していたようです。教科書の余白に落書きのような無数のカットを描き、叔父に隠れて屋根裏でデッサンや水彩画を練習するほどで、中学を卒業した1926年、単身渡米を決意します。生活費の半分は叔父が仕送りする、半分は独力で生きろという条件でした。英夫はいわゆる日系二世ではなく、日本で教育を受けて再入国した特殊な日系人で帰米二世と呼ばれ、人種差別・偏見の目でみられることもありました。

         

        住み込み家事手伝いや皿洗いの仕事をしながら、カリフォルニア州オークランドにあるピードモント・ハイスクールに通います。英夫の持つナイーヴな感受性と、人を惹きつける明るい天真爛漫な性格は教師にも愛されました。さらにカリフォルニア美術専門学校にすすみ、終生の友となる寺田竹雄と出会い、一緒に住みはじめます。貧乏生活でしたが互いにライバルとして闘志を燃やしました。アーノルド・ブランチ教授の招きで1931年ニューヨークのアート・スチューデント・リーグに移り、ルース・シェイファーと結婚、制作生活は充実したものになっていきました。その頃確固たる画壇的地位を築いていた国吉康雄らの影響も受けながら、勉強に励んで様々な賞を受賞しました。

         

        【スコッツボロ・ボーイズ】  1931年にアラバマ州で起きた、黒人少年9人が白人女性2人を暴行したとして逮捕された冤罪事件。アメリカの人種差別問題を反映した事件として世論を騒がせた。野田英夫は、日系画家として迫害と排斥にさらされてきた自らの境遇に黒人少年たちを重ね、アメリカ社会を痛切に批判した。本作品は2020年にホイットニー美術館(ニューヨーク)で開催される「Mexican Muralism and Art in the United States, 1920-1950」(アメリカにおけるメキシコ壁画運動と美術)で展示される予定である。

         

        野田英夫が描いた『スコッツボロ・ボーイズ』には、左手に主犯格だったといわれる少年、黒衣の尼僧、紳士たち、新聞紙を敷いて眠る男たち、どんよりした曇り空。しかし、画面の奥に明るい海の色が見えます。黒人たちが持つ運命は、迫害と排斥に晒されてきた英夫自身と重なり、それでも強く生きてきた英夫の、黒人たちへの激励のメッセージのように見えます。

        参考資料:窪島誠一郎著「野田英夫スケッチブック」

         

        東京店にて「野田英夫展」を開催いたします。

        会期:10月6日(土)〜10月21日(日)  10:00〜18:00  会期中無休

         

        1930年代の経済恐慌に見舞われたアメリカの、都会で生きる庶民の生活に目を向け、その哀歓を優しく見つめる画風を展開した野田英夫。'33年にはディエゴ・リベラの助手としてベン・シャーン、ジャクソン・ポロックらとともにロックフェラーセンター壁画制作にも加わるなど、その30年という短い生涯を駆け抜けました。本展では素描を中心に27点を展示いたします。どうぞご覧ください。

         

        https://mizoe-gallery.com/products/detail/1832

        2018.09.24 Monday

        【福岡店】 弓手研平展−土の上に在る幸せ−

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          みぞえ画廊福岡店では、本日が弓手研平展最終日となります。

          エントランス前には大きな「月と林檎の木」の懸垂幕を飾っております。

           

          弓手研平展8

           

          弓手研平展2

           

          弓手研平展1

           

          弓手研平展3

           

          今回の個展の注目作「仁王阿行」「仁王吽行」(連作)は昨日、ついに売約が決まりました。

          「如意輪観音とんど焼図」を残して、いよいよ旅立ちの時です。

           

          弓手研平展4

           

          弓手研平展10時

           

          弓手研平展8

           

          2階はドローイング作品を展示しております。

          「マルタ島・ヴァレッタの午後(左)」や「ヴェネツィア(右)」は陽気な色彩が特徴的で、

          「阪急電車淀川十三鉄橋(右から2番目)」「大和郡山城石垣(1番右)」などは関西エリアの景色を

          独特のタッチで表現し、昔なつかしい雰囲気を醸し出しています。

           

          弓手研平展7

           

          2018年9月28日[金]〜9月30日[日]に神戸メリケンパークオリエンタルホテル13階で開催される

          神戸アートマルシェにも弓手研平作品を出品する予定です。

          1326号室のみぞえ画廊ブースで、お客様のお越しをお待ちしております。

           

          2018.09.17 Monday

          【福岡店】 弓手研平展 ライブドローイングとギャラリートークを開催しました

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            ただいま「弓手研平展〜土の上に在る幸せ〜」開催中のみぞえ画廊福岡店です。

            9月16日(日)〜9月18日(火)の3日間は、奈良より弓手研平氏が在廊しております。

             

            1日目は14時よりライブドローイングを行いました。

            弓手氏の色彩豊かな絵画の世界を、目の前で楽しんでいただきました。

             

            ライブドローイング01

             

            ライブドローイング02

             

            ライブドローイング03

             

            完成したドローイングはこちらです!

            みぞえ画廊そのものを俯瞰の構図で描かれています。次々にいらしたお客様が弓手氏の手により絵の中へ登場していきました。

             

            2日目は、ギャラリートークを行いました。

            講演者は弓手研平氏と映画監督の塩崎祥平氏のお2人です。弓手作品が多数登場する映画「かぞくわり」の紹介動画も公開していただきました。

             

            会場の様子

             

            ギャラリートーク01

             

            ギャラリートーク03

             

            ​​講演者2人

             

            塩崎氏は映画「かぞくわり」制作への想いを、弓手氏は制作現場のエピソードなどを語られていました。映画の中で弓手研平氏の作品が多数登場します。大切なシーンで絵を破らねばならず、コピーではなく、弓手氏の本物の絵を使ったそうです。

             

            ギャラリートーク02

             

            ギャラリートークはお2人とも奈良のご出身ということもあって、関西のお方らしいユーモアあるお話しで会場は笑いもあり、終始やわらかい空気に包まれました。ご参加いただいたみなさま、奈良よりお越しいただいた講演者の弓手氏と塩崎氏もみぞえ画廊へお越しいただきありがとうございました。個展は9月24日(日)まで開催いたしますので、引き続きお客様のご来廊をお待ちしております。

             

             

            2018.09.14 Friday

            【東京店】9月15日から 平野 遼展 − 始まりと終わり− がスタートします。

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              JUGEMテーマ:展覧会

               

              みぞえ画廊のコンセプト:「流行や時代に左右されない、上質な作品、作家を提供」をもとにセレクトされた取扱作家から毎週一作家をご紹介します。

               

              今回は、第9回でご紹介した平野遼(1927年〜1992年)になります。東京店にて915日から平野 遼展 始まりと終わり− がスタートします。

               

               

              東京店内和室展示風景(通称、平野ルーム。和室奥に腰掛けたり、畳に座って鑑賞できます)     

               

              平野遼は1927年大分県に生まれ、独学で描くことをはじめます。1949年(22歳)の時に蝋画(ドイツ語でEnkaustik 美術史上最古の絵画技法のひとつ。着色した蜜蝋を熱で溶かしながら描く。現代ではジャスパー・ジョーンズがこの手法で制作した作品がある)という手法で描き、注目されます。本展にも初期の貴重な数点を展示しています。これが「始まり」の部分になります。

               

              自身の独自表現を模索した初期から、自己の内面を抽象的表現の中に見出した晩年。1987年にその画業を総括する「平野遼の世界展」が北九州市立美術館で開催されますが、その5年後、1992年(65歳)に平野遼は亡くなります。本展のもうひとつのテーマ「終わり」の作品群として1980年代に描かれた80100号の大作を初展示しています。この作品群は、平野遼に近い方が長年倉庫に保管していたものを、当画廊がまとめて入手しました。保存状態が芳しくなく人目にふれず眠っていた大作群が、長期修復作業からもどり、今回の初展示となりました。

               

              晩年の大作6点を、当画廊の和室に相対するかたちで展示し、あたかも川村記念美術館の「ロスコ・ルーム」を想起させるインスタレーションになっています。和室の畳に座ってじっくり体感することをおすすめします。展示してみてギャラリストとして気が付くことがあると、あらためて実感した今回の展示作業でした。

               

              【平尾 遼 展 - 始まりと終わり - 】9月15日(土)〜30日(日)東京店にて開催いたします。

              一貫して人間、特に自己の内面、心の闇と光を描き続け「魂の画家」と呼ばれた洋画家平野。自身の表現を模索し続けた画家の黎明期、具象的表現の中に人間の闇を描いた成熟期を経、抽象的表現で「闇」の中の「光」、「宇宙」の中の「生命」を求め、内発する感情をぶつけるかの様に描いた晩年の作品群。本展では、1950年代以前の作品と、’80年代以降の作品に焦点を当て、知られざる画家の実像に迫ります。(ym)

              2018.09.10 Monday

              【福岡店】 豊福知徳ギャラリーがOPENいたしました!

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                豊福知徳ギャラリー1

                 

                豊福知徳ギャラリー3

                 

                豊福知徳ギャラリー2

                 

                 

                2018年8月31日、新たに豊福知徳ギャラリーがOPENいたしました!

                 

                福岡出身の世界的な彫刻家として名高い豊福知徳氏の功績を顕彰するべく、

                氏の作品を専門的に取り扱うギャラリーとなります。

                ここでは、氏の代表作を常時ご堪能いただけます。

                博物館などの文化施設ともほど近く、散歩がてら是非お立ち寄りください。

                 

                OPENを記念して、ファンの方々や関係者のみなさまをお招きし

                17:00よりレセプションパーティを開催いたしました。

                 

                豊福知徳ギャラリー5

                 

                豊福知徳ギャラリー6

                 

                豊福知徳ギャラリー4

                 

                夜も深くなると展示がライトアップされ、

                格調高い独自の雰囲気をガラス越しにお楽しみいただけます。

                彫刻と合わせて、氏の貴重なデッサンやドローイング作品なども展示しております。

                この機会にぜひ、お立ち寄りください。

                 

                 

                *また、当ギャラリーのOPENに際しまして、

                ご協力いただいた豊福知徳財団のみなさま、事務局のみなさま、

                作品の提供をしていただいたみなさま、

                施工ならびに関係者のみなさま、

                そして豊福知徳ファンのみなさま、

                ご支援をたまわり誠にありがとうございました。

                今後とも、みぞえ画廊をよろしくお願い申し上げます。

                 

                 

                豊福知徳ギャラリー

                〒814-0001 福岡県福岡市早良区百道浜4丁目1-1
                092-407-6600
                営業時間 金・土・日・祝日の12:00〜18:00 ※他予約制

                https://www.toyofukutomonori.com/

                2018.09.07 Friday

                【東京店】取扱作家から毎週一作家1点ずつご紹介。 第10回は、牛島 憲之(1900年〜1997年)

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                  JUGEMテーマ:美術鑑賞

                   

                  みぞえ画廊のコンセプト:「流行や時代に左右されない、上質な作品、作家を提供」をもとに

                  セレクトされた取扱作家から毎週一作家、1点ご紹介します。

                   

                  第10回は、牛島 憲之(1900年〜1997年) 

                   

                  『朝 凪(天草)』 油彩M6号

                   

                  熊本の裕福な地主の息子に生まれ、昭和29年東京芸術大学講師になるまで、勤め人になったことがありませんでした。昭和40年に芸大教授に就任。日展に入選後も絵を売らず、華やかな場に参列することも少なく、「画家とは名誉ではなく描き続けることである。絵の具とカンバスと、雨風しのげて目と手があれば、絵は描ける」という信念を貫きました。

                  「私は水のある風景を眺めるのが好きである。それも激流ではなく、ゆるやかな流れや沼などを見ると、気分が落ちつくようである」熊本市郊外の家のすぐ裏に、ゆったりとした流れの坪井川があり、上京してからも「一銭蒸気に乗って隅田川をさかのぼり… 今と違って水はきれいだし、沿岸の風物も趣があって、実にいい気分のものだった」(牛島憲之素描集 朝日新聞社)と語っています。

                   

                  忠実に自然を写すということに終始しました。歩き回って絵のモチーフを見つけると、とことん風景を見つめ続けて「紙に穴があくほど、すっかり腹に入るまで描いた」スケッチを持ち帰ります。徹底した写生に基づいて、必要なものだけを残してあとは捨てる、アトリエでの試行錯誤の末に油彩画が生み出されました。

                   

                  静謐で穏やかな色彩、詩情、軽やかさと優美さ、非日常的ではあるがリアルな存在感… 

                  牛島憲之の作品は様々な言葉で語られます。

                   

                  故郷熊本の美しい風景を描いた牛島憲之の『朝凪(天草)』は、東京店にて展示・販売中です。

                  ぜひ、ご覧ください。

                  https://mizoe-gallery.com/products/detail/797

                   

                  府中によくスケッチに出かけた縁から、遺族は平成10年、府中市美術館におよそ100点の牛島憲之作品を寄贈、牛島憲之記念館が創設されました。

                   

                  2018.08.31 Friday

                  【東京店】取扱作家から毎週一作家1点ずつご紹介。 第9回は、平野遼(1927年〜1992年)

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                    JUGEMテーマ:美術鑑賞

                    JUGEMテーマ:展覧会

                     

                    みぞえ画廊のコンセプト:「流行や時代に左右されない、上質な作品、作家を提供」をもとに

                    セレクトされた取扱作家から毎週一作家、今回は2点ご紹介します。

                     

                        

                     

                    『自画像』M20号                 『自我像』F20

                     

                    平野遼はアトリエでバッハの「マタイ受難曲」を好んで聴いていました。3歳で母を、13歳で父を亡くし、晩年失明したことなど、バッハと自分の生涯を重ねあわせて聴いていたのではと想像されます。20歳の頃、孤独と貧しさと闘いながら画家への道を歩み始めます。昭和24年、キャンバスも買えないほどの貧しさからひらめいた手法の蝋画『やまびこ』を新制作派展に出品して入選しました。作品にほれ込んだ周囲の人々の支えもあり、その後も独学で清貧に甘んじて画業一筋に打ち込みます。初期には写実的具象画を描いていましたが、昭和30年代 (1955〜) に抽象的作風へと移り、画廊での個展も増えていきます。昭和32年、滝口修造との出会いがあり、抽象では厳しい批評を書くことで知られる滝口から認められたことが、画家としての確信につながりました。

                     

                    「物体のその奥にあるものを見なければならない。ものの奥に真の姿が見える」「風物を凝視したり音楽を聴いていても、突如として意識の底からせり上がってくる言葉に、何かをささやきかけられる… それと対峙するうちに、私が描く造形が少しずつ異相をもって膨らんでくる」と平野は語っています。晩年は海外への旅も多く、デフォルメされた人体像によるシュールレアリスム風の作風へと変わっていきました。

                     

                    平野にとって画業の節目節目に描く『自画像』は「実体のない抽象はない」という絵画理念を確かめ、挑戦するひとつのモチーフであったのであろう(「評伝 平野遼」秋山敬著)と書かれています。

                     

                    【平尾 遼 展 - 始まりと終わり - 】9月15日(土)〜30日(日)東京店にて開催いたします。

                    一貫して人間、特に自己の内面、心の闇と光を描き続け「魂の画家」と呼ばれた洋画家平野。自身の表現を模索し続けた画家の黎明期、具象的表現の中に人間の闇を描いた成熟期を経、抽象的表現で「闇」の中の「光」、「宇宙」の中の「生命」を求め、内発する感情をぶつけるかの様に描いた晩年の作品群。本展では、1950年代以前の作品と、’80年代以降の作品に焦点を当て、知られざる画家の実像に迫ります。

                    https://mizoe-gallery.com/products/list?category_id=52

                    2018.08.24 Friday

                    【東京店】取扱作家から毎週一作家1点ずつご紹介。 第8回は、望月 菊磨(1945年〜  )

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                      みぞえ画廊のコンセプト:「流行や時代に左右されない、上質な作品、作家を提供」をもとにセレクトされた取扱作家から毎週一作家、1点ご紹介します。

                      今回も今まさに活躍中の現代作家を取り上げます。

                       

                      第8回は、望月 菊磨(1945年〜  ) 

                      『球形の地平シリーズ‘03-検擔随、ブロンズ、木 30x30x56cm

                       

                      「福岡から上京して、武蔵野美術大学の新設2年目の建設学科を受験したら合格。デザイナーから建築家になろうと思いました。でも、せっかく勉強したのだから、芸大の最も倍率の高い工芸デザイン科を受験したら、受かってしまいました」というのが芸術の道を志した望月菊磨のスタートでした。固い金属を熱で柔らかくして造形する、面白そうだと鍛金科に進みます。

                       

                      『破壊シリーズ』では、色々な金属素材を破壊すること、叩く、穴を開ける、削る、ねじ切るなどの試行錯誤を重ね、真鍮の板を引っ張ってみたところ最後に、美しさを伴った破壊のかたち、究極のイメージが形として見えてきます。その後、室内発表作品から、野外での大作へと創作活動は広がっていきました。

                       

                      『破壊シリーズ』は削ぎ落とす作業でしたが、逆に数種の素材を組み合わせる、接合するという複合的なイメージで出来上がっていったのが『喚起装置シリーズ』で、これは今も続いています。

                      さらに『球体の地平シリーズ』、『Metal Drawingシリーズ』、自然と一体になる『共生シリーズ』、『時の庭シリーズ』などが続きます。

                       

                      「50年作家として生きてきて、今あらためて何のために生きているのか、何を表現したいのか、自己否定せず、これからも変化を恐れず、自分で変革していくしかないと思う」と語り、望月菊磨は意欲的に創作を続けています。

                       

                      作品は、愛知県芸術文化センター、彩の国さいたま芸術劇場、いわき市立美術館、地下鉄福岡空港駅、博多の森陸上競技場、霞が関ビル、東芝本社ビル、真言宗豊山派安養院などに設置されています。

                       

                      望月菊磨『球形の地平シリーズ‘03-は東京店にて展示・販売中です。ぜひ、ご覧ください。

                      https://mizoe-gallery.com/products/list?category_id=212&name=%E6%9C%9B%E6%9C%88%E8%8F%8A%E9%BA%BF

                      JUGEMテーマ:美術鑑賞

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