2018.10.20 Saturday

【東京店】取扱作家から毎週一作家1点ずつご紹介。 第16回は、駒井哲郎( 1920年〜1976年 )

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    JUGEMテーマ:美術鑑賞

    みぞえ画廊のコンセプト:「流行や時代に左右されない、上質な作品、作家を提供」をもとに

    セレクトされた取扱作家から毎週一作家、1点ご紹介します。

     

    16回は、駒井哲郎( 1920年〜1976年 ) 

     

     

     

    『鳥と果実』 1959 シュガーアクアチント、エッチング 15.0x17.4cm

     

    横浜美術館で10月13日から〈 駒井哲郎−煌く紙上の宇宙 〉と題した展覧会が始まりました。

    駒井作品210点を軸に、交流のあった芸術家など関連作家の作品も80点ほど展示されています。

    駒井はモノクロの銅版画家という印象がありますが、実は色彩豊かな木版画や、大岡信などの詩に挿画を入れた詩画集、舞台美術、実験工房との交流など幅広く制作活動をしていたことが分かります。

     

    駒井哲郎は現在の中央区日本橋に生まれ、慶応義塾幼稚舎から普通部に進学。普通部在学中に小さなパンフレットに載っていたルドンの腐植銅板を見たのが銅版画家になろうと思った直接的な動機で、麹町半蔵門の小さな研究所に通い、エッチングやドライポイント、素描を厳しく仕込まれました。美術学校受験準備のために乃木坂の小林万吾塾に通い、1938年(昭和13年)東京美術学校の油画科に入学。同期の野見山暁治の著書に、銅版画制作に打ち込む駒井哲郎の姿が度々記されています。後の1972年、駒井は東京芸術大学美術学部の教授に就任しました。

     

    芸大を3年半で繰り上げ卒業となり1944年〜1945年、2度にわたり応招。軍隊で殴打されて歯を折り、20代から義歯となりました。戦後も換気設備のない三坪のアトリエで長時間銅版画の腐蝕を続けた結果、酸の吸入に依る中毒と診断され入院したこともあり、生涯義歯不適合に苦しみ続け、やがてこれが舌癌をもたらすことになりました。

     

    1954年4月パリに渡って3日目、長谷川潔と会います。生涯にわたって心から畏敬の念を持ちましたが、圧倒的な版画技法の差に挫折感を味わいます。1955年11月パリを出発して帰国。翌1956年には「自信喪失の記」を書きました。

     

    体調不良ではありましたが、美術雑誌にも取り上げられ、駒井は戦後の画壇に多くの同世代の画家たちに先駆けて颯爽と登場しました。材料入手が困難な時代、磨いた銅板を刻み、腐食させ、プレスするという作業に独力で取り込み、未開の芸術に挑んだパイオニアでした。

     

    1960年8月大岡信は最初の美術評論で「駒井氏の作品は58年から新しい発展の世界に入ったように思え… 最近作の鳥や果実のテーマに到達した。駒井氏が楕円形フォルムに強い関心を示しているのは興味がある。鳥にしても果実にしても、どこか誕生と死を連想させるモチーフだが、駒井氏の楕円は、生命と死の宿る子宮的世界の断面図のような感じをもっていて、とくに最近の傑作「蝕果実」などは、いつまでも見飽きないふしぎな循環性と集中性をひめている。」と語っています。

     

    今日ご紹介する「鳥と果実」は横浜美術館・駒井哲郎展の〈第5章 詩とイメージの競演〉に展示されています。互いに内包しあい、生命の喜びを感じさせる心温まる作品です。

    みぞえ画廊東京店にてぜひご覧いただきたいと思います。

    https://mizoe-gallery.com/products/list?category_id=316

     

    2018.09.07 Friday

    【東京店】取扱作家から毎週一作家1点ずつご紹介。 第10回は、牛島 憲之(1900年〜1997年)

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      JUGEMテーマ:美術鑑賞

       

      みぞえ画廊のコンセプト:「流行や時代に左右されない、上質な作品、作家を提供」をもとに

      セレクトされた取扱作家から毎週一作家、1点ご紹介します。

       

      第10回は、牛島 憲之(1900年〜1997年) 

       

      『朝 凪(天草)』 油彩M6号

       

      熊本の裕福な地主の息子に生まれ、昭和29年東京芸術大学講師になるまで、勤め人になったことがありませんでした。昭和40年に芸大教授に就任。日展に入選後も絵を売らず、華やかな場に参列することも少なく、「画家とは名誉ではなく描き続けることである。絵の具とカンバスと、雨風しのげて目と手があれば、絵は描ける」という信念を貫きました。

      「私は水のある風景を眺めるのが好きである。それも激流ではなく、ゆるやかな流れや沼などを見ると、気分が落ちつくようである」熊本市郊外の家のすぐ裏に、ゆったりとした流れの坪井川があり、上京してからも「一銭蒸気に乗って隅田川をさかのぼり… 今と違って水はきれいだし、沿岸の風物も趣があって、実にいい気分のものだった」(牛島憲之素描集 朝日新聞社)と語っています。

       

      忠実に自然を写すということに終始しました。歩き回って絵のモチーフを見つけると、とことん風景を見つめ続けて「紙に穴があくほど、すっかり腹に入るまで描いた」スケッチを持ち帰ります。徹底した写生に基づいて、必要なものだけを残してあとは捨てる、アトリエでの試行錯誤の末に油彩画が生み出されました。

       

      静謐で穏やかな色彩、詩情、軽やかさと優美さ、非日常的ではあるがリアルな存在感… 

      牛島憲之の作品は様々な言葉で語られます。

       

      故郷熊本の美しい風景を描いた牛島憲之の『朝凪(天草)』は、東京店にて展示・販売中です。

      ぜひ、ご覧ください。

      https://mizoe-gallery.com/products/detail/797

       

      府中によくスケッチに出かけた縁から、遺族は平成10年、府中市美術館におよそ100点の牛島憲之作品を寄贈、牛島憲之記念館が創設されました。

       

      2018.08.24 Friday

      【東京店】取扱作家から毎週一作家1点ずつご紹介。 第8回は、望月 菊磨(1945年〜  )

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        みぞえ画廊のコンセプト:「流行や時代に左右されない、上質な作品、作家を提供」をもとにセレクトされた取扱作家から毎週一作家、1点ご紹介します。

        今回も今まさに活躍中の現代作家を取り上げます。

         

        第8回は、望月 菊磨(1945年〜  ) 

        『球形の地平シリーズ‘03-検擔随、ブロンズ、木 30x30x56cm

         

        「福岡から上京して、武蔵野美術大学の新設2年目の建設学科を受験したら合格。デザイナーから建築家になろうと思いました。でも、せっかく勉強したのだから、芸大の最も倍率の高い工芸デザイン科を受験したら、受かってしまいました」というのが芸術の道を志した望月菊磨のスタートでした。固い金属を熱で柔らかくして造形する、面白そうだと鍛金科に進みます。

         

        『破壊シリーズ』では、色々な金属素材を破壊すること、叩く、穴を開ける、削る、ねじ切るなどの試行錯誤を重ね、真鍮の板を引っ張ってみたところ最後に、美しさを伴った破壊のかたち、究極のイメージが形として見えてきます。その後、室内発表作品から、野外での大作へと創作活動は広がっていきました。

         

        『破壊シリーズ』は削ぎ落とす作業でしたが、逆に数種の素材を組み合わせる、接合するという複合的なイメージで出来上がっていったのが『喚起装置シリーズ』で、これは今も続いています。

        さらに『球体の地平シリーズ』、『Metal Drawingシリーズ』、自然と一体になる『共生シリーズ』、『時の庭シリーズ』などが続きます。

         

        「50年作家として生きてきて、今あらためて何のために生きているのか、何を表現したいのか、自己否定せず、これからも変化を恐れず、自分で変革していくしかないと思う」と語り、望月菊磨は意欲的に創作を続けています。

         

        作品は、愛知県芸術文化センター、彩の国さいたま芸術劇場、いわき市立美術館、地下鉄福岡空港駅、博多の森陸上競技場、霞が関ビル、東芝本社ビル、真言宗豊山派安養院などに設置されています。

         

        望月菊磨『球形の地平シリーズ‘03-は東京店にて展示・販売中です。ぜひ、ご覧ください。

        https://mizoe-gallery.com/products/list?category_id=212&name=%E6%9C%9B%E6%9C%88%E8%8F%8A%E9%BA%BF

        JUGEMテーマ:美術鑑賞

        2018.08.17 Friday

        【東京店】取扱作家から毎週一作家1点ずつご紹介。 第7回は、永 武(1947年〜  )

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          JUGEMテーマ:美術鑑賞

           

          みぞえ画廊のコンセプト:「流行や時代に左右されない、上質な作品、作家を提供」をもとに

          セレクトされた取扱作家から毎週一作家、1点ご紹介します。

          今回も今まさに活躍中の現代作家を取り上げます。

           

          第7回は、永 武(えいたけし 1947年〜  ) 

           

          『どきどきしたいな』 木に油彩・テンペラ 54.5x61.0cm

           

          デザイナーとして広告代理店に勤務していた33歳の時、自身の内面と向き合う芸術の世界へと方向転換し2009年には福岡県糸島市の、鍛冶屋跡を改装したアトリエに活動拠点を移します。

           

          糸島という土地は、朝鮮半島、中国大陸と近く、古来より海のむこうからやって来た人々と交流がある場所で、訪れ、出会い、帰っていく、今もアーティストがやってきて過去から未来へとつながっている地域だと思わせます。

          〈糸島国際芸術祭 糸島芸農〉は糸島内外で活動する多様な専門家が集まり、互いに刺激し合いながら芸術祭を開催し、芸術と地域社会の関係性を発信しています。永武は毎年この芸術祭に参加していますが、今年4月の糸島国際芸術祭では、前原商店街に残る築110年の町屋で「かた隅の肖像 永武作品展」が開催されました)

           

          永武は人物や冬瓜をモチーフに長年描き続けており、この『ドキドキしたいな』は、持ち重りのする厚み3cmほどの木材に、緻密に産毛までみえる冬瓜が描かれています。古典的な技法である顔料と卵を混ぜて描くテンペラ画を中心に制作していますが、モデルを使わずに描いた人物画は、詩情あふれる愁いをたたえた人物を独特の感性で描いています。

           

          「アートは自分を表現するもの。自然物を使うこと」が創作の原点にあり、廃材や海辺の流木、道でふと目にとまった捨てられているモノがアトリエに置かれています。「素材に作らされている」という永武の手によって、命が吹き込まれオブジェになって現れます。ピンクのフジツボを纏った貴婦人、松笠を被ったゴスペラー、魚網を手に遠くを見つめる人、『石になったわ・た・し』と題した岩に覆われた鳥、『月夜のハンター』と題した精悍な動物、空飛ぶサーファー。存在感のある、それはそれは楽しい永武の世界です。

           

          永武『どきどきしたいな』は東京店にて展示・販売中です。ぜひ、ご覧ください。

          https://mizoe-gallery.com/products/list?category_id=84

          2018.08.10 Friday

          【東京店】取扱作家から毎週一作家1点ずつご紹介。 第6回は、小松孝英(1979年〜  )

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            JUGEMテーマ:美術鑑賞

             

            みぞえ画廊のコンセプト:「流行や時代に左右されない、上質な作品、作家を提供」をもとに

            セレクトされた取扱作家から毎週一作家、1点ご紹介します。

            今回は今まさに活躍中の現代作家を取り上げます。

             

            第6回は、小松孝英(1979年〜  ) 

             

            小松孝英は、日本在来種と外来種の生き物、それらの生態系の変化や生物の多様性をテーマに描いています。国内外の個展で作品を発表、世界8ヶ国13地域のアートフェアに出品しています

             

            『雨あがり』 油彩F6号

             

            代表的なモチーフは蝶で、美術家としてスタートした時から描き続けている題材です。こどもの頃、虫取り網を持って走り回った野山や川、どこにでもいたゲンゴロウ、カミキリムシ、クワガタを、このたった20年ほどで見かけなくなりました。護岸工事や農薬による環境破壊、里山の減少、明治以降日本に入ってきた生命力の強い外来種の登場などで、身近な生態系が劇的に変化してしまったのです。

             

            小松孝英は琳派の流れをくむ技法で、琳派の時代には決して描けなかった題材に取り組んでいます。「今の時代をとらえ、今の時代を残していくこと。そして守りたくても守れない自然に対するジレンマなど、環境問題に代表される時代の矛盾を作品で訴えていくことがアーティストの仕事だと思っています」と小松孝英は語っています。

             

            「外来種群蝶図」100号が、2010年の国連COP10「生物多様性条約第10回締約国会議」に特別展示され、国連生物多様性条約記念ミュージアムにコレクションされました。

            LEXUS NEW 匠PROJECTは、伝統技術に自由な発想を掛け合わせ、前例のないモノづくりに挑む匠を全国から選出するプロジェクトです。美しく羽ばたく蝶と生態系の変化をデザインしたアロハポロシャツ「ミヤザ着」で小松は2016年「匠」52人のひとりに選ばれました。

            シャツの表には蝶をあしらい、裏には稲を食害する外来種「ジャンボタニシ」と激減した「タガメ」をデザインし、宮崎の今を考えさせるきっかけをつくりました。

             

            小松孝英『雨あがり』は東京店にて展示・販売中です。ぜひ、ご覧ください。

            その他、在庫作品はこちらをご覧ください。

            https://mizoe-gallery.com/products/list?category_id=&name=%E5%B0%8F%E6%9D%BE%E5%AD%9D%E8%8B%B1

             

            2018.08.03 Friday

            【東京店】取扱作家から毎週一作家1点ずつご紹介。 第5回は、猪熊弦一郎(1902年〜1993年)

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              JUGEMテーマ:美術鑑賞

              みぞえ画廊のコンセプト:「流行や時代に左右されない、上質な作品、作家を提供」をもとに、セレクトした取扱作家から毎週一作家、今回は2点ご紹介します。

               

              第5回は、猪熊弦一郎(1902年〜1993年)

               

                  

              《婦人像》油彩P10号                        《都市生春》油彩F6 1975

               

              猪熊弦一郎は高松に生まれ、20歳で東京美術学校洋画科に入学、藤島武二に師事します。帝展入選などを経て、新制作派協会を設立。

              1938年猪熊35歳の時、夢がかない夫人とともに船でパリへ向かいました。すでに有名になっていた藤田嗣治、岡本太郎など様々なアーティストとの交流が始まったのもこの頃です。

              猪熊は、誰よりも会いたかった憧れの人、アンリ・マティスに会うためニースのアトリエを訪ねます。その1年後、油彩やデッサンを抱えてマティスに見せに行ったところ「きみの絵はうますぎる」といわれます。

              褒め言葉ではなく、自分の絵になっていないという指摘を受けました。マティスへの共感と憧れ、その影響から離れて自分自身の絵をつくることに葛藤し続けます。パリ滞在の2年間に描いた膨大な作品を、その後40年間猪熊はしまい込んだまま発表しませんでした。

               

              渡仏した翌年第二次大戦が始まり、藤田嗣治夫妻と猪熊夫妻は一緒に疎開生活をするほど親しく付き合っていました。藤田の紹介でピカソとも知り合い、マティス、ピカソ、さまざまな巨匠たちの影響が色濃く残る2年間を過ごし1940年に帰国します。

               

              戦後間もない1950年(猪熊48歳)三越の包装紙「華ひらく」をデザイン、斬新な抽象画が生まれます。翌年、JR上野駅の壁画「自由」も完成しました。

               

              1955年(52歳)、画業をやり直すため再びパリへ向かいますが、途中ちょっと立ち寄るつもりだったニューヨークで、そのエネルギーに惹かれ、そのまま20年、72歳になるまでニューヨークに住み続けることになります。

              イサム・ノグチ、ジャスパー・ジョーンズ、マーク・ロスコ、ジョン・レノンとオノ・ヨーコなど、様々な芸術家が猪熊のアトリエに集まり刺激を受け合う日々を過ごします。ニューヨークでの創作活動で、長くもがき続けた具象画を断ち切り、一気に抽象へと移っていきます。

              猪熊は“どんな年になっても挑戦を恐れない勇気”を持っていたのだと思います。

               

              猪熊弦一郎初期の作品《 婦人像 》は東京店にて展示中です。ぜひ、ご覧ください。

              *《都市生春》は福岡店でご覧いただけます。

              https://mizoe-gallery.com/products/list?category_id=&name=%E7%8C%AA%E7%86%8A

              2018.07.27 Friday

              【東京店】取扱作家から毎週1作家一点ずつご紹介。 第4回は、鴨居玲(1928年〜1985年)

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                JUGEMテーマ:美術鑑賞

                 

                みぞえ画廊のコンセプト:「流行や時代に左右されない、上質な作品、作家を提供」をもとにセレクトされた取扱作家から毎週一作家1点ずつご紹介していきます。

                 

                第4回は、鴨居玲(1928年〜1985年)

                 

                『おばあさん』色紙にグアッシュ 1969年 

                 

                2015年5月東京ステーションギャラリーを皮切りに4か所の美術館で「鴨居玲展 踊り候(そうら)え」が開催されました。57歳で急逝してから没後30年、「初期から安井賞受賞まで」「スペイン・パリ時代」「神戸時代〜終焉」の3期に分けられ100点近い作品群、厳粛で圧倒的な雰囲気に包まれた展覧会でした。

                 

                この『おばあさん』は、第12回安井賞を受賞した1969年(41歳)に描かれました。

                同年に、真っ赤なテーブルの前で、意表を突かれて声も出ないように驚愕した表情の老人3人が描かれた『サイコロ』、『老人と蛾』などが発表されます。前年の1968年芦屋に移り住み、1971年にはスペインに渡りますから、ちょうど絶頂期を迎える頃の作品です。襟元と足の甲の赤色がよく効いています。

                 

                「手にデッサンのタコが出来ていないのは画家ではない」というのが鴨居の姿勢でした。自分の興味のある瞬間を画面に留める、徹底的にデッサンすることをパリでもスペインでも欠かしませんでした。おばあさん、酔っぱらいのおじいさん、道化師をたびたび描き、生と死、老い、孤独、愛といった人間の普遍的テーマを画題として描き続けました。

                 

                東京店には『おばあさん』を含む鴨居玲作品5点を在庫しており、近日中に新入荷作品2点が加わります。これほど販売可能な作品が充実しているのは、今しかございません。ぜひ、一度ご覧ください。

                https://mizoe-gallery.com/products/list?category_id=&name=%E9%B4%A8%E5%B1%85

                (一部をHPでご紹介しております)

                2018.07.21 Saturday

                【東京店】取扱作家から毎週1作家一点ずつご紹介。 第3回は、浜田知明(1917年〜2018年)

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                  JUGEMテーマ:美術鑑賞

                  みぞえ画廊のコンセプト:「流行や時代に左右されない、上質な作品、作家を提供」をもとにセレクトされた取扱作家一覧から毎週1作家、今回は2点ご紹介します。

                   

                  第3回は、浜田知明(1917年〜2018年)

                   

                         

                  『初年兵哀歌(檻)』1978 エッチング            

                   

                   『群盲』1960 エッチング・アクアチント 

                   

                  浜田知明の代表作としてあげられるのが、1952年自由美術展に出品された『初年兵哀歌』で、その後5年あまりで『初年兵哀歌』とシリーズ名が題された():みぞえ画廊在庫作品や(風景)(歩哨)(黄土地帯)など15点が発表されます。

                   

                  東京美術学校を卒業後、193921歳で現役兵として入隊。翌年中国に派兵され、194325歳兵役満期で除隊。再び1944年応召、伊豆七島、新島に派遣され終戦で除隊復員します。

                  荒廃した中国の戦地に自身が一兵卒として身を晒し、多くの不条理、人間の醜さ、悲惨さ、死と向きあった過酷な体験を、軍務につきながらスケッチに残しました。

                   

                  版画家として世に出るまでは、東京美術学校で油彩を学んでいましたが、戦地での素描がその後の銅版画制作につながっていきました。

                  戦争の傷、心の痛みを抱えながらも、人間の優しさや尊厳を失わず表現された《初年兵哀歌》は、観る者の心に深く刻まれます。思わず目をそむけたくなる緊張感、長く凝視できないと感じながらいったいこれは何なのだ、という疑問が沸き、問いかけられます。軍隊、戦争への抗議が伝わります。

                   

                  1964年渡欧するまでに、1957年『狂った男』、1960年『群盲』など25点が制作されました。

                  その頃、新安保条約と高度成長策、キューバ危機があり、東西の冷戦の激化が進み、作品にはその危機感が反映され、日本社会の変貌への厳しい批判が、風刺として表現されています。

                   

                  版画、油彩だけでなくブロンズ彫刻も試み、『初年兵哀歌(檻)』のモチーフは1963『檻』と題したブロンズ彫刻になりました。今年3月、「浜田知明100年のまなざし」と題した展覧会が町田市立国際版画美術館で開催され、所蔵品から銅版画90点、彫刻4点が紹介されました。

                   

                  『初年兵哀歌(檻)』を含む2作品を東京店にて展示・販売中です。ぜひ、ご覧ください。

                  *《群盲》は福岡店にてご覧いただけます。https://mizoe-gallery.com/products/detail/1570

                   

                  浜田知明先生は717日逝去されました。100歳でした。心よりご冥福をお祈り申し上げます。

                  2018.07.15 Sunday

                  リトグラフに関する話題です。

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                    JUGEMテーマ:美術鑑賞

                     

                    現在、武蔵野美術大学美術館(小平市)で《リトグラフ 石のまわりで》と題する展覧会が開かれています。

                    会期 〜810日及び818日、19

                     

                    リトグラフは、木版、銅板のように版面を彫ることはせず、石版石の表面に油性インクで描画して、紙に転写する化学変化を利用した印刷技法です。

                    18世紀末、アロイス・ゼネフェルダーは、メモを取ろうと石灰岩に油性インクで書いて、後に硝酸で洗い落とそうとしたところ、クレヨンが残ってしまったという偶然から研究、発展させてリトグラフの技法を開発しました。更にプレス機を作り、紙への転写方法を発明しました。

                    しかし石は持ち運びには重いため、のちにジンク版やアルミニウム版が使用されるようになります。

                    描くだけで版画ができることから、多様な表現を生み出す方法として多くの画家がリトグラフで制作をしています。

                     

                    今回、武蔵野美術大学教員によるリトグラフの描画、製版、刷りの公開制作があり、見学してきました。

                      

                    刷りの時は、水を絶やさずに油性インクをつけたローラーを転がして描画部分にのみインクを付け、紙を乗せて圧をかけて印刷します。刷った版画用紙は、乾かすためにクリップで留めて下げてありました。

                    大学ホームページに、赤塚祐二先生、丸山直文先生など制作者と刷りの様子、今後の制作日が載っています。

                     

                    みぞえ画廊ではこれまでにピカソ、マティスなどのリトグラフを取り扱ってきました。

                      

                    ピカソ『花のコサージュの女性』        マティス『十人の踊り子シリーズ』

                     

                    あらたなリトグラフ作品が入荷しましたら、随時ご紹介いたしますのでご期待ください。

                    2018.07.13 Friday

                    【東京店】取扱作家から毎週1作家一点ずつご紹介。 第2回は、熊谷守一(1880年〜1970年)。

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                      JUGEMテーマ:美術鑑賞

                       

                      【東京店】みぞえ画廊のコンセプト「流行や時代に左右されない、上質な作品、作家を提供」をもとにセレクトされた取扱作家から毎週1作家一点ずつご紹介していきます。

                       

                      第2回は、熊谷守一(1880年〜1970年)

                       

                      『 猫 』 紙に水墨淡彩 398x494mm 軸装

                       

                      201712月〜20183、東京国立近代美術館で「生きるよろこび」と題した熊谷守一の大規模な展覧会が開催されました。『雨滴』、『猫』など代表作を含む200点以上が展示され、ご覧になられた方もいらっしゃるでしょう。

                      また、妻と暮らす晩年の守一の日常を、淡々とユーモラスに描いた映画「モリのいる場所」が現在、各地で上映され、あらためて熊谷守一が注目されています。

                       

                      熊谷守一といえば、まず思い浮かぶのは、まるで小学生が描いたような輪郭線と、その線を残して一方向に絵具を置いた簡潔で鮮やかな表現の油彩画ですが、他に水墨淡彩の作品も多く描きました。

                       

                      守一は猫を飼っていました。いつもスケッチができるように鉛筆とスケッチ帳を腰の袋に入れ、庭で目にした様々な虫たちや草花、猫の姿を素早くスケッチし、白仔猫、くろ猫、三毛猫、眠り猫、斑猫などの個性的な作品が生み出されました。この『は、座布団の上に蹲って何とも気持ちよさそうにすやすやと眠っています。猫にとって居心地の良い家だったのでしょう。眺めている守一にも、穏やかな時間が流れていたのではないでしょうか。

                       

                      熊谷守一『 猫 』を東京店にて展示中です。ぜひ、ご覧ください。

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