<< クリスマスアートフェア | main | 【東京店】取扱作家から毎週一作家1点ずつご紹介。 第25回は、ベン・シャーン >>
2020.01.26 Sunday

新春企画「−没後35年− 鴨居玲展」2/2まで!

1

みぞえ画廊福岡店の、年明け最初の展覧会は、新春企画「−没後35年− 鴨居玲展」です。

 

 

鴨居玲は、35年前、57歳でその生涯を閉じました。

生と死、老い、孤独、愛といった人間の普遍的テーマと向き合い、対象の内面をもえぐり出す様な画風で描いた作品群は、今もなお世代を超えて多くの人を魅了しています。

画廊屋外に掲示したポスターに惹かれて立ち寄るお客様も、いつもより若い世代が多いように思います。

会場では、壮年期から晩年までの油彩画をメインに素描の作品も含め15点を年代順に展示し、作品についての解説を掲示しております。そのうちの3点をご紹介いたします。

 

******

 


「インディオの女」油彩 81.0 x 53.8 cm 1965年作

 

鴨居が制作に行き詰まり、サンパウロ、ボリビア、ペルーを流浪していたのが本作を描いた1965年、37歳の時だ。『インディオの女』というタイトル通りラテンアメリカの先住民族と思われる女の手は異様に大きく描かれ、祈りを捧げているのか、または大切なものを握り締めているのか…。下を向いた乏しい表情からは幾重にも想像できる。本作にある黒い絵具の粒を吹き付けたような表現は以降の作品ではあまり見られず、30代半ばの作品は具象とも抽象ともつかないシュールレアリズムな表現も多いことから、画風が定まらず技法や方向性を試行錯誤していた画家の苦悩の時代だったようだ。

 

 

「蛾」 F50号 90.9×116.7cm 1968年作

 

「蛾」は鴨居がサンパウロにいた若林和男を頼り、ブラジルに渡ってからしばしば取り上げてきたモチーフだ。南米を思わせる赤黒い肌の老人が二人窓辺で佇み、窓には巨大な蛾が一匹。双方の顔は向き合いもせず、一方の男は空虚に話しかけているように見える。 鴨居は「蛾を人間がしゃべることの虚しさの象徴として描いている」と過去に語っており、あるいはそれが、人生の虚しさのように映るという指摘もされていた。余白を大きく見せる構図と人物像の描き方から、1969年に安井賞を受賞した『静止した刻』に繋がる作品と言える。

 

 

「バンジョー」 油彩 F10号 53x45.5 cm 1985年作

本作は「Rey Camoy KOBE」とサインがあり、没年となる1985年に神戸のアトリエで制作されたものだ。髪型の特徴などから、バンジョーをひき鳴らす鴨居自身の自画像と思われる。唄っているのか、苦悶するような悲壮感のある表情が印象的だ。
晩年の代表作 『1982年 私』 以降、鴨居は自画像だけを執拗に描き続けた。学生時代から晩年まで、画業を語る上で鴨居の自画像は外すことができない大切なテーマだ。自分自身を見つめすぎるほど見つめて、死と隣合わせの"生"を追い求め、描き続けていた。本作が描かれた年、鴨居は自ら命を絶った。絶望と希望のはざまでもがきながら、その人生を華麗に駆け抜け、自ら幕を下ろした孤高の画家は何を見つめ何を私たちに伝えたかったのだろうか。

 

******

 

関連書籍も多く、鴨居玲の人となりを様々な文献から知ることができます。

整った顔立ちを自覚していたのか2枚目を演じつつも、その実それが失敗していたりもして苦悩している様子は、頻繁に描かれる老人や酔っ払いの作品にどこか通じるものがあるとも記述があり、作品を前にして、怖いという印象を持ちつつも目が離せなくなる「人間臭さ」は、様々な矛盾を抱えていた鴨居だからこそ描き出せたものだったのかもしれません。

孤高の画家 鴨居玲と改めて向き合う機会になりましたら幸いです。

皆様のご来廊をお待ち申し上げます。

コメント
コメントする








 
Calendar
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031     
<< August 2020 >>
Selected Entries
Categories
Archives
Recent Comment
Links
Profile
Search this site.
Others
Mobile
qrcode
Powered by
30days Album
無料ブログ作成サービス JUGEM