今回は学芸員を目指す学生さんがインターンシップに来てくださいました。ぜひご覧ください。
ーインターンシップ体験記ー
はじめに
今回、みぞえ画廊さんのインターンシップに参加させていただきました。大学生のSと申します。
私は大学で学芸員資格取得を目指しているので、美術館と画廊の、似て非なる部分を探しながら5日間勉強させて頂きたいと思います。
・2月10日 1日目
翌日から開催される片山雅史展の展示作業を行いました。作品の展示はもちろん美術館でも行われることなので、共通するお仕事を体験でき、嬉しかったです。
しかしながら、壁に釘を打ち付けたり、作品を運んだり、大判の作品を持ち上げるたびに頭の中で「展示は力仕事だ…」とよぎりました。
1日目にセットした懸垂幕
・2月11日 2日目
片山雅史展が始まり、初日は片山先生が丸一日在廊されていました。来廊者の方と先生がお話しされているのを見て、「作者と鑑賞者が対話できるのは画廊ならではだ。」と気づきました。作品を見た鑑賞者がどんな反応をしているのかを見ることも、どんなことを思ったのかを聞くことも、作者にとって面白く刺激的な経験になるのだと思います。
私も自分の作品を展示して、人に見てもらい、どんなレスポンスがもらえるのかを知りたいと思いました。
・2月14日 3日目
この日は展示作品の撮影をしました。授業で使って以来、久しぶりに一眼レフカメラを使いました。資料用の写真になるので、色味に気を付けて撮影しなければなりません。ですが、あるお役立ちアイテムのおかげで簡単に撮ることができました。その名もグレーカード。一見何の変哲もない灰色の紙ですが、なんでも特殊な方法で印刷されたとても純粋な灰色なのだとか。このカードと一緒に撮ると後で行う色味の調整が楽になるそうです。授業では白い紙を使っていましたが、それ専用の紙があるとは驚きでした。同時にカメラの奥深さの片りんを感じることになりました。
グレーカードのパッケージ
・2月27日 4日目
前回の日程からしばらく間が空きました。この日は片山先生の展覧会が前日に終了していたので、片付け・梱包作業に移りました。しかし初日に展示した際と同様、梱包の作業も体力勝負でした。床に梱包材を広げ、それぞれの作品サイズに合わせてカット。画廊で保管する作品や、片山先生にお返しする作品。そして会期中に売約された作品も多くありました。売約された作品はお客さまのもとへ運ぶため、特に丁寧に包まなければならないなと思いました。
そのほかにも、壁についた汚れを取ったり、釘で空いた穴を埋めたり、地味でありながらも次に展示するときのための大切な作業も行いました。これは美術館でも同じことで、壁などの空間全体を綺麗に保つことは、来館者の視点では気づくことがなかなか難しいことですが、作品を邪魔しないためには大事なことなのだと感じました。
・2月28日 5日目
いよいよ最後の日がやってきました。前日に引き続き、片付けと梱包の作業を行いました。
インターン期間は5日間という短い間でしたが、展覧会開催前日の作業から開催中の様子、そして終了後の片付けまでを体験することができ、非常に内容の濃いインターンとなりました。
この5日間を通して、みぞえ画廊で働かれている方々とのお話はもちろん、作家である片山先生のお話や、来廊者の方のお話も聞くことができ、インターン開始前にイメージしていたよりも多くの人と接することが出来ました。
何より、当初は2月上旬に5日間連続で参加させていただく予定を、快く調整していただいたことに深く感謝しています。風邪で最初の3日間を休んでしまい、回復したときには「あと2日しか残っていない」と、とても無念に思っていたので、3日間の日程を別日に振り替えていただいて、本当に嬉しかったです。
おわりに
「画廊と美術館の似て非なる部分を探す」というテーマを念頭に5日間を過ごしましたが、展示や片付けの作業は、基本的な部分であり、そこまで大きく変わらないのだと思います。しかし展覧会については「作者と鑑賞者の対話ができる」という点が画廊ならではの要素であり、とても魅力的な要素ではないのでしょうか。
今回のインターンを通して、これからは美術館だけでなく、県内にたくさん存在する画廊・ギャラリーに行ってみようと思いました。そこで感じた雰囲気や展示方法を知識として役立てたいです。もちろん、みぞえ画廊さんにも必ず伺います。
この度はインターンが始まる前からご迷惑をお掛けしたにも関わらず、温かく迎えてくださりありがとうございました。お世話になりました。
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自分でテーマを掲げて取り組む真摯な姿勢を見せてくださった5日間でしたね。画廊ならではの魅力を自ら見つけていただき、スタッフとしても誇らしく思います!今回の経験がよりよい未来に結びつきますように祈っております。ありがとうございました!
スタッフ
]]>今回は、他分野をご専門に学ばれている学生さんの体験記となります。どうぞご覧ください。
インターンシップ体験記
はじめに、絵画を見ることが好きなだけで専門的なことはよく分かっていない私をインターンシップに受け入れて下さり、本当にありがとうございました。
インターンシップ5日間で知ることができたこと、興味深いと思ったこと等を書いていきます。
✓インターン1日目(2/24)
朝から雨が降っていて無事にたどり着けるか不安でしたが、近くにいらっしゃった警察官の方に教えてもらいたどり着くことができました。会長さんを始め、スタッフの方々が優しく出迎えてくださいました。店内は、本館は白を基調とした凹凸のある空間になっていて、すぐ横には個展が開催されている新館もありました。
1日目は、お客様にお出しするお茶やコーヒーの淹れ方を教わりました。家では家族以外に出したことがなかったのですが、優しくスタッフの方が教えて下さったので不器用な私でも出来ました。
また、お恥ずかしながら好きな画家であるミュシャ以外詳しくない私に、スタッフの方が常設されている絵画を交えて色々な画家さんを紹介してくださいました。その中でも私が特に気になった作品を紹介したいと思います。
◎パブロ・ピカソ「休憩するサルタンバンク」
この作品は他の常設されている作品よりも少し小さい作品ですが、大きさに反して存在感がとてつもなく感じられました。小太りのサルタンバンク(大道芸人)が椅子に座り題名の通り休憩しているだけなのですが、その時の顔からどことなく哀愁が感じられ、個人的にとても好きな作品の一つになりました。
◎マルク・シャガール「アラビアンナイトよりPL3」
この作品は青が基調となっていますが、その中で一匹の鳥がオレンジ色となっており、色の対比が美しいです。
◎中村 宏太「Shooting star」
この方は“9.11の事件”から弾痕を用いた作品を制作していると聞き、改めてこの作品を鑑賞すると被害の重さや事件の悲惨さが頭に浮かびました。
◎奥山 民枝「春の群波」
一目見ただけで思わず『綺麗、、、』と言葉を失うほど優しい色で描かれているこの作品は、春特有の淡い雰囲気を感じられ胸が温かくなりました。
◎野見山 暁治「予告にみちた季節」
この方は私が存じ上げている画家の方の一人で、他にも戦争で亡くなった戦没画学生の絵を集めて展示していたと聞いて、その方達の生きていた証を残した素晴らしい方だと思いました。
また、片山雅史先生の個展「片山雅史展 いのちのかたち」が開催されており、実際に見学させていただきました。
作品のシリーズの一つである「皮膜」は、内側の世界と外側の世界の境界である作品を膜と例えたもので、そこに出入りする光を感じさせるかのようです。先生は描かれた像を見ることによって、五感で見る以上の他の知覚を呼び覚ますことを大切にしており、どの作品も壮大で、圧巻で、個人的には今まであまり注意深く見ることがなかった植物の一面を知ることができたように思われ、とても貴重なものであったと感じました。
✓インターン2日目(2/25)
2日目は、初日に教えていただいたブログ作成に取り組みました。私はブログを書くということが初めてだったので、不安な気持ちで書いていますがいざ書き始めると書きたいことが多く、とても楽しみながら作成できました。休憩時間には、奥山民枝さんの画集を拝見し、絵の美しさに驚き、奥山さんの人柄を知ることができました。
また、今日は休日ということもありお客様が多く来廊されお茶出しやコーヒー淹れをさせてもらった上、初めて作品の写真撮影を手伝わせていただきました。白い手袋を付け、作品に自分の手が触れないよう注意しました。
✓インターン3日目(2/26)
3日目は片山先生の個展が最終日ということもあり、たくさんのお客様がご来廊されました。初めて接客のお手伝いをさせていただき、カップやスプーンの置き方等をご指導いただきながらお客さまへお飲み物をお出しすることが出来ました。初めてなのでとても緊張し、淹れたコーヒーやお茶がこぼれないかとても不安でしたが、お盆を置いて慎重にコップを置くことに気をつけながら遂行できました。
最後ということで、先生に私が気になっていた「群蝶図」についてお聞きすることができました。蝶は短命な命である生き物で、生と死を表しているということと、蝶を立体的に描くことでまるで本物の蝶が作品の中に存在しているように見える、ということを教えてくださいました。お時間いただき本当にありがとうございました。
✓インターン4日目(2/27)
4日目は片山先生の個展が終了したので、撤収のお手伝いをさせていただきました。売却済の作品等を二重で包んだり、一重で包んだりと初めての事ばかりでしたが、スタッフの方が丁寧に教えてくださったおかげで上手く包装できました。個人的に好きだった片山先生の群蝶図が売却されたと聞き、嬉しくもあり寂しくもありました。
また、今日はもうひと方のインターン生と一緒に作業することができ、良い刺激をもらうことができました。明日も一緒なので最後まで良いインターンにできたら良いなと思います。
✓インターン5日目(2/28、最終日)
今日はインターン最終日でした。4日目の続きをし一人で作品の梱包をさせていただき、とても緊張しながら、でも責任持ってできました。不器用ながらも綺麗にできたので安心しました。個人的な余談ですが、昨日からのインターンの方の推しが偶然にも私の推しと一緒ということで、休憩時間にたくさんお話しできとても嬉しかったです笑。
✓最後に
初めてインターンというものに参加し、最初は不安でしたがとても楽しく、スタッフの方が優しく教えてくださったり助言をいただけたりしたので最終日を迎えることができたと思います。これを機にもっと美術の世界を知りたいと共に、ここでできた経験を基に将来に活かして行きたいと思います。5日間、貴重な経験を本当にありがとうございました。
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インターンシップお疲れさまでした!美術とは全く関係のない分野の学者の方のお話で、アートで新しい発想を得ることで研究にも生かされることがあるそうです。素直で誠実なお人柄で、これからもご自身の専門分野を高めつつ、美術を愛するお気持ちを持ち続けてくださいね〜!ありがとうございました。
スタッフ
JUGEMテーマ:展覧会
JUGEMテーマ:展覧会
みぞえ画廊 福岡店では、新作50作品もの数々をご覧いただける「片山雅史展 いのちのかたち」を2月26日(日曜日)迄開催いたしております。福岡では2019年7月以来、3年半ぶりの個展です。
是非画廊にてご堪能ください。
まずはメイン会場の新館に入られますとひと際目を引く今年の新作に迎えられます。
「皮膜2023/向日葵」 パネルに紙・アクリル・顔料 2023年
画像ではなかなかサイズ感が伝わりづらいかと思いますが、270cm×270cmの大作です。
作品タイトルにある「皮膜」は、片山氏が描き続けているシリーズの一つ。
まるで「膜」で覆われているような作品は、見ていると五感だけでなく第六感を呼び起こされ、
作品の持つ世界観へ引き込まれていきます。
また、もう一つ重要な作品のテーマ「螺旋」を、向日葵の「種」が並んでいる様子で描いています。
向日葵の種は「フィボナッチ数列」で並んでいます。それは最もたくさん種を残せる並び方であり、
つまり最も多く子孫を残せる、ということ。
生命の根源の力強さが、この美しい螺旋に描かれています。
この作品の皮膜は瑞々しく輝く透明で、画面に施された立体的なドットが水滴を思い起こさせます。
水も生命にはなくてはならないもの。
シャンパンゴールドからピンクゴールドへグラデーションしている背景が、ドットを美しく光らせています。
(この中に花模様のドットがあるのがお分かりになりますか?)
また、今回の個展のDMのメインビジュアルとなった作品はこちら
「群蝶図/光の庭にーメメント・モリ」 パネルにキャンバス・紙・アクリル・顔料 2022年
黄金色の画面の中を、同じく黄金色の蝶が折り重なるようにして舞っている、105×300cmのこちらも大作です。
(一部をクローズアップ)
「メメント・モリ」とはラテン語で「死を想え」。
死があるからこそ、限られた生が美しく輝く。
それを再生と復活のシンボルである「蝶」が乱れ飛ぶ様子で幻想的に表現されています。
わざと溶け残させてある顔料が、蝶の鱗粉や花粉を思わせる演出も見事です。
そして展示は更に本館へと続きます。
本館での展示の様子
本館では小作品ながらも存在感たっぷりの優美な作品の数々をご覧いただけます。
皮膜 2023 / 向日葵 33.5×33.5 cm アクリル・顔料・キャンバス 2023年作
皮膜 2022 29.7×21cm アクリル・顔料・キャンバス 2022年作
皮膜 2022 29.7×21cm アクリル・顔料・キャンバス 2022年作
画廊に差し込む柔らかい自然光と共に初々しさを感じる新作です。
自然界において肉体と心、命のあるものと既に命途絶えたものはあらゆる相対性の狭間にたっています。
画家が表現する「皮膜」とは・・・作品の自体の物体の表面、また、みる側が感じ取るイマジネーションとの境界線のよう。「皮膜」シリーズをみてますと表面となるインパクトを放つモチーフは極めてシンプルでいながらも、作品の奥底には根深く潜在する言葉では表現しきれない不思議な知覚が目覚めてくるようです。
見る側の感覚は人それぞれ。
是非画廊にてお楽しみください。
皮膜 2023 / 向日葵 33.5×33.5cm アクリル・顔料・キャンバス 2023年作
皮膜 2023 / 向日葵 33.5×33.5cm アクリル・顔料・キャンバス 2023年作
海景 2022 (大53.5x86.5) (小53.5x46.5) アクリル・顔料 2022年作
旅情に誘われるような中国深圳の海辺をイメージした作品。柔らかい凪が安らぎを与えてくれるかのよう。
中国の深圳にございます5星ホテルにてこの作品のプリントレプリカが飾られております。
(一部をクローズアップ)
作品左下にはノスタルジックな小舟が描かれております。
HANA 2022 / 梅枝図 30×44cm アクリル・顔料 2022年作
「智慧」をテーマに制作依頼を受けた時の作品。
梅の残雪にも思える白い顔料での描写は、逆説的に梅本来の紅色を朧に思わせます。
花弁の一枚一枚はふっくらと立体的に表現されています。
(一部をクローズアップ)
梅のモチーフの背面は厳しい寒さにも耐え忍んだ木の根のようなどっしりとした質感。
作品全面の梅の陶器のような白く艶やかな質感とは対照的です。
HANA 2022 / 梅枝図 33×33cm アクリル・顔料 2022年作
HANA 2022 90×57cm アクリル・顔料・キャンバス 2022年作
中国の青島(チンタオ)の某ホテルにてこのシリーズの作品が飾られております。
画家は青島の青く輝く海を全面に表現。作品をみる角度や差し込む光によっては青い海が上品な紫にもみえてきます。
この作品も梅枝図に続き、優美な花びらは白く艶やかでまるで陶器のような質感を醸し出します。
画家片山ならではの表現の豊かさや奥行の幅を感じる作品のひとつです。
「片山雅史展 いのちのかたち」は2月26日(日曜日)迄の開催となります。
シリーズ「皮膜」、「HANA」、「郡蝶図」、「メメント・モリ」の他、今回ブログではご紹介しきれなかったシリーズ「水花開」、「蝶図」なども展示いたしております。
画家片山雅史が繰り広げる自然界の生命の営みをたたえる作品群を、画廊にて是非、たっぷりとご覧ください。
ご来廊を心よりお待ちいたしております。
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映像をご専門にされているとのことで、みぞえ画廊福岡店にて開催中の「片山雅史展 いのちのかたち」の会場を動画に収めていただきました。
この動画制作の舞台裏をフレッシュな文章でお届けいたします。
インターンシップ体験記
画廊のお仕事に興味が湧き、今回のインターンシップに参加させていただきました!
大学の方では映像を製作することを専攻しています。
作品を取り扱う業務というより、私はインスタグラムでの展示会を宣伝する動画の製作をお仕事にさせていただきました。
1日目
片山雅史展の展示会紹介ムービーを作成しました。会場全体の雰囲気が伝わるように制作したので、雰囲気を感じ取って、見ていただけると嬉しいです。
休日ということもあり、撮影をしている間もたくさんのお客様が来られます。緊張しながらも挨拶をしました。三脚を抱えたままで、すみません。片山先生を訪ねて来廊くださる方もおり、購入者様と画家さんとの距離が近いことも画廊ならではなのかなと発見がありました。
余談ですが、画廊に足を運んだことが初めてだったので、一番最初に驚いたことは絵の値段です。目の前にこんなにも無防備に飾ってある作品の値段に、目を白黒させ、数歩下がって0の数を何回も数え直しました。
2日目
本日は片山雅史展 <群蝶図/メメントモリ>の作品紹介動画を制作しました。片山先生の作品の特徴である「立体感」を感じさせることができるようにこだわりました。蝶が舞い上がっているように撮影したカットにもご注目ください。
片山雅史 「群蝶図/メメントモリ」
午後は少し、時間があったので「常設展」の方を見学しました。その中でも、中村宏太先生の作品が目に止まりました。弾痕を使った作品と今まで出会ったことがなかったのでしばらく見つめ続けてしまいました。近距離で射って飛び散ってしまった破片の間から、後ろの版の色(カラーフィルム?)が見えていて色のコントラストが綺麗です。弾丸という暴力的なイメージのものからこんな儚い作品が誕生する。すっ、すごすぎる。作品と画材とのギャップに驚かされた作品でした。
中村宏太「境界」
3日目
今日も作品のひとつにスポットを当てた紹介動画を制作しました。今回は<皮膜2023/向日葵>です。まず、撮り始めて思ったのが「大きい!この作品とても大きい!」この一言に尽きます。メメントモリを撮影した時と同様に「立体感」と今回は「サイズ感」がより伝わるように製作してみました。
片山雅史 「皮膜2023/向日葵」
天井に届きそうなくらいの大きさ
片山先生の作品についてインタビューをする機会を頂いたので色々質問をしました。<皮膜2023/向日葵>は「ひまわりの4分の1だけを描いた作品じゃないか」とお尋ねしました。ちょっと違った解釈をしていました。「そういう解釈もあるんだね。一回見ただけで、すぐにわかるようにはしていないからね。」と優しいお言葉をいただきました。片山先生ありがとうございます。
4日目
映像製作は本日お休みでした。代わりに昨日の片山先生へのインタビューをもとに動画の紹介文を考えました。いつも三脚を持って駆け回っていたので、不思議な気分でした。
1日中タブレットと向き合って、キャプションを考えて行きます。作品のキャプションを考えたことがなかったので、画集を参考にしながらちょっとカッコつけた文章を書いてみます。ですが、あまり作品の良さが伝わらなかったぽく一案目はボツになりました。慣れないことはするものではないなぁ・・・っと実感。
休憩の際に緑茶をいただきました。私はコーヒーが飲めないので、コーヒーをぐびぐび飲めるみなさんが頼もしい。
5日目
本日が最終日です。今日は1日目から3日目の間に撮った映像をまとめる作業。ブログを製作する作業、キャプションのリベンジに挑みました。
動画の方は総集編という形でどこかにアップされるとのことでした。私の培ってきた技術がお役に立てているだけで嬉しいです。リベンジしたキャプションはなんと合格をいただき、インスタの<皮膜2023/向日葵>の動画の説明欄に掲載することが決まりました!午後からはこのブログを製作しました。 あっという間の5日間でした。
会場全体が見渡せるお気に入りのショット
大学で学んだことが少しでもみぞえ画廊さんのお役に立てていれば光栄です!絵画作品を取る機会なんて、滅多にできないような貴重な体験をありがとうございました。スタッフの皆様がお優しく、毎日出勤するのが楽しくてあっという間でした。
初日から最終日までギャラリー内を好きなように自由に撮影させていただいたり、時には脚立などもお貸しいただきありがとうございました!
もう一人お礼を言いたいものがいます。
5日間共に仕事をしてくれた相棒のタブレット
それは撮影をするときも動画を編集するときも、文章を書くときも君がいなければ、私は仕事ができなかった。
ありがとう相棒のタブレット!これからも美術作品を素敵に撮影してくれ。短い間だったけど元気で!相棒!
この経験を大学の映像作りにも活かしていきたいです!!充実した楽しいインターンシップでした。本当にありがとうございました。
以上、Nさんによる日記でした。
今回は、作家への取材もチャレンジしていただきました。5日間本当にお疲れさまでした。これからも得意分野を生かしてどんどん新たな世界に飛び出していってほしいです。スタッフ一同応援しております!
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本年もよろしくお願いいたします。
新年を飾る展覧会がスタートしました!
西日本初公開の名品をはじめ、内外の近現代巨匠・大家の作品を展示させていただいております。
展示構成は大きく二つに分かれており、新館では西洋名画、本館に国内作家となっております。
西日本初公開!他、注目の新着作品。
会場内でも一際存在感を放つピカソとシャガールの本画は、昨年の弊画廊東京店の展覧会より巡回しています。
展示中のシャガール《 オルフェ 》は、シャガール健在の1976年に日本で開催した展覧会で展示されたものです。おそらくは日本のオーナーに所有されたのち、記録上は1976年以降日本での展覧会出品歴はないまま海外のオーナーに渡り、今回再び日本の地に降り立ちました。
ピカソ《 女の顔 》は、東京店展示の時点で日本初公開となったものです。
同じ壁に掛けられているのは象徴主義の代表的画家であるオディロン・ルドン。さらに入り口では、今なお画家たちに影響を与え続けるエゴン・シーレの作品がお迎えいたします。反対の壁には、マティスと並びフォービズムの祖であるアンドレ・ドラン。こちらも新たに所有した作品です。
19世紀後期ごろから20世紀にかけて活躍した、代表的な画家たちの作品が集結!
新館に展示中の作家を年代順に並べてみました。
印象派
野獣派
象徴派
キュビズム
エコールド・パリ
ウィーン分離派
など、美術史の中でも語らずにはおられない重要なムーブメントを代表する画家ばかりです。
お互いの作品をどこかで目にしたのかもしれない・・・と想像すると胸が熱くなります。実際に、モネとルノワールは家族ぐるみの付き合いでしたし、マティスとルオーは手紙のやり取りがありました。
芸術の多様化が始まった時代。
〇〇派ってなんだろう?色々ありすぎてわからない・・・
簡単に言うと、当時の政府が定めた美の基準からはみ出していった人たちです。
当時絶対的な美の基準は、アカデミー(国立の芸大)やサロン(政府主催の公募展)でした。そこでは「歴史や肖像などを主題とすること」「輪郭は明快に・筆あとなく描かれたものが美しい」と定め、この支配は200年続いていました。
そこを飛び出した芸術家たちは、〇〇派と銘打って集団を結成し、独自の思想を打ち出すと、若き芸術家たちの斬新な作品は徐々に一般に受け入れられるようになりました。そうして芸術の多様化が始まると、何を基準に絵を見ばよいかわからない!という大衆の声に応える画商や批評家の影響力が高まり、それにともない、芸術家たちも画商や批評家との繋がりを求めるようになりました。このように、現在まで続く美術市場の形が形成された時代でもありました。
印象派と象徴派。
なかでも、印象派と象徴派は先駆的でした。
産業革命以降、写真技術が向上し、写実性が重んじられなくなったことや、チューブ入りの絵具や鉄道の整備開発されたことは、「あるがままを描くことが大事!」という印象派の創生を後押しすることになりました。
一方で、大量生産で物質的に豊かになるにつれ、「目に見えないものの方が大事!」という人々の気持ちも膨らんでいったことでしょう。目に見えないもの、すなわち愛、喜び、死、不安や悲しみといった、内面の感情を重んじたのが象徴派でした。
この会場で言うと、モネ、ルノワールは印象派、ルドンは象徴派です。
さてここからは、みぞえ画廊としても初めての取り扱いとなったオディロン・ルドンとエゴン・シーレについて、少しご紹介させていただきます。
遅咲きの巨匠、オディロン・ルドン。
オディロン・ルドンは、19世紀後半から20世紀初頭にかけて活躍した、フランス象徴派を代表する画家です。
裕福な家庭に生まれるも幼少期は病弱で、生まれてすぐに叔父に預けられ、学校にも通えず、その後の寄宿舎でもなじめず、孤独な子供時代を過ごしたようです。青年期に、植物学者のアルマン・クラヴォーと出会い、当時の話題であったダーウィンの進化論や、肉眼では見ることのできない生命体(をおそらく顕微鏡で見た)への知識を得たと考えられています。その経験は、彼の作品に大きな影響を与えました。
その後、出版した石版画集には、人間のような顔を持った蜘蛛や、気球のような眼玉など、怪異なイメージが描かれています。印象派が全盛であった世において、木炭の黒のみで精神世界を描いた作品は特に異質であり、後々若い画家や批評家たちに強く支持されました。現在では「黒の時代」として知られています。
黒の時代には発表することは殆ど無かったものの、油絵も並行して制作しており、晩年は、パステルや油彩で花や植物を色鮮やかに描いた「色彩の時代」へと移行しました。この変化のきっかけは、長男を亡くしたのちの次男の誕生にあるのではないかとも言われています。1890年頃、50歳を過ぎてからのことでした。
現在展示中の《花瓶の花》は、一見するとよくある静物画のようですが、花瓶が置かれているはずのテーブルや、その背景を示唆するような描写がありません。そのため、モチーフは空間に浮遊しているように見えます。全体のうつろな雰囲気に反して、花弁は動物のように躍動しています。「夢幻的」と評されるこうした特徴は、「色彩の時代」にしばしば感じられます。写真ではお伝えできませんが、非常に複雑な色をしており、吸い込まれるようです。
夭折した天才画家、エゴン・シーレ。
エゴン・シーレは、19世紀末ウィーンを代表する画家です。幼少期からその才能は抜きんでており、ウィーン美術アカデミーには学年最年少の特別扱いで入学しています。しかし保守的な教育になじめず退学し、同アカデミーの先輩でもあったグスタフ・クリムトの元へ弟子入りしました。当時タブー視されていた裸婦や、死、性を積極的に描き続け、批判があっても信念を貫いていました。
当時は、聖書や神話や異国を題材にしない限り、裸婦を描くのはルール違反でした。現代で見てもなかなかエロティックな作品が多いので、彼の作風に対して当時の批判はかなりのものだったと想像できます。街を追われたり、裁判で絵を焼かれたこともあったようです。そんなシーレを支えた人物の一人を描いた作品がこちら。
現在展示中の本作は、早くからシーレの才能を見出し支えたパトロンのハインリッヒ・ベネシュが描かれています。彼は特に裕福な人物ではありませんでしたが、オーストリア美術のコレクターで、シーレの作品も数多く購入しました。批判を受け街を追われるシーレをかくまったりと、相当に親密にかかわっていたことが窺えます。
裏面には、シーレの代表作に多くみられる直線的でダイナミックなポーズをとる自画像が描かれています。夭折の天才画家エゴン・シーレと、鉄道総監督ハインリッヒ・ベネシュ。画家とパトロンという関係以上に使い絆で結ばれていたふたりを象徴するかのような作品です。
今月下旬から、東京都美術館ではエゴン・シーレ展も開催されますので、是非ご覧ください。
本館には日本の近現代洋画を展示しております。こちらも名品ぞろいですが、ひとまずこれにて筆をおかせていただきます。。(長すぎた・・・)
JUGEMテーマ:美術鑑賞
]]>JUGEMテーマ:美術鑑賞
福井良之助《静物》水彩 1965年 35.5 x 53.0cm 鑑定書付
油彩画のセピア色を思わせながらも、最小限の彩色で魅せる静物の瑞々しさに目を見張ります。
早いもので今年も締めくくりの時節となりましたが、皆様お変わりなくお過ごしでしょうか。
さて、みぞえ画廊では恒例クリスマスアートフェアを只今開催に伴い特別価格 (最大50%OFF) にてご提供させていただいております。大切な人へのクリスマスプレゼントやご自身へのご褒美として一期一会の作品を求めてはいかがでしょうか?
今回はジョルジュ・ルオー、ベン・シャーン、ジョエル・シャピロ、ピエール・アレシンスキー、ポール・アイズピリ、ジル・ゴリチなどの海外巨匠作家のリトグラフをはじめとし、堅山南風、山口華楊、小磯良平、加山又造、難波田龍起、坂本善三、野口弥太郎、北川民次、熊谷守一、中村琢二、石川滋彦などの国内作家の作品も数多く取り揃えております。
クリスマスの贈り物としてお求めになられてみてはいかがでしょうか。お気軽にお問い合わせください。
本館展示の様子
本館展示の様子
本館展示の様子
=主な出品作家=
坂本繁二郎/熊谷守一/岡鹿之助/野口弥太郎/小磯良平/猪熊弦一郎/北川民次/中村琢二/牛島憲之/石川滋彦/児玉幸雄/脇田和/井上長三郎/小山田二郎/福井良之助/糸園和三郎/松本英一郎/平野遼/織田廣喜/浜田知明/瑛九/山口長男/菅井汲/須田剋太/難波田龍起/坂本善三/津高和一/池田龍雄/靉嘔/加納光於/東山魁夷/加山又造/小山硬/堅山南風/山口華楊/奥村土牛/上村松園/伊東深水/マルク・シャガール/ジョルジュ・ルオー/アントニ・クラーベ/ベン・シャーン/ジョエル・シャピロ/ピエール・アレシンスキー/ポール・アイズピリ/ジル・ゴリチ/ポール・ギアマン/ジャン・カルズー/ベルナール・ビュッフェ/他
海外作家リトグラフコーナー
ベルナール・ビュッフェ「富士」 リトグラフ 72 x 53cm
富士山麓に位置する裾野で描かれたようです。美しい稜線が描かれてることからビュッフェも欧州の山々とはまた異なった趣をもつ富士山に深い感銘を受けたように思えます。
ジョルジュ・ルオー「熱帯の風景:ルビュおやじの再生より」エッチング 33x22cm
画商アンブロワーズ・ヴォラールの依頼で取り組んだ版画集『ルビュおやじの再生』
「キリストの画家」ルオーの「キリストの画家」というイメージを覆す挿絵。
舞台はフランスの植民地。支配される「黒人」の先住民(=被植民者)と、「ユビュおやじ」に代表されるグロテスクな「白人」の政治家(=植民者)を描いた版画集です。
国内作家 日本画、版画コーナー
堅山 南風「白拓楠花」日本画 25.5×23cm
昭和を代表する日本画家堅山南風の作品。”南風は自然に直接触れてこそ潜む「生命」を写し取る”として写生主義の原点を貫いた画家です。
国内作家 油彩コーナー
野口 弥太郎 「春の山」油彩 F4号
穏やかで微笑みかけてくれているような麗らかな春の山。春の到来が待ち遠しい作品です。
平野遼 「家と道」油彩 F6
穏やかな日の光と何処へ進むか分からない道との明暗が印象的です。平野遼ならではの技法が最大限映し出された作品の一つです。
小磯良平 エッチングコーナー
小磯良平 「静物」エッチング 25.5x29.3cm E.A
小磯良平の穏やかで洗練された作品の数々を是非画廊でご覧ください。
国内作家リトグラフコーナー
国内作家リトグラフコーナー
加山又造 「月と犀」リトグラフ 32.5 x 37cm 1960年作 ed.46/90
加山又造が1953年に描いた日本画「月と犀」とよく似ています。画面を覆う無数の線は圧巻です。是非画廊にて体感してください。月の大きさが異常に大きいことによるアンバランスや限られた色合いが斬新です。
33歳、苦学を経て師につき、新たな日本画の模索に励みつつ、琳派や大和絵にも関心を寄せていた頃だったようです。
菅井 汲 「Festival」 シルクスクリーン 43x 29.2? ed.148/200
時代を超越したモダンな一品。戦後単身渡仏し、国際舞台で大きな成功をつかみ取った抽象画家です。
その他山口長男、坂本善三、池田龍雄、猪熊弦一郎、津高和一、加納光於、靉嘔などの国内作家によるリトグラフ、シルクスクリーンなど多数展示いたしております。
年に2回の貴重なセールを開催中です。この機会にお気に入りの逸品を求めてはいかがでしょうか。会期中ご購入いただいたお客様へ下記お品をクリスマスプレゼントとしてお渡しいたしております。皆様のご来廊をお待ちいたしております。
▶クリスマスプレゼント開催中
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フラワーパーク本店ではクリスマスセールを実施!
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詳しくは下記ウェブサイト、またはお電話にてお問い合わせください。
会場 フラワーパーク本店(みぞえ画廊となり) 公式HP http://flowerpark.info/
お問い合わせ 092-739-8783 フラワーパーク本店
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みぞえ画廊 福岡店では【南聡 展】開催中です。
2014年以来8年ぶりとなる本展では、画家 南 聡の新境地をご覧いただけます。
今回の展覧会では、私たちの生活のすぐそばの小さな、しかし力強い生命の営みと共存が
描かれています。
「日一日」 F150号 2022年
「草 影」 F50号 2022年
極く薄い麻紙・典具帖紙といった和紙に、叢に咲く季節の草花や、蟻や蜂・蝶などの昆虫を描き、
その作品を重ねて貼り合わせ、一つの作品を制作していきます。
絵と絵が重なった部分は濃くなり、また重なっていない分は薄くなり、独特の遠近感が生まれています。
「日 々」 F150号 2018年
「日々」より 草花が重なっている部分に濃淡が生まれ、画面に奥行きを感じます。
また、ところどころで使われている銀箔が光を拾って玉虫色に輝くさまは、幻想的な雰囲気を醸しています。
「草 間」 145×224 cm 2021年
「草間」より 銀箔を硫化し、複雑な色味を出しています。
季節ごとに草花を採集し、スケッチをして和紙に描くため、菜の花やドクダミ、朝顔など季節の違う草花が
一つの作品の中で共存し、四季が描かれています。
色彩を抑えたこれらの作品に対して、最新作は岩絵具を効果的に使っています。
「草虫図1」 F50号 2022年
「草虫図1」より 蟻や蟷螂がひっそりと、それでいて力強く描かれています。
胡粉や銀箔を使った白銀の下地に緑や青が映えて、また、ふんだんに使われた銀粉が朝露のようにキラキラと輝き、
身近にある世界がより一層美しく、愛おしく感じられます。
氏が持つ暖かく、優しいまなざしを、お越しいただく皆様にぜひ感じていただきたいと思います。
南聡展は11月27日(日)まで、会期中無休で開催いたしております。
26・27日は作家も在廊いたします。
ぜひ、お越しくださいませ。
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画家、柴田七美の新たな試み
みぞえ画廊福岡店にて、柴田七美展「劇中劇」が開催されました。
故郷福岡では2年ぶり、3回目の個展となる本展では、大作をはじめ、24点の作品を展示させていただきました。
前回の個展では、過去に見た演劇や映画のワンシーン、本の挿絵などの記憶の断片を寄せつめ、パーツを組み合わせて作り上げた架空の場面をモチーフとしあえて形骸化させ、形への意識を強くした表現を見せていました。その手法によって、「なにも描かない」ことで絵画を成立させ、絵の具の物質としての面白さを最大限に魅せることを追求されていました。
※前回の個展の様子はこちら↓
http://blog.mizoe-gallery.com/?day=20200916
しかし、本展では、その手法は一切使われていません。
劇と絵画が共通して持つ「入れ子構造」
柴田七美さんは、絵画の制作と並行して、10年ほど前から物語をかき始めており、自身と向き合って描き上げたそれは戦争の物語だったそうです。物語が完成する頃、世界情勢は大きく揺れ動いており、「何かを描く」ことの必要性を痛感したと言います。そうした中で、「何かを描きたい」という欲求と、これまでの表現が結びついて行きました。
元より近代史に関心が高かったこともあり、本展では史実やそれを元にした演劇などから想像を膨らませて描かれています。前回に引き続き、人物の絵がメインとなっていますが、風景や花を描いたものもあります。それぞれに、イメージの元となった過去の出来事が存在します。それらを観劇、あるいは調査し、想像した情景を描くことは、現実を映した記録や物語から画家が掬い取った幻想を描く行為です。絵画というもの自体が虚構である側面もあるため、丁度、劇の中で演じられる劇のように、虚構の中に虚構が展開されます。そのため、今回はモチーフを形骸化させる必要が無かったということになります。
2点の大作はどちらも「群衆」を描いたもの
《 暴動 》油彩 162×260cm 2022年
本展のメインを飾る大作。
「いつの時代の様子だろう?」
「何が起こっているんだろう?」
あえて時代や人物像を特定させない描き方が選ばれていることが分かってくると、鑑賞者の疑問を軽やかにかわしているようにも感じられます。史実を象徴するように存在するあらゆる群衆画は、史実であることから解き放たれたときに絵画としてどのような鑑賞体験をもたらすのでしょうか。
《 解体 》油彩 145.5×224cm 2022年
もう一つの大作。
群衆とは、時に革命にも発展するうねりを作り出すことができます。今回の群衆画2点には、そういった現象への興味関心も強く表れています。
本館でも一部の壁に、柴田七美展作品を展示いたしました。
背景に幕が描かれています。幕は柴田七美さんの作品で以前から描かれることがありましたが、本展では、演劇や演劇の脚本を元に想像したシーンを絵画化したものに描きこまれることが多いようです。
在廊中は、一つ一つの作品についての質問に丁寧に答える姿が印象的でした。
さて現在はみぞえ画廊東京店にて、巡回開催中です。福岡店で展示していなかった作品もございます。
どうぞ足をお運びください。
柴田七美展「劇中劇」
2022年 10月15日(土)〜 10月30日(日)
[作家在廊日]10月15日,16日,23日,24日,29日,30日
会期中無休 10:00-18:00
会場 みぞえ画廊東京店(大田区田園調布3-19-16)
JUGEMテーマ:美術鑑賞
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去る9/30から10/3の4日間に渡って第7回目「アートフェアアジア福岡2022」が実施されました。今年より福岡市が参画し、過去最大規模で実施されお陰様で大盛況で幕を閉じることができました。今回は福岡国際会議場とホテルオークラ福岡の2会場にて開催。「日本とアジアの、アートマーケットの架け橋に」をテーマに掲げ、約80のギャラリーが参加し多くのお客様でどのブースも連日有難く賑わいをみせておりました。
ご来場くださいましたお客様、企業・団体、並びに関係各所の皆様より多大なご支援を賜りまして、有意義なアートフェアの実現となりましたこと、まずは社員一同心より御礼申し上げます。有難うございました。
福岡国際会議場 会場の様子
福岡国際会議場 会場の様子
福岡国際会議場とホテルオークラ福岡間を運行するシャトルバス
さて、みぞえ画廊では、今回4人のアーティストによる作品を出展しました。
101歳を迎えても尚その活躍ぶりには目を見張る野見山暁治
※左側から順に
「莅」 油彩 F10号 1982年
「ずっと待ってる」 油彩 F25号 2015年
「どこまで行ったやら」 油彩 F4号 2020年
「すぐ変わる」 油彩 F6号
上記油彩の他、1970年代の水彩画、コラージュ作品なども多数展示。
益々作品に深みと広がりがみれ、名だたる海外アートフェアの出展も数多く経験。
国内外問わず熱い視線が寄せられる小松孝英
※左側から順に
上)「蝶舞」アクリル・箔・キャンバス F8号 2022年
下)「流水吸水図」アクリル・箔・キャンバス M20号 2022年
「黒舞」アクリル・黒貝箔・キャンバス M50号 2022年
「炭化」 アクリル・キャンバス P40号 2022年
「ハヤ」 アクリル・キャンバス M6号、P8号、M10号、M20号 2022年
架空の場面をモチーフとしあえて形骸化させ、
絵の具の物質としての面白さを独自の表現方法で最大限に描ききる柴田七美
パラソルの女 油彩 F20号 2022年、役者 油彩 F8号(上・下)2022年
※みぞえ画廊東京店にて柴田七美展「劇中劇」を10月30日(日)迄開催!
展覧会詳細サイト
https://mizoe-gallery.com/exhibition#20221015
一見個性的な油彩の作品でもその確かな描写力が圧巻。
画材の研究に余念がなく、常に新しい作風を追い求める若きアーティスト八頭司昂
左)「something that is no one 」 パネル、寒冷紗、酢酸ビニル樹脂、との粉、ジェッソ、カシュー、アクリル絵具 53×80cm 2022年
右)「something that is no one 」 パネル、ジェッソ、アクリル絵具、油絵具 53×45.5mm 2022年
「At ARKS.」パネル、寒冷紗、酢酸ビニル樹脂、との粉、ジェッソ、アクリル絵具、油絵具 58.3×88cm 2022年
※みぞえ画廊福岡店にて八頭司昂展「はんすう」を10月23日(日)迄開催!
展覧会詳細サイト
https://mizoe-gallery.com/exhibition#20221008
画家在廊日:10月22日、23日
在廊日にはライブペインティングを実施しております。
実際にブースに居合わせた出展アーティストから作成秘話を熱く語っていただき貴重な体験を得ることができたとお客様よりお声を拝聴しました。作品展示の他、複数の出展アーティストとの貴重な出会いも大規模のアートフェアならではの魅力です!
フェア開催期間中、宮津大輔氏キュレーションブース「Leading Asia」、AFAFアート映画上映、トークセッション等の魅力的なイベントも施されており、実際に体験されたお客様も多数おいでのことと思います。中でもキュレーションブースでは作品テーマ「Meditate⇔Act agilely (深く考えろ⇔機敏に動け)」を掲げ、「Leading Asia」のエネルギッシュなアジアの都市の断面を表現。多彩なアート作品に度肝を抜かれたお客様もおいでではないでしょうか?
AFAFアート映画上映ではみぞえ画廊出展アーティスト野見山 暁治さんのドキュメンタリー映画「描き続けて 〜野見山 暁治 101歳の肖像〜」や同じく出展アーティスト小松孝英さんが監督を務める「塩月桃甫」など上映され、多くのお客様より反響を頂戴しました。
更には別会場のオークラホテルでも大変な盛況ぶりでした。
ホテル9階の客室を全室貸切りにし、福岡国際会議場とはまた違った環境での作品展示を展開いたしておりました。
作品展示の詳細につきましては下記VR動画でご覧いただけます。
ホテルオークラVR動画
https://my.matterport.com/show/?m=zEwqhZR165s
今回のアートフェアでは「Fukuoka Wall Art Project」による「Fukuoka Wall Art 賞」受賞作品の展示も行われました。
「Fukuoka Wall Art Project」は作品を幅広く公募し、仮囲い等を活用した街中での発表の場と作品を展示・販売。その機会を提供することで、アーティストのさらなる活躍の場につなげ、アートによる街の賑わいの創出などが主な活動の目的です。
Fukuoka Wall Art Projectの詳細は下記サイトにてご覧いただけます。
そして「Fukuoka Wall Art 賞 2022」の輝かしい受賞作品はこちらです!
Fukuoka Wall Art 賞 受賞作品展示コーナー
※左側から順にご案内
安藤圭汰:「永劫はこれただ瞬時」、神園宏彰:「光と風の集積」、
銀ソーダ:「刹那」、小島拓朗:「untitled」、鈴木淳:「On the Bed 002-3」
AFAFのサイトにもありますが、今回は九州で初めて、福岡市の支援を得ての保税展示となりました。日本以外にも海外ギャラリーの誘致の末に、海外作品も含めたアートに触れられる大規模なフェアが実現されました。市内の各所でもアート作品が展示され、福岡はいつになく活気に満ちていました。来年の会場はマリンメッセB館での実施予定。更に充実した内容で皆様にお楽しみいただけるフェアとなることと思います。またそのようになりますよう、地元福岡の参加ギャラリーとしても、一同努めて参ります。
この度ご来場くださいました皆様、出展者の皆様、並びに関係各所におけるスタッフの皆様によるご協力を賜りましたこと、重ねてお礼申し上げます。
今後も引き続き、福岡がアート発信の都市として世界でも注目される魅力的な都市の一つと位置付けられますよう我々ギャラリーも日々一層精進して参ります。来年も引き続きどうかご支援の程、よろしくお願いいたします。
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美術館やギャラリー巡りに最適な心地良い季節が巡ってまいりましたが皆様お変わりなくお過ごしでしょうか。
さて、みぞえ画廊 福岡店では「はんすう 八頭司昂展」を10月23日(日)まで開催中です。
本展では「一つのモチーフで複数の作品を制作する」というコンセプトを基にアーティスト八頭司昂の新作を100号以上の大作含め約30点展示いたしております。鮮やかな色彩と自在に画面を這いまわる線が印象的な八頭司の世界をご堪能ください。
在廊日(画家在廊日:10月15日、16日、22日、23日)にはライブペインティングも実施します。お誘い合わせの上、是非みぞえ画廊福岡店へお立ち寄りください。
新館展示の様子
新館展示の様子
ライブペインティング用仮設アトリエ
八頭司さんがアトリエでいつも愛用している道具や画材を一式ご持参いただいております!
八頭司昂さんは22歳の時に田川市美術館主催の"英展"において大賞を最年少で受賞。早くからアーティストとしての頭角を現し、コレクターからも注目される存在です。
みぞえ画廊では東京店での個展も含め今回3度目の個展を開催する運びとなりました。
今回の展覧会タイトルは「はんすう(反芻)」と題されています。反芻とは、「思い出を反芻する」といったように、繰り返しの意味の言葉ですが、牛が胃の中に入った食物を口に戻してゆっくりとすり潰し食物の消化を促す働きを指す言葉でもあります。牛の1日の反芻時間は6〜10時間で、1分間に40〜60回咀嚼。噛んでいる間に唾液が分泌され、この唾液がエサを湿らせてのみこみやすくし、胃の中の微生物の働きを活発にして消化を助けます。
八頭司さんは制作している時にふと、この「反芻」という言葉が浮かんだと言います。1つのモチーフに対して1枚ではなく複数枚描いてもよいのではないかと感じたそうです。その為今回の個展では、ほとんどの作品において同じモチーフが複数枚描かれています。素材、色合い、トーンのバリエーションの他、キャンバスを立体として捉えたものもあり、絵画というもの自体が、あらゆる側面から反芻されています。それらは画家の脳内で咀嚼され、画家のDNAを含んで絵画として存在しており、一つの生き物のようにも思えます。
では、まず観る者に衝撃をあたえる圧巻な作品をご紹介いたします。
「something that is no one 誰でもない何か」。メガネをかけた人物像が4点の作品に渡って反芻されており、全て同じタイトルがつけられています。
「something that is no one 誰でもない何か」 2022年 53×45.5cm
パネル、ジェッソ、アクリル絵具、油絵具
「something that is no one 誰でもない何か」 2022年 53×80cm
パネル、寒冷紗、酢酸ビニル樹脂、との粉、ジェッソ、カシュー、アクリル絵具
描画された線だけを残して、キャンバスが二つに離れています。「これどうなってるの?壊れてしまわないか心配になるね・・・」といったご感想をいただくこともございます。(実際にはある程度の強度を持つように工夫されています)
右)「something that is no one 誰でもない何か」 91×91cm パネル、綿布、ジェッソ、アクリル絵具、油絵具 2022年
左)「something that is no one 誰でもない何か 」 91×91cm パネル、寒冷紗、カシュー、アクリル絵具 2022年
通常絵画では用いられない「カシュー」という漆系の塗料で線を描いています。
マットな黒の背面に艶やかなカシューによってより一層の立体感が生まれます。
八頭司さんの表現が3次元へ踏み出していきます。
描かれているのは、AIによって自動生成された誰でもない人物です。
AIは膨大な量の人物写真データを取り込み、分析し、「人間に見える像」を作り出すことができます。それらの画像は、本物の人間の写真かそうでないかを見分けることが大変に困難だと言われています。瞳の形がごくわずかに歪んでいることから判別できる場合もあるそうです。目のところから描画が歪んでいるのは偶然でしょうか。
八頭司さんの手で繰り返し描かれ、素材やキャンバスの分割などの変化がもたらされることで、「誰でもない何か」はどのような意味合いを持つでしょうか?
あるいは人間が常に不安定であり、また不完全であることを示唆しているようにも思えます。
次に、「The dream may be continuing. 夢が続いているかもしれない」をご紹介。
1辺160cm強もある大作です。八頭司さんが動物園で出会ったという、カンガルーがくつろぐ様子。同じシーンが2枚、繰り返すように描かれていますが、色合いや絵の具の垂れ具合などにより大きく異なる印象を与えています。
色の陰影により立体的にみえたりその逆で平面に広がったり。作品2点を見比べて凹凸、プラス・マイナスの感覚でがっちり当てはまるかと思うとそう簡単には参りません。謎めいた感覚が心に宿り、鑑賞の余韻が響き渡ります。
右側の作品からは柔らかい光を感じ、まさに余白の美も表現されてます。まるで昇天した動物達の暮らす楽園に思えたり・・・。
ご鑑賞いただきました皆様にも、思い思いに想像を巡らせていただける、奥行きのある作品となっています。
八頭司さんが繰り広げる色彩の幅の広さを体感する作品の一つです。
「The dream may be continuing. 夢が続いているかもしれない」
2022年 162×162? パネル、綿布、酢酸ビニル樹脂、ジェッソ、油絵具
「The dream may be continuing. 夢が続いているかもしれない」
2022年 162×162? パネル、綿布、酢酸ビニル樹脂、ジェッソ、油絵具
さて、コロナ禍ならではの光景が描かれた作品「At ARKS. アルクスにて」をご紹介。
「At ARKS. アルクスにて」 2022年 58.3×88cm
パネル、寒冷紗、酢酸ビニル樹脂、との粉、ジェッソ、アクリル絵具、油絵具
広場に並ぶ群衆は皆、当たり前のようにマスクをし、久しぶりの外出でしょうか?なんだか並ぶという面倒な行為すらも受け入れているようにも思えます。見事な遠近法により多くの色が使われているなかでも全体のバランスが保たれています。まさに「八頭司マジック」にかけられた作品です!
上記ご案内させていただきました作品の他、下記のように植物をモチーフにした小作品が本館、新館にてご覧いただけます。
八頭司さんの確かなを描写力を感じさせます。
お好きなお色がきっと見つかるのではないでしょうか。画材も様々で、螺鈿が使われている作品もございます。
実物を前にすると、その素材の違いはにより異なる風合いが一つ一つの作品にはっきりと表れており、画材の研究に余念ないことが窺えます。
リュウゼツラン
「Agave リュウゼツラン」 2022年 18×12.5 ?
パネルの他、寒冷紗、酢酸ビニル樹脂、アクリル絵具、油絵具、紙、金箔、寒冷紗、カシュー、水性樹脂、螺鈿使用
(作品により素材は異なります)
セイヨウアジサイ
「Hydrangea macrophylla セイヨウアジサイ」 2021年 29.7×21?
パネルの他、白亜地系下地材 アクリル絵具、油絵具、螺鈿 、金銀箔使用
(作品によって素材は異なります)
「Try to connect depth with finger to finger 奥行きを指と指で繋いでみる」
182x91cm
パネル、綿布、酢酸ビニル樹脂、ジェッソ、アクリル絵具(アクリルは右の作品のみ使用)、油絵具
在廊日には、ライブペインティングもご覧いただけます。現在同じモチーフで2つの作品を制作中です。八頭司さんが完成!と筆をピタリと止める瞬間を画廊で体験してみませんか。
八頭司さんはまず対象となるモチーフを観察し独自の視点で色彩と線を再構築。そして、多岐にわたる表現を見出すために画材ひとつひとつの研究にも常に力を注いでます!
八頭司昂 (やとうじ たかし)
1990年愛知県生まれ。2015年 佐賀大学大学院教育学研究科教科教育専攻美術教育専修 修了。'12年 第62回佐賀県美術展覧会 佐賀県知事賞 受賞。’13年 第22回英展〜人物・風俗〜 大賞 受賞、第63回佐賀県美術展覧会 佐賀商工会議所連合会賞 受賞、第1回YWCA(山梨ワイン&アートオークション)入選、第22回MCAGP(三菱商事アート・ゲート・プログラム)入選、2013年度MCAGP奨学生。’19年 大川市立清力美術館にて個展。
「はんすう(反芻)」とは、画家自身の作品へのマンネリズムに対しての懐疑、そして新たな可能性への期待から素材や描画方法、モチーフの選択肢を見直すことです。本展では、平面作品を3次元的に延伸させる挑戦も含め、同じモチーフに対して2つないしは複数の作品を展示しており、それらはアーティスト八頭司昂自身の「反芻」の軌跡を表すものです。
努力を惜しまず、常に作品の見直しを重ねた上で進化を求める若きアーティストの軌跡をみぞえ画廊でたどってみませんか。多くの皆様方のご来廊を心よりお待ちいたしております。
「はんすう 八頭司昂展」
2022年10月23日(日)まで開催中です。
画家在廊日:10月15日、16日、22日、23日
在廊日にはライブペインティングを実施します。
会期中無休 10:00-18:00
会場 みぞえ画廊福岡店
(福岡市中央区地行浜1-2-5)
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連日猛暑が続いておりますが皆様お変わりなくお元気にお過ごしでしょうか。
さて、みぞえ画廊で8月28日(日)まで開催いたしておりました、野見山暁治展 「描いて、描いて、未だ描いて」を少しご紹介いたします。
本展では、101歳を迎えてなお進化を続ける野見山暁治の「いま」を、終戦直後から滞欧時代、帰国後の各時代の作品とともにご覧いただきました。
本館展示の様子
本館展示の様子
個展初日には野見山先生がご来廊されました。時代ごとの展示作品をご覧になられ当時のエピソードを楽しく語ってくださいました。個展初日には沢山のお客様がご来廊くださり野見山先生と皆様とでとても素敵な時間を過ごされました。
「炭鉱の一隅」 板に油彩 F4 号 1951年頃
画家野見山暁治は筑豊の炭鉱地帯で生まれ育ちました。本展で最も古い作品「炭鉱の一隅」は郷里筑豊の風景を原点に戦後復員し画家として再出発した貴重な作品です。
1952年、野見山はフランス政府私費留学生として渡仏。通算12年間をフランスで過ごしました。下記3作品は風景画から抽象画へと作風が大きく変わったフランス滞在期間に描かれた作品です。
野見山はパリ郊外ライ・レ・ローズの丘の中腹にあるアトリエを彫刻家高田博厚から譲り受けます。
豊かな自然に囲まれたアトリエで野見山は「丘」「樹木」などの新たなモチーフに出会い、それらを描くことに挑戦しました。
「根」 油彩 P30号 1964年
魔法使いのとがった爪を連想させる形と斬新な色合いは洗練されており、都会的でありながら東洋的な神秘性も併せ持っています。
画家現在101歳。尚も作品制作を続ける画家本人のとてつもなく強い生命力たるものを、今でこそこの作品から感じます。
目に見える現象の奥に潜むものの気配を感じ、自然の姿を再現するのではなく、自然の本質が持つ形にさらに深く踏み込もうと描く
。そして更に描けば描くほど具象性が失われると画家は言います。
「ノートルダム寺院」 油彩 F10号 1955年
時には作品「ノートルダム寺院」 のような風景画を描いては日本へ輸送しフランスでの生活費にあてがっていたようです。フランスと日本ではキャンバスのサイズが異なり日本で額装する際、微調整が必要で画家が望む絵のバランスにならないこともしばしばあったようです。いかがですか?上記教会の尖塔はもっと高く描かれていたのではないでしょうか?
1957年、32歳の頃渡仏。西洋人のもつ造形感覚、立体感覚、質感などを表現するための油絵具の技法を極めようとするも、画家は徐々に違和感を感じ始めます。
そして1964年日本に帰国。帰国の決定的なきっかけは中国宋時代の山水画のレプリカに触れたことです。
岩か山のようなごつごつした物体や、うねらせている樹々、ゆるやかな川や稜線。西洋の立体に比べて東洋の平面は強さに欠けると今まで思っていたがそうではなないと感じたと言います。東洋的な表現の奥ゆかしさを再認識し帰国を決意しました。
「8月のおわり」 油彩 S50号 1997年
円熟期、画家70歳代後半に描かれた作品。
賑やかで情緒的な夏にも終わりが近づく・・・作品からどことなくせつなげな気持ちが芽生えます。
また大海原からゆっくり動き出そうとすり原動力もじんわり感じてくるようです。
最初は海面に映る山に思えましたがだんだん何か得体の知れない物体にも思えてきました。でも何であるか分かりません。
永遠に繰り返される季節の移ろいは、このようにして謎めいたものなのかもしれません。
「ままならぬ景色」 油彩 130号 2010年
この作品は2011年にブリジストン美術館での個展出品作品です。画家90歳の時の作品です。高さ193×162cmの大作。
まさに色彩のハーモニーを奏でているかのようです。また、上下絵の具が垂れており画家がキャンバスの角度を動かしていたことがうかがえます。描かれている赤は2008年東京メトロの「明治神宮前駅」に設置されたステンドグラスの原画で野見山が描いたあの赤と同じような印象をもちます。光を通して煌めく赤をは会場内でもひと際輝いていました。
「知らない季節」 油彩 F100号 2021年
「知らない季節」は今年の初めに開催された、小説家の堺屋太一記念東京芸術大学美術愛住館での「野見山暁治展 100年を超えて」にて展示された新作です。みぞえ画廊本館奥のスペースではここ1年ほどで描かれた新作の数々を展示いたしております。圧倒的な鮮烈な色彩と力のこもったマチエールなど実際に画廊にて体感してください。
左下部分の拡大
泉の如く溢れ出るエネルギーとそのみずみずしさ。
「これだけ」 油彩 F15号 2022年
「これだけ」は今年になって描かれた初展示作品の中でも最も新しい作品です!101歳で描かれた作品とは思えない躍動感に溢れる作品。
本館ではこのほかにも、帰国後東京藝術大学の教授を務めた1970年代から都会的な灰色を主体とした1980年代の作品など、多数展示させていただきました。
さて、次に新館の水彩画をご紹介。
本展では新館にて約25点に及ぶ野見山暁治が描いた水彩画を一挙ご覧いただけますます。
新館展示の様子
野見山が裸婦やモデルを起用した作品の数は限られます。本展にて展示中の上記裸婦は当時60代。別人のように思えますが3枚共同じ女性が描かれております。左下の女性のフォルムなどとても上品に描かれております。
「アニタその後」 水彩 77x56cm
帰国後の野見山のもとへ絵のモデルをしていたアニタが来日し野見山の前に現れました。そしてアニタが自分を描いてほしいと。。。。
久しぶりの再会で感無量となり、思うようにはアニタを描けなかった、、、と会場で懐かしそうに語られました。
ただ、お互いの信頼関係がこの絵には映し出されているように思えます。
アニタの表情からやっと画家に会えたという嬉しさ、安堵感、そして懐かしさがこみあげてくるような作品です。
「予告にみちた季節」 水彩 57x76.3cm 1990年
糸島のみならず東京のアトリエの急な階段がモチーフとなった「階段シリーズ」の作品です。
現在もその急な階段を画家自身が登り降りしているそうです。
「ケムクジャーラの中から 」 水彩 18x40cm 2006年
野見山暁治が絵と文章の両方を担った2007年創刊の絵本「ケムクジャーラ」の原画です。
野見山は獣は友達だと語り、はるかな祖先の人間第一号の姿を描いた絵本です。
「テラス」 水彩 80.7x117cm 1971年
南仏の老舗ホテルのテラスのような現場を想像しますが、舞台は日本です。
心地よく風が吹く様を画廊で感じてください。上品な色合いで清涼感に溢れる作品です。
「また会うでしょう」 水彩 38.5x56.5cm 2003年
他界された奥様を忍んでの作品です。
奥様が愛用されていた帽子が作品のモチーフになってます。本展の水彩画作品の中でも一際目立ちます。色彩とモチーフがくっきりと描かれており作品の中に吸い込まれそうな作品です。
背景はグレートーンで描かれており哀愁やせつなさを感じますが、主役の帽子の鮮やかな色からは、自身を奮い立たせ「ゆっくりかもしれないが前を向いて歩こう!」という強い気持ちも感じます。
まさに人生の機微を痛感する沢山の思いがつまった作品のように思えます。
画家はこう語ります。
自分の中にある確固とした何ものかを表現したい。
未だ到達できない何かを求めて・・・
本展は本日終了となりましたが、もちろん野見山暁治は未だ描き続け、その歩みはより力強くなってゆかれることでしょう。
沢山の方にご来廊いただき、誠にありがとうございました。
★お知らせ★
さて、その野見山暁治氏の画業を顕彰するギャラリーが、この度氏の出身地である飯塚にオープンいたしました!
みぞえアートギャラリー野見山暁治館 開館のご案内
8月26日(金)よりオープン!
営業時間などの詳細は下記公式サイトにてご確認ください。
WEB https://www.nomiyamagyojigallery.com/
みぞえアートギャラリー野見山暁治館
住所 〒820-0041 福岡県飯塚市飯塚15-26
TEL 094-843-8212
営業日 金・土・日・祝 (ただし 大型連休は休館)
営業時間 12:00-17:00
交通案内
〈 電車 〉 JR飯塚駅から徒歩15分
〈 車 〉 駐車場4台あり。徳前パーキング内。
弊画廊にて展示していなかった作品の数々をご覧いただけます。是非足を運ばれてみてくださいね。
<News>
野見山暁治役を名俳優が熱演!
8月27日(土)
FBS福岡放送「24時間テレビ45」スペシャルドラマ「無言館」が放映されました。野見山暁治役を寺尾聰氏が熱演。(主人公無言館創立者の窪島誠一郎役:浅野忠信)無言館は長野県上田市にある戦没画学生慰霊美術館です。
https://www.ntv.co.jp/24h-drama2022/articles/3069hrcjy704rmngamae.html
<参考情報>
戦没画学生慰霊美術館 無言館
http://mugonkan.jp/about/
〒386-1213 長野県上田市古安曽字山王山3462
野見山暁治氏が、どんな思いで絵を描き続けてきたのかを想い、胸が熱くなりました。ドラマ放送の翌日は、無言館は通常の40倍の入場者数だったそうです。
是非こちらもチェックしてみてくださいね!
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JUGEMテーマ:展覧会
みぞえ画廊東京店にて、「藤澤江里子(絵画)・細井 篤(彫刻) 二人展」が、7月16日より開催中です。ご案内状にも書きましたが、企画概要について以下に記します。
1995年セゾン美術館(現在は閉館)において「視ることのアレゴリー 1995:絵画・彫刻の現在」という意欲的な企画展が開催され、総勢30名の国内の美術家が紹介されました。藤澤江里子は絵画の作家として、細井 篤は彫刻の作家として参加し、お互いに刺激しあいながら活動を続け、27年の歳月が経ちました。
みぞえ画廊では、ミッド・キャリアの作家(継続して長年作家活動、作品発表を続ける)の中から、あらためて評価されるべき作家、作品をご紹介したいという思いから、二人展として、線と形を色相の響き合いへと置換し、繊細な線と深遠な色調によって絵画を作りだす藤澤江里子と目に見えないものの気配・存在をかたちにして、イリュージョンと物質感を往還する細井 篤をそれぞれの新作を中心にご紹介いたします。
エントランスを入ると、130号の藤澤江里子の線のドローイング作品と細井篤の立体作品がお出迎え。藤澤の作品は27年前のセゾン美術館で展示した作品と同じ系譜。変わらずに線と形を追求している姿勢がすばらしいです。制作には2〜3か月かけて、眺めては書いてを繰り返すといいます。キャンバス全面に膠を2回塗り、しみこみを抑え、その上にオイルバーとパステルの黒で描く。細井の作品は、3つのパーツがバランスをとりながら立っている
ユニークな立体作品。
個人的には、この作品が特にすばらしいと感じています。多くの方が同様に感想を述べて
おられます。この作品は、塗り込み型の系譜になり、線のドローイングよりは新しいスタイルになります。キャンバスの上にベースとして油彩を使い、その上に、オイルバー、パステルなどが使われています。
会場のあちこちに細井 篤の立体作品が展示されています。和室では、藤澤作品と呼応するように対面した壁に展示しています。奥の作品は、鉄筋を曲げて制作された作品で、27年前のセゾン美術館で展示された作品と同シリーズになります。
対面に展示された藤澤江里子の新作。作品は、キャンバスの作品で4号4万円税込からと
キャリアから考えたらとてもリーズナブルな設定となっています。
お二人ともミッド・キャリアの作家ですので、略歴も個展、グループ展とかなりの数があります(一部抜粋してありますが)。
今回は、一部の展示のみご紹介いたします。おって次回さらに展示内容をご紹介いたします。
会期・会場:
・みぞえ画廊東京店(田園調布) 2022年7月16日(土) 〜7月31日(日)
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今年は例年よりも早く蝉時雨が鳴り響いておりますが皆様お変わりなくお過ごしでしょうか。
さて、みぞえ画廊では渡辺浩二展―風の神殿―を開催いたしております。渡辺さんにしか表現できない他に類のないブロンズ作品約25点展示いたしております。
新館の様子
今回の作品展「風の神殿」では、イタリアで培われた洗練されたデザインが際立つ、しなやかな立体作品を新館、本館の両館にてご覧いただけます。ギリシア神話のイメージを背景に持つ作品が多く見受けられ、神秘的な雰囲気が漂っています。
高度な鋳造技術を巧みに操り、ブロンズが醸し出す重厚さ、モチーフのしなやかさを最大限表現された作品の数々を是非ご来廊の上、お楽しみください。
彫刻家渡辺浩二さんは1986年にイタリア ミラノへ渡り、名門ブレラ美術アカデミーに留学。後にミラノから北イタリアに位置しスイス国境にほど近いコモ湖畔の町「エルバ」へと暮らしを移し作品制作を続けました。通算25年間のイタリア滞在の後、2010年に帰国。現在は唐津の古民家をアトリエとし次々に新作を発表する傍ら、京都精華大学芸術学部にて教鞭をとり後進の育成にも力を注いでます。
渡辺浩二 プロフィール
1961年福岡県三井郡大刀洗町生まれ。1986年九州産業大学大学院芸術専攻修了、同年より2010年までイタリアにて制作活動。第8回ラベンナ国際彫刻ビエンナーレ銀賞(イタリア)。第9回ラベンナ国際彫刻ビエンナーレ 特別審査員賞(イタリア)。コモ国際コンクール 大賞(イタリア)。洞爺村国際彫刻ビエンナーレ。風の芸術展ビエンナーレ枕崎。イタリア、ドイツ等で個展、グループ展多数開催。
「風にのって」 ブロンズ 57x22x10.5cm
「風にのって」は、紀元前7000年ごろより始まる古代ギリシア神話を背景にしており、観る人に安らぎを感じさせてくれる作品です。観ているうちに、古代ギリシア発祥の地を優しく包み込むエーゲ海が、さざ波のように思い出されてきました。皆様は何を想像されますか?
「風になって」 ブロンズ 50x36cm
風という、形のないモチーフをブロンズで優美に表現。
渡辺さんならではの技術が光る作品の一つです。
「風の交差点」 ベニヤ板、真鍮、アルミニウム 100x110x12cm
取手のようなアルミの物体は水を表してます。
その物体は回転可能で角度によって作品の表情が変化するユニークな作品です。
渡辺作品の根源にあるテーマは「不安定な社会の中の安定」。この「風の交差点」においてもそのテーマ性が伺えます。真鍮板を塗り、時間をかけて腐食させることで独特の風合いが生まれると渡辺さんは語ります。
↓
拡大写真 アルミニウムで作られた物体
有機的で柔らかそうな形。硬質な素材を使っているのに、不思議ですね。
「anemoi(風)」 ブロンズ 51x16cm
先ほどご紹介しました「風になって」と異なり、風が籠の中に閉じ込められたように思えます。また、たちこめられた風がゆっくりと舞い出しそうな気配を感じられませんか?
「la finestra(窓)」 ブロンズ 21x24cm
イタリアルネサンス芸術を感じる窓枠のデザイン。愛情に満ち、安らぎを感じさせてくれる作品。西洋では梨は愛情を意味します。
展示の様子
右:「テミスの審判」 ブロンズ 215x130x15cm
テミスはギリシア神話に登場する正義と審判の女神です。
左:「トルストイ(信念と矛盾)」 ブロンズ 93x100x13.5cm
皆様もご存知の通りトルストイは帝政ロシア時代を代表する小説家かつ思想家です。トルストイの代表作は「戦争と平和」。渡辺さんはとにかく平和を愛し争いごとのない社会を求め、作品にその願いも込められております。
「三美神」 ブロンズ 1作品 150x30x42cm
3作品で1つの作品です。
イタリアでもアートの表現方法としても作品を吊るすことはめったにないそうです。渡辺さんならではの無限に広がる表現方法を是非画廊で体感してください。
新築の家を建てる前に渡辺さんの作品を選び、それから間取りお決めになるお客様もおいでだそうです。自宅に三美神のような立体作品が堂々飾ることができるのなら、時間の許す限りずっと観ていたい!と想像するだけでも、優雅な気持ちになります。
【三美神とは・・・】
ギリシア神話に登場する三美神はレイア(花のさかり)、エウプロシュネ(喜び)、アグライア(輝く女)という女神。「美」「愛」「貞操」を意味しています。
「equilibrio」 ブロンズ 76x41x14cm
イタリア語で equilibrioは「均衡」を意味します。
均整のとれたブロンズ作品が安らぎと静寂をもたらしてくれます。
ずっしりとした碇のようにもみえ、地中海の海辺の景色が目前に広がってくるかのようです。
「パリスの林檎」 ブロンズ 66x30cm
ギリシア神話の『パリスの審判』というストーリー。美を競い合う女神たちの中からパリスが「最も美しい女神」としてヴィーナスを選び、林檎を手渡した場面はピーテル・パウル・ルーベンスをはじめ画家たちが好んで描いた優美な題材です。
美を象徴するタイトルを冠したこの作品は、素材がブロンズであることを忘れてしまいそうなほどのしなやかさで遠目からも目を引き、近づけば赤い林檎の瑞々しさは匂い立つようです。作品の影が描くシルエットまでもがエレガントであることに気が付いたとき、さらなる深い感動がもたらされることでしょう。
画廊にて異なる角度から作品を余すことなくご鑑賞ください。
【パリスの林檎とは・・・】
ギリシア神話にて海の女神ティティスと英雄ペレウスの結婚式に神々たちが祝福に訪れましたが、争いの女神エリスだけは招かれませんでした。エリスは怒り、神々の集まっているところに「最も美しい女神へ」と書かれた黄金のリンゴを投げ入れました。
自分こそが一番の美女だと思っている三人の女神、最高神ゼウスの正妻であるヘラ、知恵と戦争の女神アテナ、美の女神ヴィーナスは、黄金のリンゴをめぐって大ゲンカ。困ったゼウスは、トロイアの王子パリスに誰が一番美しいかを判定させます。
女神はそれぞれパリスに取引を持ち掛け、ヘラは「ヨーロッパとアジアの王の座」を約束し、アテナは「全ての戦いでの勝利」を、ヴィーナスは「世界一の美女」を与えると言いました。
パリスは世界一の美女を選び、ヴィーナスが勝利しました。ヴィーナスは約束通り、世界一の美女・ヘレネーをパリスに妻として与えますが、実はヘレネ―はスパルタ王メネラーオスの妃。当然メネラーオスは激怒し、ギリシャ王国連合軍をつくり、トロイアへ侵攻。トロイア戦争の勃発となりました。
「パリスの審判 」 ブロンズ 43x25x7cm
「オルフェウスの窓」 ブロンズ 81x62x15.5cm
画廊に新しく窓が設置されたかのような錯覚におちいるこの作品は、来廊されるお客様の足を止めさせ、鑑賞者の内にある風景を映し出すかのようです。見入っていくうちに、ディテールに精密にこだわって作られていることが分かります。空間の演出効果もたっぷりと果たしている存在感のある作品です。
【オルフェウスとは・・・】
ギリシア神話に登場するの竪琴の達人オルフェウスとエウリディケの悲恋の物語。「オルフェウスの窓」という同タイトルの少女漫画もあるように、やはりドラマティックな主題です。その漫画では、主人公が通う学校にある古い窓にまつわる噂があり、その窓に立った男性が階下を見たとき、最初に視界に入った女性と必ず恋に落ちるが、その恋は実らず悲劇に終わると言い伝えられていました。
渡辺さん自ら「オルフェウスの窓」を画廊新館に設営している時の様子。
さらに本館では、比較的小さめの作品を展示。
「mitologia(神話)」 ブロンズ 32.5x32.5x8cm
この作品から皆様は何をイメージしますか?
あるいは時空を超えた神々が降り立ってきたようにも思えるかもしれません。
「雫 」 ブロンズ 37x24.5x5cm
イタリアルネサンスを感じる作品。艶やかではありつつも上品なデザインが印象的です。
本館の展示の様子
ブロンズという素材ながら、重力から解放され、しなやかで優しい表情を湛えた作品の数々を是非画廊にてご覧ください。
本展は、7月18日(祝)まで開催いたしております。
多くの皆様からのご来廊を心よりお待ちいたしております。
渡辺浩二展 風の宮殿
2022年7月18日(月・祝)まで開催中です。
会期中無休 10:00-18:00
会場 みぞえ画廊福岡店(福岡市中央区地行浜1-2-5)
梅雨時期とはいえ晴れ間は夏の気配が漂ってまいりました。
みぞえ画廊福岡店では、オーガベン展 夜の灯り 2022年6月11日(土)〜26日(日)を開催中です。
弊画廊では東京店と合わせて3回目となります。あの時のお名前はオーガフミヒロでしたが、50歳を機にオーガベンと改名されています。
オーガブルーとも呼ばれる深い青は、画家の出身地である瀬戸内海の凪いだ海や空を連想させます。
本展ではタブロー33点、ガラス絵16点、そして書籍の挿絵原画が13点と、充実した展示となりました。
さらに会場の随所には、これまでライフワークのように書き綴っていた散文を詩に仕上げたという原稿をそのまま展示しています。これらの詩は、作品とは直接の関連はありませんが、作家の世界観に別の側面から触れることができるかもしれません。
初日のオープニングイベントでは、これらの詩を読み上げる朗読会が催されました。
前回の個展でもご出演頂いたアコーディオン奏者のyocciさんが、今回も演奏してくださいました。
ご持参いただいた楽器は、なんとオーダーメイドで世界に一つしかないそうです!
開始時間になる頃には、続々とお客様がお集まりくださいました。
一つ一つの文字のかたちを確かめるように、詩を読み上げるオーガさん。
それに呼応するように、yocciさんが演奏するアコーディオンが鳴ります。アコーディオンが空気を沢山取り込んで、少しずつ音に替えてゆく様は、まるで生き物のようでした。
詩を読み上げた後は、アンコールを1曲演奏頂きました。
自身もオーガ作品のファンだというyocciさん。中でも、灯りがともる瞬間を描いた作品に惹かれるのだそうです。
そんな相性抜群のお二人が奏でる、絵画と音楽と詩の協奏、いかがでしたでしょうか。ご参加いただきました皆様、誠にありがとうございました。
イベントの後はご歓談に花が咲きました。
やはりメインはタブローの作品です。
近年は下絵を制作せず、真っ白なキャンバスに絵筆のみで対峙するそうです。
目と手は描くのが一番難しいそうです。二人の人物の手は、この絵の中ではとても小さく描写されています。三日月の存在感が強調され、それによって生まれる絵画の奥行に、鑑賞者が引き込まれます。
一人しかいないように見えるので、タイトルが「ふたり旅」なのはなぜだろう?と思っていました。近寄って人物の表情をよく見ると、振り返って星を見ていることがわかります。きっと、この人物は一人ではなく、星と旅をしているのでしょう。
このように月や星などの天体は、オーガ作品には度々登場します。遠くから誰かを見守る存在であったり、その反対に抱きかかえられていることもあります。
ガラス絵は、近年取り組まれている新しい展開の一つです。
キャンバスに描くタブローとは違った不思議な奥行き。小さい作品ながら覗き込みたくなるようで、あたかも箱庭の楽園を思わせます。
何気なく手元にあったガラスに絵の具を乗せてみると、滑るように筆が動きだしたというこのシリーズ。キャンバスに書くタブローとは制作工程も異なり、筆あたりも違う、この不自由な素材に、画家自身が新鮮な感動を覚えながら制作していることが伝わってきます。
2021年には、書籍の挿絵を担当されました。今回はその原画も展示しています。
『見知らぬ友』マルセロ・ビルマヘール 著、宇野和美 訳、オーガベン(オーガフミヒロ) 絵
児童書のカテゴリですが、大人が読まないのは勿体ない良作です。子供の時に感じていた言葉にできない感情が、オーガさんの挿絵とともに、鮮やかに想いだされました。短編集で読みやすく、寝る前に読むと落ち着くことでしょう。
書籍の横では、オーガ作品をアニメーション化した”オーガ二メーション”を上映中。最後のチャプターでは、こんなことが語られていました。
自分の原風景がどのような形をしているか、どのような物語なのか、明瞭にしたい。そうして、より見る人に自然に寄り添えるような、普遍的な作品が描きたい。(オーガニメーションDVDインタビューより)
誰にも平等に訪れる夜という時間には、それぞれの自由が育まれます。それは幸福の形をしている時もあれば、はたまた涙の形をしているかもしれません。それらはきっと、太古の昔から人間が向き合ってきた心の営みではないでしょうか。
これから行く道を、ただ一人孤独の道と思うか、あらゆるものに迎えられて進むと思うかで、風の向きは変わってくるのかもしれません。
包み込むような、あるいは道を示すような灯りをともす、オーガ作品との出会いをお楽しみください。
オーガベン展 夜の灯り
2022年6月26日(日)まで開催中です。
会期中無休 10:00-18:00
会場 みぞえ画廊福岡店
(福岡市中央区地行浜1-2-5)
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コロナ禍で2回目の個展。林檎の木の下に集まる動物たちを、太陽がやさしく見守る大作を中心に、なんと80点ほどの作品が並びました!
中でも縦の構図が並ぶ3点は対になっており、今回の新作個展のもう一つの見どころとも言えるかもしれません。
満月と富士、あぜ道の日の出、満月昇る海原の道。
油絵具を60層重ねる独特の技法によって、それぞれの時間帯の光が実感をもって表現されています。あるいは、朝陽や月明かりに照らされているような感覚になるのではないでしょうか。
お米粒を一つ一つ書き込むシリーズ今年も炊けました!おにぎりを見ていると唾が出てくるのは梅干しの味を知っている者だけのことでしょうか・・・^^
おにぎりは葉っぱの上に置かれています。地面の上に食べ物を直に置くのはちょっとな、という感覚は、やはり人間だけのものでしょう。
今回初の試み。会期中に弓手さんが九州取材に出かけ、糸島・鹿児島で描き上げたドローイングを描きたてほやほやで展示しました。取材中の詳細は弓手研平さんのブログに書かれていますので、是非ご覧ください!
▼えかきの思考/弓手研平
http://blog.livedoor.jp/k_yunde/archives/2022-05-24.html
http://blog.livedoor.jp/k_yunde/archives/2022-05-27.html
そんな小旅行を経て、初夏の爽やかな天候に恵まれました5月28日、弓手研平さんによるライブドローイングが行われました!
今回のライブドローイングの開始の直前に、「やっぱり桜島を描きます」とおっしゃったことから、糸島を描くか、鹿児島を描くか迷われていたことが伺えました。
「ある程度構図を想定しながら作っておいた下地をみながら、何が見えて来るかな〜とか考えながら決めて行きます。」
下地を準備しておいた紙を手に、誰にでも分かりやすい言葉で説明をしながら・・・・
昨日見てきたばかりの、そしてその場では描くことのできなかった夕景の桜島が、百道の会場に現れてきました。
ドローイングでも土から描くスタイルは変わりません。
ベンガラという赤褐色の顔料は、土を描く段階でよく使用する色の一つです。多くは土に含まれる酸化鉄という素材から作られており、世界中のどこでも採れます。古くはラスコーの壁画にも使われています。
他によく使う画材の一つに、木炭があります。木炭は焼き切った木でできています。
土から得られる画材が重なり、自然の姿に戻っていくようで、なんとも不思議な光景です。
「桜島の火山灰を持ってきました」
嬉しそうに取り出したビニールには、採りたての火山灰が。
これを透明のメディウムと混ぜると、火山灰色の絵の具として生まれ変わります。
弓手さんは、現場取材で制作中に、その現場にある土や水を、絵の具に混ぜることがあり、今回も「桜島の灰を絵に使いたい!」ととても楽しみされていました。
会場で展示中の、桜島を描いた作品には火山灰が、湧水を描いた作品にはその湧水が使用されています。
このイベントの翌日には、ギャラリートークが開催となりました。新館に展示中の、『日本国憲法の心を描く』シリーズ(全110点のうち16点展示中)がトークテーマです。
時は2006年に遡ります。何気なく新聞に目を通していると、『物乞いのいない最貧国』という強烈なキャッチフレーズでブータン王国が幸福度世界一だと紹介する記事を見かけたそうです。ブータンって面白そうやな、行ってみたいなと思っていたそうです。ほぼ同じタイミングで、とある弁護士の方からの依頼が舞い込みます。「憲法を絵に描いてみないか」この一言がきっかけとなりました。今まで誰も取り組んだことのないモチーフ。さらにユニークだったのは、「絶対に法律の勉強をしないで絵を描くこと」という条件が課せられたことでした。「憲法」は幸せになるための方法が書いてあるのではないかとイメージしていたところに、ブータン王国の記事がフラッシュバックし、ブータン王国への取材を決意。当時かなり厳粛であった入国制限をクリアし、ブータンに入国してからの体験は、その後の制作にも多大な影響を与えました。
弓手さんは、ブータンの人々と触れ合ううちに、美しい国土を全国民の財産とし、家族を大切にすることを尊ぶ風土を感じ、その様は、日本人が原風景として思い描く日本そのもののように思われました。
どの作品も圧倒的な密度です。こんな作品を110点も、しかもたったの5年で完成させたこと、やはり驚異的です。ご本人も「人生で一番頑張った」とおっしゃっていること納得の限り。完成から約10年の時を経ての公開となりました。完成するまでは、個展の依頼もすべて断っていたとのこと、感慨深く思われます。このシリーズは、これまで殆ど日の目を見ずに保管されおり、画廊スタッフも初めて目の当たりにするものがほとんどです。いつか110点すべての展示が実現してほしいと願います!
「憲法が幸せになるための方法が書いてあるのだとして、では幸せって何だろう?」
画家としての視点で日本を俯瞰するこれらのシリーズでは、自身のパートナーや子供たち、奈良のお寺などの身近な存在も描かれました。幸せという大きな命題を紐解いていく時に、最も身近なものがいつもと違って見えてくるかもしれません。
田植えをし、穂が垂れて、収穫する。ただそれだけを繰り返す。人の営みの原点、原風景を描き続けてきた画家だからこそ、日常に対する新たな側面を気づかせることができます。
本展にお越しくださいました皆様に、深くお礼申し上げます。
本館
弓手研平展
私たちは土の上で生きている
2022年5月21日(土)〜6月5日(日)
新館
弓手研平展
日本国憲法の心を描く
2022年5月21日(土)〜6月5日(日)
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風薫る季節になりました。皆様いかがお過ごしですか。
さて、5月14日(土)より『小嶋勇展〜大地の詩〜』を開催しております。
東京店では初となる小嶋勇先生の個展、まさにブラジルをイメージさせる色鮮やかなグリーン、ブルー、イエロー(ブラジル国旗の色)、そして赤(情熱的なサンバ、赤道近くの熱い国)の作品たちが私たちを驚かせ、南米の自然豊かな大陸とそれを取り巻く地球・宇宙の魅力に引き込んでくれます。
初日から3日間、先生が在廊され、ブラジルへ移住されたきっかけや移住されてからの様々なエピソード、作品制作への思いなどを語ってくださり、私たちスタッフもすっかり先生の描くブラジルの自然豊かな大地と私たちの住む地球、それを取り巻く宇宙への興味を沸き立たせ、すっかり小嶋ワールドの虜になりました。
今回の個展の原点となるのが『EARTH-017』(2017年)、ブラジルの大地をチャーターしたセスナ機で上空から眺めた景色を元に抽象化した作品です。
では、展示の様子をご紹介しながら作品の特徴と魅力に触れてみたいと思います。
画面表面は和紙に水溶性の油絵の具(染物のように和紙に染み込ませる)、キャンバスや板に貼られた和紙のシワや下に描かれた絵の具の筆跡などの凹凸が水に溶かれた液体状の油絵の具を流し込むことで表情を与え、大地の息づかいを感じさせてくれます。
ほとんどの作品にみられる四角や丸の白い出っ張り、これは建物を上から見た形をイメージして描かれています。材料は大理石を原料とするモデリングペースト、画面に載せ、削り・磨いた表面は独特なひび割れを生み、まるで大理石や陶磁器を貼っているかのように見えます。
『蝶の森』と題された作品に見え隠れする蝶のシルエットはブラジルの森(アマゾン)に生息するモルフォ蝶です。その羽は蝶の宝石と言われるほど美しいブルーの羽を持ち、森の中を神秘的に羽ばたいているそうです。
このモルフォ蝶をブラジルの自然豊かな森を保つ生物の象徴として用い、“生態・生命”というものへの思いをこの蝶に託したとのこと。モチーフとして用いたものの「蝶は甘くなるので多用したくない」と語られたのも印象的、時にハッキリと・・時に目を疑うかのようにひっそりと描かれたそれらは、フワッと幻想的に羽ばたく姿が目に浮かび、作品に奥行きを与え、空気感をも感じさせてくれます。
幾重にも絵の具を染み込ませた深く濃いコバルトブルーの作品は深海や宇宙空間に引き込まれるように感じることができ、最も神秘的な作品といえるでしょう。
中でも、床の間に飾られた縦長の作品はすべてが2:1の比率に配され、均整の取れたその全貌は宇宙空間を思わせ、私たちを異次元の世界へ引き込んでくれるようです。中には白い長方形は地球、濃いブルーの部分が宇宙全体に見えるという方もいらっしゃいます。地球と言えば球体(丸)が当たり前ですが、形が違ってもその様に見えてくるのは小嶋作品の面白さと言えます。
この他、「どこでもドア」という声も多く聞かれ、作品を前に笑みがこぼれ、多くの人が欲しいものの一つとして挙げるこのアイテムを連想させるのはコロナ禍で不自由を強いられているからかもしれませんね。
この作品、少量の赤が効いているのも魅力です。
最後に、今回のDMにも使われた黄色い作品『EARTH-蝶の森』をご紹介します。
この作品、他の作品に比べ、黄色と言ってもベージュに近い淡い黄色で一見強烈な印象はないように思えるかもしれませんが、中央から左側にかけ描き込まれた蝶や赤やブルーの下地の部分が印象的です。シルエットで描かれた蝶たちが森の中を羽ばたく様が、目を閉じてもその残像が風を感じさせ、そっと私たちに何か語り掛けるような作品です。
先生はご自身の作品を「引き算」と語り、「間」「粗と密」「余白の美」と表現され、海外での生活で改めて日本の美の感覚を意識され、平面だけではなく、立体空間を思わせる作品を今後制作したいと語ってくださいました。
今回も見られる穴の開いた作品を「穴があることで3次元の表現になる」と語られたのは、その序章なのかもしれません。
今会期と重なって開催されている" ART BASEL HONG KONG" へ出展中の豊福知徳先生の作品とコラボ
ART BASEL HONG KONG 5月24日〜29日
http://www.artbasel.com/hong-kong
“小嶋勇展〜大地の詩〜”は5月29日(日)まで
最終日には先生が再来廊されるかもしれません。
皆様にお目にかかれるのを楽しみにしております。
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JUGEMテーマ:美術鑑賞
画廊の薔薇も色鮮やかに咲き誇る季節となりましたが皆様お変わりなくお元気にお過ごしでしょうか。
さて、みぞえ画廊では「ゴールデンウィーク大感謝祭」と題して、日頃よりご愛顧をいただいておりますお客様へ感謝を込めて、油彩、リトグラフを中心に、現代・物故・海外作家など、幅広いジャンルの作品をお求めやすい価格にて展示いたしております。ご自身へのご褒美や「母の日」のプレゼントとして逸品の贈り物にいかがでしょうか?
〈主な出品作家〉
岡鹿之助 / 坂本繫二郎 /小磯良平 / 牛島憲之 / 平野遼 / 井上長三郎 / 織田廣喜 / 瑛九 / 猪熊弦一郎 / 坂本善三 / 津高和一 / 須田剋太 / 大沢昌介 / マナブ間部 / 靉嘔 / 東山魁夷 / 堀文子 / 難波田龍起 / 村上隆 / アンリ・マティス / マルク・シャガール / ピエール・ボナール / アントニ・タピエス / アントニ・クラーベ / レオナール・フジタ / ポール・アイズピリ / ポール・ギアマン / ジャン=ピエール・カシニョール / ジョルジュ・ルオー / ベン・シャーン / アンディ・ウォーホル他
*出品作家は変更する場合がございます
海外作家コーナー
国内作家コーナー
さて、今回の大感謝祭にて最もご注目いただきたい作品は、 アンリ・マティス 「クッションに座る裸婦(Nu pour Cleveland)」 です。かつてニューヨークのメトロポリタン美術館にも所蔵されていた経緯が伺えます。
アンリ・マティス 「クッションに座る裸婦(Nu pour Cleveland)」
エッチング ed.6/250 36.2x28.3cm 1932年作
フォービズムという斬新な技法で描かれ、さらには「色彩の魔術師」とも呼ばれていたマティスですが晩年に描かれたドローイング作品も高い人気を誇ります。
画面の均一な広がりに、線によって抽象的なリズムが加わり、マティスならではの表現が人々を魅了します。
しなやかで優美な裸婦像。掲載画像では十分に詳細ご覧いただけないことは残念ですが、是非画廊にお越しいただき実物の作品をご覧いただき豊かな曲線美をご堪能下さい!
ベン・シャーン 「マルテの手記」より リトグラフ 54.2x42.5cm 1968年作
右上:「多くの都市を」ed.(200)、右下:「産婦の叫び」ed.(200)
左上:「死んでゆく人の枕もと」ed.(200)、左下:「扉」
ベン・シャーンは1968年 リトアニア(帝政ロシア領)生まれ。7歳の時にアメリカに渡ります。社会派リアリズムの画家として戦争、貧困、差別などをテーマにした作品を描きました。今回展示中のリトグラフは1910年に発表されたドイツの詩人リルケ(1875−1926年)の唯一長編小説『マルテの手記』の挿画がもとになってます。
上記「産婦の叫び」を観る度に今、まさにウクライナで戦火を逃れながら大きな不安を抱き出産に挑む産婦の映像が脳裏を駆け巡ります。ベン・シャーンが今この時代に生きていればどんな叫びを絵で訴えたでしょうか。
レオナール・フジタ「マドンナの横顔」リトグラフ ed.59/220 31x25cm 1957年
憂いに満ちた表情と相反し、力強く描写された指先が印象的です。
さて、これより国内作家をご紹介させていただきます。
マナブ間部 「星の涙」 リトグラフ ed.25/70 78x71cm
マナブ間部は1924年熊本県生まれ。10歳の時に一家でブラジルに移住し、日系人画家としてブラジルで活躍。
1959年にブラジルの美術界の年間総合優秀賞・第1回レイネル賞を受賞するとともに、第5回サンパウロ・ビエンナーレで国内大賞を獲得し、さらにアンドレ・マルローに注目され第1回パリ青年ビエンナーレにブラジル代表として招待され最高賞受賞。この年に一気にブラジルを代表する画家として脚光を浴びることになりました。
今回展示しております「星の涙」はブラジルの大地と自然を感じ洗練されたデザインと色彩が印象的な作品です!
須田剋太 「花」 油彩 F10号 53x45.5cm
洗練されたシックな色合い。今回の大感謝祭の中でも存在感のある作品です!
須田は1949年以降、長谷川三郎の影響により国画会に入り具象画から抽象画の道へ進んでいましたが、1971年に『週刊朝日』より、作家の司馬遼太郎による『街道をゆく』の挿絵制作のを受けて以降、具象と抽象の両方を手がけることとなります。晩年には陶や書の作品をも手がけ、亡くなる直前まで精力的に作品制作を続けました。
上:瑛九「版画集『瑛九・銅版画 SCALE V』より 214.愛の鳥」
エッチング 16.8x10.3cm ed.49/60
下:瑛九「作品」 リトグラフ 54.2x 38.4cm ed.15/50
瑛九は1911年宮崎県生まれ。油彩、フォト・デッサン、版画などに挑み、独自の世界を生み出した画家です。1960年48歳で若くして永逝。
平野 遼 「話す女」油彩 F6号 40.9x31.8cm 1971年
闇から光を引き出され、安らぎをも感じさせてくれる作品です。
小さな「灯」を是非画廊でご堪能ください。
平野遼 作品コーナー
平野遼の油彩作品の他、お求めやすい価格で銅版画もご提供いたしております。
岡鹿之助版画集 第二輯 「三色すみれ」 版画 34.5 x 26.4cm 1970年作
岡鹿之助が数多く描いたモチーフ「三色すみれ」が画廊を華々しく陽気な気分にさせてくれます。筆触をぼかし、色とマチエールの微妙な調和をはかる岡鹿之助の独特な技法が生かされた作品です。
他、版画コーナーでは牛島憲之、坂本繁二郎による作品も一挙ご覧いただけます。
また、本館では常設展も同時開催中です。
5月21日(日)よりみぞえ画廊にて企画展開催を予定しております画家弓手研平の作品の他、ポール、アイズピリ、ジム・ダイン、鴨居玲、野見山暁治、山口薫、坂本繁二郎、豊福知徳の作品を一挙展示いたしております。
弓手研平「満月と三日月昇る林檎の木」油彩 S10号 2021年
弓手研平「満月昇る薄桃色の道」油彩 M4号 2022年
GW大感謝祭は5月8日(日)まで開催いたしております。
多くの皆様からのご来廊を心よりお待ちいたしております。
〜次回の企画展予告!〜
弓手研平展「私たちは土の上で生きている」
2022年5月21日(土)〜6月5日(日)
会期中無休 10:00-18:00
会場 みぞえ画廊福岡店
作家在廊日 5/21(土)、22(日)、28(土)、29(日)
JUGEMテーマ:展覧会
桜の季節が過ぎ、街がツツジやハナミズキなどの花で満ちる季節となりました。
皆様いかがお過ごしでしょうか。
さて、4月16日(土)から始まりました『10周年記念展〜名画は永遠に〜』は連日多くのお客様にいらしていただき、改めてこの10年を振り返るとてもいい時間をいただいております。
今回は初お披露目となりましたシャガール『オルフェ』とピカソ『女の顔』を中心に国内外の物故作家を主に展示をいたしました。
シャガール『オルフェ』はパリのオペラ座の天井画「夢の花束」にも描かれたギリシャ神話『オルフェウスとエウリュディケー』の主人公オルフェウスを中心にその物語を1枚の絵に表現した傑作、描かれたモチーフはシャガールらしいものばかり、ハッと目を奪う鮮やかな色彩はその物語のシーンや感情を上手く私たちに伝えてくれ、作品を前にその物語が頭の中で展開するのを感じ、思わず佇んでしまいます。
ピカソ『女の顔』はフランソワーズ・ジロー(最後からの2番目の愛人、唯一ピカソを棄てた女性 アーティスト)をモデルに描かれ、一つの顔にいくつもの角度、表情が描かれたピカソらしい作品です。描かれた彼女の顔は色も表情もとてもクール、サインの上に書かれた日付“24・3・53・”(1953年3月24日)とあり、彼女がピカソの元から去る約半年前(1958年9月に去る)に描かれたことが分かります。彼女はピカソの元を去った後、“ピカソのミューズ”という肩書を取り戻すのに約20年以上の歳月がかかったそうですが、NYのMoMAなどに作品が収蔵され、アートディレクターとしても才能も発揮するようになります。この作品は二人の関係で不穏な空気が漂っていた時の表情とも取れますが、自立した凜とした女性の姿を描いた作品とも思えます。ぜひ、皆様の中でも想像を膨らませてご覧ください。
この他、今回は各展示空間に、この10年を振り返るそれぞれのテーマを設け展示をしていますので、それも合わせて楽しんでいただけましたら幸いです。
では、それぞれの空間の展示の様子をご紹介したいと思います。
玄関はシャガール『オルフェ』を正面に、右側に鴨居玲『ヴァイオリン』、左側カウンター越しにはお付き合いが深く今年海外の展示会にも出展いたします野見山暁治『無題』(5月Taipei Dangdai出展・今年6月18日〜7月3日 野見山暁治展開催)、豊福知徳『無題』(5月 ART BASEL HONGKONG出展)を展示しております。
和室とリビングを繋ぐ空間にはこの企画には欠かせない世界を代表する画家からフェルナン・レジェ『Les papillons dans la roue(étude)』、ワシリー・カンディンスキー『自然な線』を展示しています。
和室には国内物故作家を揃え、長谷川利行、牛島憲之、山口薫、三岸節子、香月泰男、井上長三郎、麻生三郎、糸園和三郎、平野遼、織田廣喜、浜田知明、池田龍雄の作品を展示。
それぞれの作品を前に会話が弾む空間となっています。
中でもこれまでになく、珍しいと話題になるのは井上長三郎、池田龍雄の作品・・
井上長三郎は戦後、ヴェトナム戦争などの事件の絵画や礼服姿の議員たちの風刺したユニークな作品を描き、今回展示した『顔』も誰か著名な人物と思われます。
池田龍雄も50年代から風刺とユーモアを交えたペン画シリーズを発表、この『標的』もそれを彷彿させる作品です。
リビングは抽象画が揃い、昨年開催した『抽象画って何だ??』展を思い出させる空間になっております。新入荷の今井俊満『Untitled 』を中心に伊藤久三郎『Capture』、須田剋太『無題』、坂本善三『作品79』が抽象画の面白さを楽しんでいただく空間となっています。
そして、本棚の一角にはベンシャーン『Man Reading Book(本を読む人)』をそっと寄り添うように展示いたしました。
お茶室には庭に置かれた作品と同じ豊福智徳の作品を2点配し、床の間に坂本繁二郎『厩の母仔馬』、その脇に瑛九のパッっと目を引く油彩(題不明)を展示しています。坂本繁二郎の作品はその場にしっくりと合い、思わず前に座り込み時が経つのを忘れてしまうほど優雅な時間が流れ、改めて絵画がもたらす豊かな時間を感じることができます。
そして、ピカソ『女の顔』が展示されているのが書斎・・この空間は西洋絵画をメインに、マティス『窓辺の女』『赤い背景の裸婦』、モネ『ジヴェルニー風景』、ルノワール『肌着を直す少女』を展示、幾度と展示したことのある作品たちではありますが、改めて瀬在琢磨するこの時代の西洋絵画を目にし、未来を担う作家たちへ思い馳せることができる空間になっています。
そして、この空間に唯一日本人作家の猪熊弦一郎『メキシコの思い出』を展示、昨年秋に開催した『いのくまさんとマティス先生』展を振り返ることができる空間になっています。この『メキシコの思い出』は落ち着いた色調の抽象画ですが、描かれているモチーフはとてもユニークなので別編で改めて書きたいと思います。
ざっと展示の様子をご紹介してきましたが、会期中、皆様と共にこの10年を振り返り、未来へ馳せる思いを分かち合えましたら幸いです。
会期・・5月8日(日)まで。皆様のお越しを心よりお待ちしております。
JUGEMテーマ:展覧会
春爛漫、町が桜色に色づく季節となりました。
皆様いかがお過ごしですか?
さて、東京店では3月19日(土)より今年初の個展『城ケ崎悟展 こころという空に』を開催しております。
6年ぶりとなる城ケ崎先生の作品は計31点、静物・人物・風景とバリエーションが豊かでいずれも優しく温かい作品ばかりです。
作品を前に先生は「見る人に絵を完成させたい」「具象であって具象じゃない。抽象であって抽象じゃない。」「崩れた時に完成が見えてくる」「描いているうちに変化し、見る人によって更に変化し続ける」・・と語り、一言でいうと「日向ぼっこのような・・」とメッセージをくださいました。
作品を見ていると自然とスッと自身が作品に入り込み、何か温かな空気に包まれる感じがします。それが先生の言う『日向ぼっこのような・・』ってことなのかもしれません。
強烈ではないけれど、いつまでもそばにいるような不思議な魅力があり、まるで魔法にかけられたかのようです。
そんな作品たちの中から私のお気に入りの作品をご紹介し、その魔力について少し綴ってみたいと思います。
『風はどこへ』・・看板にもなったこの作品は真っ先に私の目に入り、思わず「右の子・・私!」と声を上げてしまうほど・・誰もが懐かしく、親しみを感じるこの作品の虜に一瞬のうちになりました。
子供と兎が戯れる様子が印象的なこの作品は単に描かれている2人の子供と兎の可愛さだけでなく、そこここに虜にする要素が隠れているようです。それは2人の子供の様、顔立ちや目線、髪形・色、兎と戯れる手の表情など親しみを感じる何かが存在しています。それに加え、テーブル(グレー)、草原(グリーン)、空(ピンク)という平行して描かれた平面は印象的で見るたびに違う風景に見せてくれるような気がします。
特にピンクに塗られた空 ‟朝焼け″ や "夕焼け" にも見えますが、時に "真っ青な晴天の空″ に見え、いつの間にか想像力が働いているのです。
これぞ ‟城ケ崎マジック!”・・見る人が作品に入り込み、想像し創造する・・これが先生の言う「見る人に絵を完成させたい」ということなのでしょう。
この他の作品も同様、風景画は自身がまるでその場にいるかのような気持ちにさせられ、人物画は自身や家族、友人に見え親近感を感じます。花や静物画は平面に描かれているのに立体的に見え、奥行きを感じ、今にも動き出しそうで、楽し気な作品ばかりです。
先生は自身の作品についてピカソ、クレー、ゴーギャン、モディリアーニ、マティス、岸田劉生、青木繁、坂本繁二郎・・といった有名な画家たちの例を挙げお話くださいました。
これまでに描かれた作品を見るとその意図がくみ取れ、描き込み、試行を重ね、自身の表現を生み出してきた先生の姿勢を感じることができます。
先生は「これからもっと楽しい絵を描きたい。人物も花も風景も・・」と語ってくださいました。
先生が在廊された3日間、多くのお客様に混ざり、若手アーティストの中村宏太先生ご家族、オーガベン先生もいらしてくださいました。
アーティストとして、人として・・城ケ崎先生は後輩アーティストに素敵なメッセージを送られたようです。とてもいい写真が撮れました。
👆城ケ崎先生ご夫妻&中村宏太先生ご家族
👆城ケ崎先生&オーガベン先生
オーガ先生は今年12月に個展を予定しております。彼の作品も夢あふれ、温かい作品ばかり・・
昨年はガラス絵や原点に還りパステル画も精力的に描かれていらしたので12月が楽しみです。
『小さな侵入者』・・
この可愛い子は城ケ崎先生なのでは?!・・といつの間にか思い始めています。
スッと私たちの心に入り込み魔法をかけてしまう悪戯っ子のような・・
皆様はどう感じられますか??
残す会期、皆様と作品を見ながら語り合えましたら幸いです。
城ケ崎悟展 こころという空に 4月3日(日)まで
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桜花爛漫の好季節を迎え、皆様お健やかにお過ごしのことと存じます。さて、みぞえ画廊では小嶋勇展−大地の詩−を開催中です。
展示作品22点の内、本展にて初お披露目となる新作19点が一挙新館にてご覧いただけます。画家人生半世紀にわたり小嶋勇が追い求めた美の世界。独自の混合技法で描かれた作品が、みぞえ画廊新館の真っ白な壁に映える様は、小宇宙がはらむ無限を思わせます。
新館展示の様子
新館展示の様子
新館展示の様子
「EARTH・蝶の森」 90 x 90 cm ミクストメディア 2022年作
情熱的なラテンの香りを漂わせる鮮やかな色彩。それでいて、どこか東洋の融合をも感じさせる作品。セスナ機上空からかつて画家が暮らしたブラジルの大地を見たインスピレーションを抽象的に表現しております。
小嶋勇はブラジル、日本を中心に世界で発表を続け高い評価を得てきた画家です。
1938年福岡県生まれ。1961年に福岡学芸大学美術科卒業後、北米、南米、欧州を遊学した後、ブラジルのサンパウロに定住。サパウロ、リオデジャネイロを中心にスペースデザイン及びオブジェ作家として輝かしい功績を成し遂げます。1977年にはブラジル人画家の誰しもが憧れる「サロン ジョウベン展」特別賞受賞。ブラジルで8年間定住の後、1978年に日本へ帰国。帰国後も作品制作に挑み続け、2010年には「第8回ローマ国際ビエンナール」優秀賞受賞(イタリア)するなど他数々の名だたる賞を受賞。また、ニューヨーク、サンパウロ、リオデジャネイロ、上海などにて数々の個展を開催し、現在も尚、作品発表の場は国内だけに留まらず海外からのオファーも多く、世界をまたに活躍中。
【受賞経歴、過去開催作品展】
77年サロン ジョウベン展特別賞(サンパウロ)。2005年CASA TOHMAS JEFFERSON ART GALLERY企画個展(ブラジリア·ブラジル)。GALERIA DECO 企画個展(サンパウロ)。06年養清堂画廊個展(東京銀座)。08年横浜とサンパウロの現代アート展(横浜)。10年第8回ローマ国際ビエンナール優秀賞受賞(イタリア)。上海万博 中日韓美術作品交流展(上海美術館·上海)。個展(サンパウロ)。ARTE PADOVA 2010(イタリア)。ブラジリアンアート展準大賞受賞(イタリア)。11年個展Joo mane espaso e cultura(サンパウロ)。13年みぞえ画廊個展(福岡)。18年沸点の現象展(田川市美術館)。全国カレンダー展銀賞受賞。
「EARTH-017」 162 x 118cm 2017年作
拡大画像
作品の切取り画像ですが、ここには沢山のモチーフが映し出されております。
荒野、畑、泉、牧場など。。。抽象表現であるにも関わらずこの集落で生活する人がひょっこり現れてきそうに思えませんか?厚紙や布、和紙、大理石など様々な素材が何層にも重ねられ、和の素材、マティエールに拘った見事な平面作品です。
「EARTH-022」 48 x 67cm ミクストメディア 2022年作
実際に画家がパタゴニア上空をセスナ機から観た氷河がモチーフになってます。パタゴニアはアルゼンチン南部に位置し、4,000〜5,000m級の峰々が連なり、強風が吹き荒れる自然の厳しい場所です。
モチーフとなっている画面中央の氷河は大理石の粉を定着材を使用し固めて表現されております。太くくっきりとした皺が全体のバランスを保ち、また余分なものが削ぎ落された洗練された作品。優美なコバルトブルーのグラデーションが見事です!
拡大画像1
作品中央部
拡大画像2
作品上部のモチーフ
左)「EARTH・蝶の森」 50 x 50 cm ミクストメディア 2022年作
右)「EARTH-022」 43 x 43cm ミクストメディア 2022年作
右の作品の拡大画像 ↓
太い皺は「路」を表現しております。
水溶性の油絵具を水で薄め、湿った和紙の上に様々な角度から塗料を流し込み、和紙がもつ繊細さ、強さにより和紙ならではの「皺」が作られます。本展の作品制作においては画家は刷毛は使用してますが、筆は一切使用しておりません。小嶋作品ならではの独自の表現方法です。
左下以外の作品 「EARTH-022」 40 x 40cm ミクストメディア 2022年作
左下の作品 「蝶の森」 41 x 41cm ミクストメディア 2022年作
画家が実際にブラジルの原生林で出会った森の宝石「モルフォ蝶」が表現されております。(上記左側上下の作品)
モルフォ蝶は、主に北アメリカ南部から南アメリカにかけて生息し、表側が金属光沢のある青の大きな翅を持ち、「世界で最も美しい蝶」「生きた宝石」などと称されております。蝶は自然界の生態系を保持していく上で必要な花の受粉を手助けし生態系において欠かせない存在です。小嶋作品においては時に生命の象徴のように蝶が現れます。画家は蝶を描くことにより自然、作品のタイトルにもつけられている地球、EARTH、並びに生命の尊さなどといった自然観を表現しております。
「モルフォ蝶」(イメージ)
ギリシャ語でモルフォは「美しい」を意味します。
「蝶の森」 46 x 21cm ミクストメディア 2022年作
和紙本来の柔らかい風合いと余白から生まれる美が印象的です。金泥を薄く塗り重ねて作られ余韻に浸りたくなるような作品。「蝶の森」シリーズは実際に画家がブラジルの原生林に降り立ち、青く輝きながら優美に舞う「モルフォ蝶」と「神秘的な森」がインスピレーションとなっております。
EARTH-018 90 x 90 cm ミクストメディア 2018年作
コバルトブルーの濃淡が美しい作品。
通常の和紙よりも3倍固い和紙で作成され重厚感が増し、独特のトーンを演出。幻想的な小宇宙を表現されております。
画像では分かりにくいかもしれませんが丸状の形は穴です。穴が開いてることで、影が生まれ、三次元の空間が広がります。
本展は4月10日(日)まで開催中です。
連日お陰様で沢山のお客様が画廊へお立ち寄りくださってます。
会期中の来廊日:4月1日、2日、3日、8日、9日、最終日の10日
画家在廊時には独自の表現方法を直接お聞きいただけます。
↓
(お客様に許可得て撮影)
ニューヨーク、上海、サンパウロ、リオデジャネイロなど、国内外で活動を続ける小嶋勇が創り出した絵肌を直にご覧いただくまたとない企画展です。美しく、繊細で、そして世界平和を遠くから祈ってくれているような静かな小宇宙の世界とブラジルの大地を画廊にてご堪能ください。多くの皆様方のご来廊をお待ちいたしております。
★みぞえ画廊東京店でも、個展を予定しております。是非ご期待ください。★
東京店 小嶋勇展
会期 2022年 5月 14日 〜 29日(予定)
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今年で16回目を迎える日本最大の現代アートの祭典
「アートフェア東京 2022」
が3月11日(金)から3月13日(日)まで東京国際フォーラムにて開催されました。
みぞえ画廊も2012年から出展しており、今年で10回目です。
出展作家
野見山暁治/弓手研平/小松孝英/中村宏太
のみやま ぎょうじ/1920年福岡県穂波村(現・飯塚市)生まれ。43年東京美術学校油画科卒業、応召、満州に派遣。52〜64年滞仏。58年第2回安井賞。68年東京芸術大学助教授(’72教授)に就任(’81年退官)。92年第42回芸術選奨文部大臣賞。94年第1回福岡県文化賞。96年毎日芸術賞。2000年文化功労者。14年文化勲章。
野見山暁治『 どこに住んでる 』F100号 2020年
ゆんで けんぺい/1970年大阪府生れ。1996年大阪芸術大学美術専攻科修了。1997年昭和会展日動美術財団賞。一水会展佳作賞3回、新人賞(’95)、文部科学大臣賞(’13)。2009年第28回損保ジャパン美術賞受賞。2011年「日本国憲法のこころを描く」シリーズ110点完成。2019年映画「かぞくわり」プロデュース、美術監督を担当
現在、一水会常任委員、研水会委員、日本美術家連盟会員など。
こまつ たかひで/1979年宮崎県生まれ。同在住。無所属。九州デザイナー学院アーティスト学科卒業。国連生物多様性条約記念ミュージアムに収蔵。2016年LEXUS NEW TAKUMI PROJECT にて宮崎の匠として選出。オートモビルカウンシル2018(東京)にてアートヴィンテージカーを発表。国内外のアートフェアに多数出品、および個展開催多数。「九州から世界へ」を実践し生物多様性をテーマに描く。
小松孝英『蟇御玉杓子三密図』M100号 2022年
なかむら こうた/1975年鎌倉市生まれ。1999年 Syracuse University ファインアート科 油画専攻 卒業。2003年 New York School of Visual Arts 修了。2010年 東京藝術大学大学院美術研究科油画研究領域修了。2015年 太陽の塔に対峙せよ!展(岡本太郎記念館) 入選。2017年「アートオリンピア2017」銅賞、FAN美術館収蔵。2018年 バングラデシュ・ビエンナーレ出品。ニューヨーク、国内外の展覧会多数。東京を拠点に活動。
中村宏太『音速S』40cmx40cmX1cm 2019年
前日の3月10日(木)は、プレス関係者やVIPのお客様をご招待してのプライベートビューが開催されました!
夕方からは各国大使の方々もお越しになられ、国際色豊かで、大変賑やかな会場になりました。
【B1階 ロビーエキシビションエリアの様子】
野見山暁治先生は2000年代に制作された作品を展示しました。
お歳を重ねるごとにますます色彩豊かに、力強くなられているうような作品です。
(左より『生れながらに』2009年、『かくれ山水』2011年、『もういいだろ』2021年)
弓手研平先生はアートフェアのために制作した作品が、壁一面に並んでいます!
大作、小品含めその数なんと30点!
弓手先生といえば、「林檎の木」ですが、その「林檎の木」の下には、最近はニワトリや白猫などの動物が描かれています。
すべての生物に注がれる暖かい目線が作品に表れています。
ニワトリが地面をついばむ様子(『林檎実る幸せな朝』M50号より)
白猫散歩中・・・(『林檎の木と白い猫』S3号より)
小松孝英先生も今年の新作が並びます。
「蟇御玉杓子三密図」100号の大作です!
オタマジャクシが集団でうねりながら泳いでいるところが目に浮かびます。
オタマジャクシも1匹1匹濃淡をつけ、緻密に描かれています。
中村宏太先生は、今回初参加。『境界』と『音速S』を出展いたしました。
銃弾によって、ものが崩れるその一瞬を切り取った作品です。
『音速S』は観る人自身が映り込み、観る人側と反対側の空間の相反する世界観を表現。
『境界』はガラスの青緑色のひびの冷たさとフィルムの熱き色が混在します。ギリギリでガラスのフォルムを保ちつつ壊れ、美しさと暴力的危うさが相反する作品です。
はじめてのアートに、ジッ・・・と見入るお客様が印象的でした。
(左より『音速S』、『境界』)
先生方もお客様のご対応に大忙し💦
ですが、コロナ禍でお客様とのコミュニケーションの場が以前よりも減少していたせいか、皆さんとても
生き生きと笑顔で御対応なさっていました。
本坊酒造とのコラボレーション、小松孝英手書きラベルのマルスモルト30年(非売品です!)
ご来場くださいましたお客様、誠にありがとうございました。
また初日からたくさんのご売約を頂きまして、本当にありがとうございます。
スタッフ一同、心より御礼申し上げます。
P.S.会期は終了いたしましたが、作品は以下のサイトでご覧いただけます。
アートフェア東京2022
https://artfairtokyo.com/artworks?artistName=&fair_id=18&era=&gallery_id=318
ArtScenes Cross Show 2022(3/21まで)
https://art-scenes.net/ja/fairs/23/artworks?.ref=article&gallery_id=31
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穏やかな日差しに春を感じる今日この頃、皆様お健やかにお過ごしでしょうか。さて、みぞえ画廊では「いのくまさんとマチス先生展」を3/6(日)まで開催中です。
戦後の抽象絵画を代表するアーティストのひとりである猪熊弦一郎は、1938年憧れのパリに渡りアトリエを構えます。アンリ・マチスに会い、「自分の表現とは何か」を問い続け、その後の画家人生においても作風を時代とともに変えていきます。本展では猪熊弦一郎の日本初公開となる大作を含め作品33点の他、マチスの油彩作品、素描、版画なども合わせてご覧いただけるまたとない企画です。本展開催にあたり丸亀市猪熊弦一郎現代美術館並びに香川県立ミュージアムよりご協力を賜り開催の運びとなりました。猪熊とマチスの深いつながりを学んでいただく資料も豊富に揃えております。是非みぞえ画廊へお立ち寄りください。
〜猪熊弦一郎の地元香川県では、「いのくまさん」として親しまれています。また猪熊弦一郎はアンリ・マティスのことを「マチス先生」と呼んでいたそうです。今回のブログのみ、猪熊弦一郎を、「いのくまさん」、アンリ・マチスを「マチス先生」と称させていただきます。〜
本館の様子
新館の様子
いのくまさんについて
1902年香川県高松市生まれ。東京美術学校(現・東京藝術大学)の藤島武二教室で西洋画を学び、1936年に小磯良平らと新制作派協会(現・新制作協会)を結成。マティス、ピカソ、藤田嗣治、イサム・ノグチら様々な芸術家と交友を深め、彼らに刺激を受けつつ独自の画風を追求。また、制作活動は幅広く三越デパートの包装紙「華ひらく」のデザインや、JR上野駅中央コンコースの壁画《自由》の制作、『小説新潮』の表紙絵を40年間を担ったことでも知られています。
「夏のテラス」 1948年作 板に油彩 F6号
モデルはいのくまさんの奥様。夏の清涼感に溢れ安らぎを感じる作品です。
黒い縁取り線などマチスの影響が若干感じられる作品の一つです。
いのくまさんは1938年35歳の時に夢に見たパリに渡り2年間滞在。1930年代はアンリ・マティス、ピカソ、シャガールなどが華々しく活躍していた時代です。
そしてパリの地でいのくまさんが誰よりも会いたい!と切望したのがマチス先生(1869年-1954年)。
1939年、その時いのくまさん36歳 願いが叶います。(マチス先生、当時69歳)
場所は南フランスのニース。地中海の明るい光が入り、黄色の絨毯、白い壁、熱帯植物の緑が印象的な豪華なマティスのアトリエに案内され、いのくまさんはまるでマチス先生の絵の中にすっぽり自分自身が入り込んだような錯覚に陥ったとその日のことを感激して幾度も語ったようです。
そしてマチス先生はいのくまさんの絵をみるなり、「きみの絵はうますぎる」と、また、「額縁にいれなければよく見えない絵じゃだめだ。」とぴしゃり。ショックを受けたいのくまさん、益々マチス先生の魅力にのめり込みつつも「自分の表現」とは何かを模索します。そして時代は第二次世界大戦の最中、帰国を余儀なくされ2年のフランス滞在を経て日本へ帰国し更なる制作活動を続けます。
「猫に囲まれた子供」 1952年作 キャンバスに油彩 M25号
いのくまさんは猫好きで猫をモチーフとした作品が数多く残ります。田園調布の邸宅では猫を12匹も飼ったことがあったようです。
溺愛するのではなく、猫そのものの生体に興味を抱き惹きつけられ、猫との共存を楽しんだようです。
マチス先生の作品をご紹介!新館にて展示中です!
マチス先生について
1869年、フランス・ノール県ののル・カトー=カンブレジで雑貨屋の長男として生まれました。青年期の頃、法律事務所で働いていましたが20歳の時に虫垂炎を患い入院。その療養中に母から絵画を勧められて、それがきっかけで絵に興味を持ち始めました。その後、すぐに芸術にのめり込み、1891年にはパリの私立美術学校アカデミー・ジュリアンへ入学。法律家としてのキャリアを捨て、芸術家としての道を志すようになります。
マチスは19〜20世紀に活躍したフランスの画家であり、彫刻家。フォーヴィスム(野獣派)と呼ばれる活動の代表的な存在であり、自身の感情を独自の色彩感覚で描いた作品を次々に生み出しました。
その大胆な色彩からマチスは「色彩の魔術師」とも呼ばれる巨匠の一人です。
アンリ・マチス作
「赤い背景の裸婦」 1922年作 キャンバスに油彩 55.5 x 33.6 cm
エレガントに立つモデルはアンリエット・ダリカレール。1920年から7年間マチス先生の主要なモデルを務めました。彼女との出会いにより、マチス先生はオダリスク(18世紀以降の東洋趣味の象徴として多く描かれた、ハーレムに仕える女性。)をテーマとする作品を多数生み出しました。華麗な壁掛けの模様が彼女の裸体と同じぐらいのバランスで力を放つように思えませんか。
火鉢のある室内 1927年 紙に鉛筆 23.9 x 31.8 cm
メトロポリタン美術館所蔵 「灰色のキュロットのオダリスク」(1927年 油彩 64X81.3cm)の元となるデッサン。
いのくまさん曰く、”マチス先生はとにかくデッサンを何よりも大事にしコツコツと努力を重ねた巨匠。その上で美の極意に達することのできた画家”と常に敬意を表していたようです。
日本初公開!いのくまさん作「メキシコの思い出」
「メキシコの思い出」1956-57年作 キャンバスに油彩 152.4 x 119.4 cm
いのくまさんはニューヨークに1955年から1975年まで20年間滞在。ニューヨークでの2回目の個展をウィラード・ギャラリーで開催した際の出品作です。淡い繊細な色合いで観る側に何か「間」残すかのような余韻に浸れる作品です。新館にてゆったりとご覧ください。
1955年52歳、いのくまさんはパリへ渡り新しい作風を模索したいと日本を出発。
途中、建築家の吉村順三をたよりにニューヨークに滞在したことが運命の分かれ道となります。
結局パリには赴かず、1955年から20年ニューヨークで具象作品から抽象作品への画風を変えてエネルギッシュに作品制作に励みます。
無題 1966年作 紙に水彩・グワッシュ75.6×55.9cm
ニューヨークでの新しい生活により、具象から抽象へと表現方法を大きく変え一層自由な心でキャンパスに向かうようになります。ニューヨークの街中のビル群が空へ空へと続く物体を抽象的に描き、今まで描いていた「水平」の目線から「垂直」に描く美しさに作風を確立。作品「都市構設」などにみられる縦に伸びた抽象作品など、いのくまさんの新しい表現方法が注目をあびることとなります。
無題 1975年作 紙に鉛筆 35.6×25.4cm
1975年、20年間のニューヨーク滞在期間を経ていのくまさんは日本に帰国します。
この作品はニューヨーク滞在中最後の年に描かれた作品です。
図柄〇、△、□・・・いのくまさんはとにかくバランスを大事にし、バランスが崩れた絵には説得力がない。人を不快にさせるものだと語っていたようです。
丸と角(A)1977年作 キャンバスにアクリル 45.5 x 40.8 cm
いのくまさんはニューヨークから日本に拠点を移した後、冬はハワイで生活。
ハワイのきらきらと輝く海の印象を強く受け、カラフルな色彩を好んで選ぶようになります。
人物 1989年作 キャンバスに油彩 F8号
1988年、いのくまさん85歳 60年間連れ添ってきた奥様の文子さんが他界。
深い喪失感に苛まれながらも文子さんの顔がいつか作品に出てくるのではないかと「顔」をひたすら描き続けました。描き続けるうちに目、鼻、眉、口が散らばっている構造もほんのちょっとの違いで別の表情となり二度と同じものを描けないという難しさ、新たな発見に遭遇。「顔」シリーズはいのくまさんの晩年の代表作の一つとなりました。
版画集『FACES』より
右:FACES 9-1 左:FACES 1
1989 年作 リトグラフ ed.5/50 51.5 x 40.4 cm
本館ではニューヨークを拠点をにしていた頃に制作された、水彩、ペン画、リトグラフなど一挙ご覧いただけます。
「無題」 1968年作 塗工紙にマーカーとインク 25×48.3cm
↓拡大したモチーフ
楽しく心躍る作品です!
無邪気で好奇心に満たされるような心を常に保ちたくなる作品の一つです。
マーカーペンで描かれた貴重な作品。
いのくまさんならではの雑妙な色合いとバランスを是非画廊で感じ取ってください。
資料コーナー本館にて開設!
資料コーナーでは猪熊さんの代表作品の一部を丸亀市猪熊弦一郎現代美術館並びに香川県立ミュージアムのご理解、ご協力により複製パネルにてご紹介いたしております。
その内のひとつ、2年間の渡仏時代最後に描かれた「マドモアゼルM」の複製パネルも展示中です。
この作品は後にいのくまさんの具象画の代表作となりました。
↓
「マドモアゼルM」のモデルは奥様文子さんの知り合いハンガリー人の女性です。1940年第二次世界大戦の最中フランスから日本への退去命令を下された1週間後「マドモアゼルM」は完成し、いのくまさんも帰国の覚悟を決めたそうです。フランスからの日本への最後の避難船に乗船し、いのくまさんは大事にこの作品を日本に持ち帰りました。
マチスは世界中から小鳥を取り寄せニースのアトリエに「小鳥の部屋」を設けていたようです。そんなニースのマチスのアトリエの様子やマチス先生といのくまさんが初対面を交わした際の貴重な写真や記録も画廊にて展示中です。
いのくまさんをはじめとし、荻須高徳や和田定夫著作、マチスやフランスの巨匠について描かれた1950年代の美術本や雑誌原本も併せて展示中です。著書や雑誌より抜粋した資料など、画廊にてごゆっくり閲覧可能です。
今回も見応えたっぷりの企画展です。
いのくまさんとマチス先生と奏でる永遠の美のハーモニーを画廊にてたっぷりご覧ください。
いのくまさんは晩年においても「描くことが生きる喜び」と語っていたようです。
時代ごとの「美しさ」を多岐にわたる画風により生み出された作品の数々、是非ともご堪能ください。
]]>インターンシップ生Yさんがみぞえ画廊に5日間滞在し、お仕事の一部を体験しました。
インターン初日が只今みぞえ画廊にて展開催中の「いのくまさんとマチス先生 展」の開催前日でしてYさんも展示スタッフの一員として体を実際に動かして画廊の醍醐味を味わっていただきました。Yさんによる画廊滞在日記を皆様へお届けします。是非、ご覧ください。
インターンシップ体験記
以前から興味のあったみぞえ画廊さんでインターンシップをさせていただくことになりました!!!!!!
・インターン1日目
朝礼後、展示に向けての作業を行いました。
ワイヤーを使って作品を展示するのは初めてでしたが、スタッフの方々が優しく教えてくださいました。
私自身アーティストの方の展示作業に関わることなんて、人生であまり無いだろうと思っていたので、初日から貴重な体験をさせてもらいました!!!!
明日からの個展に向けての垂れ幕も掲げました。
・インターン2日目
いのくまさんとマチス先生展が開催されました!!!!
雨が降っていたにもかかわらず、お越しくださったお客様ありがとうございます!
2日目は、展示の様子の撮影とキャプションをのりパネに貼って切る作業を行いました。
途中少しだけ接客をさせて頂き、お客様とお話しもできました。
話の中でお客様が「人生は経験だよ」と言われ、今まさにこのインターンシップがそれだ〜!!と感じました!
垂れ幕もかかってます〜!前日スタッフの方と一緒に掲げました。
展示の様子
・インターン3日目
3日目は東京店で開催される展示のDM制作を行いました。
重要な課題でしたが、いつも使っているillustratorでの作業だったので集中して取り組めました。
途中でスタッフの方がコーヒーや紅茶、いちごを用意してくださり美味しくいただきました♪
お気に入りの作品。抽象的な表現とくすんだ色使いが印象的です。
・インターン4日目
接客とインスタの投稿を行いました。
インスタの投稿も言葉にこだわったり、リールも作成したりしているので、ぜひ見てください!
天気が良かったこともあり多くのお客様にお越しいただきました。
中には小さな可愛いお客さまもいらっしゃいました♬
画廊には猪熊弦一郎さんやマティスに関する参考文献が沢山あり、興味深く読ませていただきました。
・インターン5日目
早いことでもうインターン最終日になってしまいました。
ブログの作成を教えてもらい、初めて書くことができました。
最後になりましたが、今回インターンシップを受け入れてくださりありがとうございました。
画廊というアーティストとお客様を結ぶ空間で5日間体験出来て、絵についても画廊のお仕事についても非常に勉強になりました!
また、スタッフの皆さん優しい方ばかりで、私もそういう大人になりたいと思いました。
みぞえ画廊さんは、素敵な絵と素敵な人がいる温かい場所です♪
以上、Yさんによる日記でした。
Yさんへ♡
DM原稿作成及びインスタ投稿など展示作業に加えて一歩踏み入ったところまで今回体験していただき、我々も嬉しく存じます。的確に業務遂行してくださったこと、感謝しております。大変お疲れ様でした。
これから就職活動に向けて全力投球と伺いました。飛躍の一年となりますこと祈ってます。また、Yさんの個性が光るデザインがこれから先いろんな場所で目にすること、社員一同期待しております!
]]>【福岡店】インターンシップ生Nさんの画廊滞在日記
みぞえ画廊ではインターンシップを受け入れており5日間という短い期間でしたがインターンシップ生Nさんがみぞえ画廊に滞在し、お仕事の一部を体験しました。Nさんによる画廊滞在日記を皆様へお届けします。ぜひご覧ください。
インターンシップ体験記
・インターンシップ初日
研修一日目の1月14日はまず作品の梱包作業やワイヤーの取り外し方、お茶出しを学びました。初日だったのでとても緊張してしまいました。また、作品梱包作業の際に作品をよく見ると有名なアーティストの作品だったのでとても驚きました。その他、翌日1月15日から行われる古川吉重展の作品の展示作業をしました。
スタッフの皆さんコーヒーがお好きなようでした。阿部さんのコーヒー愛、強く伝わりました。
・インターンシップ2日目
研修2日目は、作品画題パネルを制作、1月15日に古川吉重夫人真島明子さんのトークショーの下準備などを行いました。トークショーのステージで真島さんの作品をお客様の前で披露しました。とても緊張しましたが、滞りなくトークショーが終わったので良かったです。お話の中で当時のニューヨークやアンディ・ウォーホルなどの有名な方々のお話や古川吉重の人物像や作品の制作がどのように行われていたのかについても聞けて大変勉強になりました。
垂れ幕をスタッフの方と一緒にかかげました。
画題パネルを作りました。
トークショーの様子 真島明子さんの作品を来場者の方々にご覧いただきました。
・インターンシップ3日目
研修3日目は、作品を梱包するための箱の寸法確認をしました。また、お客様に作品を送る際の郵送の仕方や梱包方法について学びました。それに加えて休憩時間には、隣接する生花店フラワーパークで働いていらっしゃるHさんのお誕生日をお祝いさせてもらいました。
みぞえ画廊さんで所有する印象派巨匠の作品を見せていただくと共に、作品入手するまでの経緯などのお話も聞けて極めて感動したと同時にみぞえ画廊さんのインターンシップに参加して良かったと心の奥底から思いました。
阿部さんより作品についてご解説いただきました。
・インターンシップ4日目
研修4日目は、ホームページに更新するための作品の撮影や梱包作業を行いました。
これらの作品を一点一点撮影しました。
・インターンシップ最終日
研修5日目は、ブログの作成方法を教えてもらいとても良い勉強になりました。ブログ編集の際にコーヒーとお菓子を出してくださり、とてもありがたかったです。
最後に、みぞえ画廊さんでインターンシップを体験出来てとても勉強になりました。ここで学んだ事を日々の学校生活で活かしていきたいです。ありがとうございました。
以上、Nさんによる日記でした。
初心忘るべからずの気持ちを大事に社員一同業務に励みます。全てが新鮮に感じられているNさんからそう痛感した5日間でして、我々も学ばせていただきました。
Nさん、良き人生を歩んでください。社員一同応援してます!
]]>JUGEMテーマ:美術鑑賞
一年で最も寒い「大寒」を迎えましたが、お変わりなく皆様お過ごしでしょうか。
さて、みぞえ画廊今年の幕開けは「古川吉重展」です。画家生誕100年を祝っての企画で本館、新館の両館にて開催中です。今回は古川吉重夫人の彫刻家真島明子さん、ご長男であり「KOKI ARTS」代表の石橋高基さんより多大なご協力を賜り開催の運びとなりました。激動の時代を画家として駆け抜けた古川吉重の生涯とその世界をご覧いただける企画です。是非みぞえ画廊へお立ち寄りください。
本館の展示の様子
新館の展示の様子
今回は1980年以降における豊かな色彩と重厚なマチエールを持つ背景に幾何学的な形で描かれた油彩、リトグラフ作品の他、1970年代に作成されたと思われるゴムシートと画布を組み合わせた作品含めて合計約35点を展示中です。
まずは、新館にて堂々展示されている大作油彩シリーズからご紹介させていただきます。
油彩 大作 Lシリーズ
「L10-8」 油彩 178×208cm 1991年
「L10-7」 油彩 178.5×208.8cm 1991年
1980年半ばから大作に挑み始めます。色鮮やかな「地」、幾何学的な形の「図」が組み合わさり古川ならではの世界観が画面いっぱいに繰り広げられております。この臨場感を是非画廊で体験してください!
色彩の明るさにより、「図」が手前に接近してきたり、遠ざかったりする変化もお楽しみください。
「L18-3」 油彩 178.2×208cm 2000年
「BLUE-11」 油彩 油彩 91.7×106.8cm 1997年
「L18-3」、「BLUE-11」 都会的な洗練された色味が印象的な作品です。
2000年に入ってからは「地」と「図」が同系色を使うことが多くなり、双方が静かにハーモニーを奏でています。
油彩 BSシリーズ
落ち着いたトーンの油彩作品が並びます。
グレー「地」に黒の「図」が映えシンプルな様式から生まれる普遍的な芸術作品。
まさに古川芸術の真価ではないでしょうか。
ゴムシートと画布を組み合わせた作品
右:「D-17」 画布・ゴムシート 45.2×56.8cm 1970年代
左:「D-8」 画布・ゴムシート 45.×53.2cm 1970年代
古川吉重は、1921年に福岡市大工町(現・中央区大手門)に生まれました。福岡県中学修猷館を卒業後、東京美術学校に進学。戦争の影響で繰り上げ卒業となり帰福し、徴兵を経ながら当仁国民学校や香椎高等女学校で教鞭をとっていました。その後上京し、作品を発表し続け評価も高まっていた1963年、42歳の古川はニューヨークへ渡りました。現地のギャラリーでの個展を終えると、その地に居を構える決意を次第に固めつつ、帰りの航空券をも現金に替えたそうです。レストランや土産物店で職を転々した後、額縁作りの仕事につきながら自身の作品制作に挑み続けました。そして1970年には芸術家アパート「ウェストベス」への入居許可を得て、住居とアトリエを与えられることになります。
「ウェストベス」とは・・・
「ウェストベス・アーティスト・ハウジング」の略。1970年にグリニッチ・ヴィレッジの一角にオープンした、様々な分野のアーティストに住居やアトリエを提供する芸術家用のアパート。
画家、ダンサー、音楽家、俳優、小説家、映像作家など芸術に関わる人々が居住した。古川が2000年に帰国するまでの30年間、このアパートが制作と生活の拠点となりました。
この頃に制作された上記2点は、ゴムシートと画布を組み合わせた作品です。素材の美しさをそのままの平面で表現する一連のシリーズは東京・福岡でも発表され、大きな衝撃を与えました。その後の古川作品にも通底する、貴重な作品です。
ドローイング Bシリーズ
「BB-125」 オイルスティック・紙 76.5×112.2cm
「B」シリーズと呼ばれる1980年代のドローイング作品。
ひたすら線を引き重ねることによって作られた面と線が響きあいます。
このシリーズ作品では、オイルスティック以外にグラファイト、鉛筆、木炭などを巧みに使い分けて描かれてます。黒、白の面が鋭く浮き立つような大胆な構図が印象的です。こうしたドローイングへの取り組みは、次第に鮮やかな色彩を得つつ、古川の画業のもう一つの柱として、晩年に至るまで続けられました。
リトグラフ 「SOUND」、「P」シリーズ
1980年半ば以降、再び油彩画が描かれ色鮮やかな「地」、幾何学的模様の「図」の絶妙なバランスによって描かれております。
1997年、ワシントン・ナショナル空港の新ターミナル設立に向けて30人のアーテイストが選ばれ、古川はたった一人外国人作家として選ばれました。古川の作品は「Variations on Nature」、油彩とオイルスティックによるドローイングを金属パネルに焼き付けた作品です。
本展ではこの華々しい功績をアメリカで得た同年1997年作の「SOUND」シリーズの他、「P」シリーズなど合計12点のリトグラフをご覧いただけます。まるでポップな音の旋律が放たれるようなエネルギッシュな作品の数々を画廊にてお楽しみください!
ワシントン・ナショナル空港新ターミナルでの作品展示風景
「Variations on Nature」油彩、オイルスティックによるドローイングを金属パネルに焼き付けた作品
右:「20-6」 木 44.3×44.2×8.6cm 2020年
左:「20-7」 木 34.3×39.8×11cm 2020年
本展では古川吉重夫人、真島明子さんの立体作品2点も本展にて展示中です。
真島明子
古川吉重夫人、彫刻家。1952年佐賀県生まれ。武蔵野美術大学彫刻科卒業。
11978年渡米。1980年古川吉重と結婚。2000年までニューヨークで活動。OKハリスギャラリー(NY)などで個展開催。
ブルックリンミュージアムアートスクール(NY)、アートスチューデントリーグオブニューヨーク(NY)。
2001〜2008年 九州產業大学非常勤講師。2002~2003年 武蔵野美術大学共通塑特別講師。
右:久保田 成子 (1937-2015)「フルクサス ハイレッドセンター ポスター」55.5×43.5cm
左:ナム・ジュン・パイク (1932-2006)「20-JUL」 シルクスクリーン 72×52cm
今回の作品展では古川吉重とニューヨークや福岡で関わりのあった画家の作品コーナーも設けております。
福井良之助、木下新、草間彌生、ナム・ジュン・パイク、久保田成子、猪熊弦一郎、野見山暁治、堀文子の作品も合わせてご覧ください。
ビデオアートの開拓者であるナム・ジュン・パイクと、その妻であり映像と彫刻を組み合わせた「ヴィデオ彫刻」で知られる久保田成子は、1960年代共に前衛芸術運動「フルクサス」に参加するなどニューヨークで活動。古川と同じ「ウエストベス」に住み、深い親交があったようです。
★ギャラリートーク 1/15(土)に満員御礼にて開催!
真島明子夫人をお迎えし(聞き手:みぞえ画廊 阿部和宣)ギャラリートークを開催しました。
誰に対しても常に穏やかであったという古川吉重の更なる素顔、画家達だけに留まらず他分野の著名人との交流も重ねて1970年後半から2000年にかけての二人三脚で歩んだニューヨーク「ウエストベス」での暮らしぶり、ワシントン・ナショナル空港のパブリック・アート完成秘話など、真島さんよりユーモアたっぷりに語っていただきました。
会期中、真島明子夫人著「ふたりのニューヨーク グリニッチビレッジにて」を画廊にて販売いたしております。
本展は、1月30日(日)までの開催となります。
古川吉重の強く、柔らかく、そして晩年においてはしなやかさも感じられる作品の数々をご堪能ください。更には色と形、空間と平面の真髄に迫る抽象作品の極みをみぞえ画廊で体感してください。
多くの皆様方のご来廊を心よりお待ちいたしております。
]]>そのお祝いにみぞえ画廊・代表の阿部が東京のアトリエへ訪問してきましたのでレポートします。
↓↓↓
シャンパンとオードブルを用意してお迎えしてくださった先生、会う度思いますが…
以前よりパワーアップして無いですか?
お喋りも記憶も、ご自分の考えをバシッと言う物言いも健在で、
歳を取るという事の私たちの概念が間違ってるのだと気付かされます。
左から代表の阿部、野見山 先生、奥山民枝 先生
オードブルとワインで一杯
そして驚いたのが今年描かれたと言う新作の数々。
えー、100歳記念展からこんなに描いたんですか!
いつでも展覧会開けるじゃないですか!
野見山暁治101歳、油が乗りに乗ってます。
年明け最初の展覧会は、堺屋太一記念東京芸大愛住美術館で新作中心に開催されます!
そして、みぞえグループの2022年版オリジナルカレンダーが今年も完成!
コレクションから全ページに野見山暁治先生の作品群を掲載しました。スタッフも大満足の出来映えです♪
野見山先生が来年もお元気で過ごされますよう願いを込めて。
]]>
JUGEMテーマ:展覧会
みぞえ画廊東京店にて、「CIRCLE/SQUARE/STRIPE/WRAPPIN かたちづくる やく つつむ 展 望月 薫 安藤哲也」 がスタートしました。
望月 薫自身がコメントしているなかに、「モランディの静物画と爆音のパンクロック」とあり、相反するイメージに影響を受け、ろくろで造形するとあります。新作の白い立体作品を見た時に、「モランディの静物画」を想起しました。モランディは20世紀イタリアを代表する画家で生涯にわたり静謐な静物画(同じような瓶や壺を組み替えてヴァリエーションで描く独特の作風)を生み出した特異な画家です。
参考図版:ジョルジュ・モランディ 「左手に白いカップのある静物」1930年
望月 薫も、いくつものヴァリエーションから生み出される造形作品が魅力です。ろくろでたちあげた土の回転体の魅力的な線やかたち、質感を追求し、簡素で力強い造形作品を制作しています。いくつかのパーツごとにろくろで成形し、数多くのパーツの中から試行錯誤を繰り返して積み上げていき、最終的に全体が完成するというプロセス。想像以上の手間が惜しみなくかけられており、手から生み出されるものとして驚きを感じます。
上の画像中央の作品は、最新作になり、白いストライプ模様が特徴的であり、現在、望月が使う窯で作れる最大サイズの立体作品となっています。上部の円形の部分は、取り外し出来き、花器として実用が可能なものとなります。
立体作品の両脇に展示されている作品は、近年、望月 薫とコラボレートしている安藤哲也の作品になります。レザーをヴィンテージの額でフレーミングした作品となり、一見普通のレザーのように見えますが、よく見ると傷やダメージがあるのがわかり、命あるものから生まれた素材であることがよく分かり、普段なにげなく使っているバッグや財布に使われているレザーとの違いに気付くでしょう(通常、皮革製品に使われるレザーは、表面を塗装して均一にしてあり、細かい傷などの痕跡が消されています)。
和室の展示風景
以下、望月 薫 コメントになります。
具象陶板作品(スケートボードデッキ)
『OFF THE WALL?』制作意図について
「中学生の頃、友人たちと夜な夜な近所のホームセンターの駐車場に手作りのランプやラジカセを持ち寄って集まり、お巡りさんが追い払いに来るまでスケートボードをしていた思い出がある。単にスケートボードというスポーツ(?)それ自体というよりも、それにまつわる80〜90sあたりの音楽・映画・デザイン・ファッション等々、スケートボードを含めたストリートカルチャー全般がいまだに好きだし、道具として究極シンプルで機能的な形状と構造も魅力的だ。そしてそれをやるやらないに関わらず、デッキをインテリアやアートピースとして飾って楽しむ価値観もすてきだと思う。
一方で陶芸には板状のヤキモノを壁に掛け、表面の陶ならではのテクスチャやデザイン的な表現を観せる作品スタイルもある。ならばヤキモノらしい表情のあるスケートボードのデッキを模した陶板作品・ウォールオブジェクトがあっても面白いと思った。
通常、木製合板で出来ているデッキがヤキモノで作ってある違和感や意外性。非常に効率の悪い手の込んだフェイクをちゃんと展示することで、陶芸に興味はないけどスケートボードの形しているってだけで触ってみたくなる人もいるかもしれないし、そこで何かコミニュケーションが生まれるような装置になったら楽しいなと思って制作している。」
陶で作られた彫刻的立体作品(タテにもヨコにも置け、屋外展示も可能)
茶室の展示風景 画像手前の2点および全体の3分の1程度の作品は、安藤と望月のコラボレーション作品となっています。日本の伝統技術である金継の考え方を再構築し、制作の過程で一部欠けてしまった割れや歪みのある作品をレザーで包み込むことで、新たに再生した魅力的な作品をご紹介しています。
12月26日まで、無休で開催しております。今回のような実験的な展示はなかなか開催する機会が限られますので、ぜひ、ご高覧いただけますと幸いです。
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JUGEMテーマ:美術鑑賞
早いもので今年も締めくくりの時節となりましたが、皆様お変わりなくお過ごしでしょうか。
さて、みぞえ画廊では恒例クリスマスアートフェアを只今開催中です。 年に一度の特別価格 (最大50%OFF) にてご提供させていただいております。大切な人へのクリスマスプレゼントやご自身へのご褒美として一期一会の作品を求めてはいかがでしょうか?
今回はカシニョール、ピカソ、ルオー、ミロ、L・フジタなどの海外巨匠作家の油絵やリトグラフはじめとし、岡鹿之助、熊谷守一、坂本繁二郎などの木版画、東山魁夷、小磯良平、糸園和三郎、井上長三郎、須田剋太、難波田龍起、坂本善三などの国内作家の作品を数多く取り揃えております。
海外作家コーナー
国内近代作家 一点ものコーナー
国内近代作家 版画コーナー
東京芸大カレンダーコーナー
クリスマスプレゼントに最適な1万円の現代版画コーナーもございます。
本展よりいくつかお勧めの作品をご紹介いたします。
ジャン・ピエール・カシニョール 「肖像」 油彩 仏F6号
本展で圧倒的な存在感のある作品です!
カシニョールが描く、甘美で優雅な婦人像に逢いに来てください。
藤田 嗣治 「美食家:四十雀より(ピエール・タルタス版)」
リトグラフ 19×19cm ed.21/80 1963年
挿画本『四十雀』は、ジャン・コクトーのエッセイにレオナールの石版画21点が添えられた画文集。大人になりかわった子供たちが、ユーモアたっぷりに描かれております。
左:アントニ・タピエス「Cercle II」
カラーのエッチングとカーボランダム
53×75cm ed.52/99 1985年
右:ジョルジュ・ルオー「明日は晴れるだろう」
銅版画 50.5×35.5cm
スペインを代表する現代アートの巨匠アントニ・タピエスの版画。
「Cercle II」は躍進的なインスピレーションを感じられます!
そして20世紀を代表するフランスの宗教画家、ルオーの代表的な版画作品集『ミセレーレ』(全58作品)より。深い精神性を湛えた作品を是非画廊で体感してください!
東山 魁夷 画文集「北欧紀行 古き町にて」
リトグラフ
上:「ベルゲンの家」 25×35cm
左:「コペンハーゲンの街角」25×35cm
右:「オールフスの古い町」25.5×35.5cm
東山魁夷は、1962年4月18日から7月29日まで北欧4ヵ国であるデンマーク、スウェーデン、ノルウェー、フィンランドを巡るスケッチの旅に出ました。今回展示しております『北欧紀行 古き町にて』は、北欧を巡った際のスケッチを元に1964年に画文集として刊行されたものです。旅人を魅了する北欧の古い街並みが、静けさの中に温かみのあるトーンで描かれております。
坂本 善三「 赤い車のある」 油彩 横F6
「グレーの画家」「東洋の寡黙」と称される坂本善三の貴重な油彩画です。
重厚感のある色彩、家屋がまるでこちらを見つめている様にみえませんか?
須田 剋太 「 作品」 紙にグワッシュ 38×30.2cm
熊谷 守一「 椿と蝶」 木版画 25.1×34.5cm 1962年
岡 鹿之助「三色すみれ」 木版画 33.5×26.0cm ed.150 1973年
ジェフ・クーンズ「Balloon Dog (リプロダクション)」
今年はクリスマスカラーの赤と緑で
クリスマスの贈り物としてお求めになられてみてはいかがでしょうか。
上記以外にも、多様な作家を取り揃えております。お気軽にお問い合わせください。
=主な出品作家=
坂本繁二郎/熊谷守一/棟方志功/岡鹿之助/長谷川利行/小磯良平/東郷青児/牛島憲之/中村研一/中村琢二/森田茂 /児玉幸雄/脇田和//糸園和三郎/井上長三郎/平野遼/和気史郎/織田廣喜/浜田知明//山口長男//須田剋太/難波田龍起/坂本善三/津高和一/池田龍雄/靉嘔/東山魁夷/小野竹喬/森田りえ子/堀文子/小野 竹喬/福王寺一彦/後藤純男/田中春弥/加納光於/船坂芳助
パブロ・ピカソ/アンリ・マティス/マルク・シャガール/オーギュスト・ルノワール/ジョアン・ミロ/レオナール・フジタ/ジョルジュ・ルオー/アントニ・タピエス/ポール・ヴンダーリッヒ/ベルナール・ビュッフェ/ベルナール・カトラン/ベン・シャーン/ジョエル・シャピロ/ポール・アイズピリ/ジェフ・クーンズ、他
▶クリスマスプレゼント抽選会開催中
会期中ご購入いただいたお客様へ、抽選で当たったお品をプレゼントさせていただいております。
・福岡市美術館「ゴッホ展 響きあう魂 ヘレーネとフィンセント」チケット
・福岡クリスマスマーケット ホットワイン&マグカップ引換券
・吉村芳生グッズ
(いずれか無くなり次第終了)
その他、特賞もご用意いたしております!どうぞお楽しみに!
また、みぞえ画廊に隣接しているフラワーパーク本店ではポインセチア・シクラメンなど最大20%OFF!
フラワーパーク公式サイト: http://flowerpark.info/
=新館にて常設展開催中=
福岡店で来年1月に企画展を予定しております古川吉重を中心に、猪熊 弦一郎、野見山暁治、平野遼、伊藤久三郎の他、来年に個展を控えた現代作家の作品をご覧いただけます。クリスマスアートフェアの展示と合わせてゆったりとご鑑賞ください。
新館常設展の様子
一番左に展示してございます作品が古川吉重の作品です。
「No.2 1976-NEW YORK」 リトグラフ 59.8 x 71.8? 1976年
皆様のご来廊を、スタッフ一同心よりお待ちいたしております。
〜Merry Christmas! 皆様に沢山の幸せが訪れますように!〜
]]>JUGEMテーマ:美術鑑賞
画廊の銀杏もすっかり黄金色に色づき、冬の気配も感じる季節となりました。
さて、みぞえ画廊福岡店では「井上敬一展」を28日(日)迄開催いたしております。井上敬一の類なき世界観を感じられる新作20作品を一挙展示中です。今回はサイズ130号の大作も2点含まれます。秋の陽だまりの下、是非、みぞえ画廊へお立ち寄りください。
新館 展示の様子
新館 展示の様子 キャンパス、額など全て画家自らが制作。
人物が重なり合って描かれた人間像は、顔だけ見ると男女どちらの要素も持ってないように見えます。その表情は情熱的なようでいて虚無的なようでもあり、見るたびに違った印象を与えます。あるいは、初めは不思議に思えた人間像がどこか馴染みの知人にも思えてくるかもしれません。一度井上作品に出会ったらそこから独特の感情が生まれ離れなくなる。。。そんな深みに入るお客様もおいでかと存じます。アートの極みを画廊で体感してみませんか?キャンパスの縦横に捉われることなく表現される井上作品の魅力に迫ります。
「立ちつくす人間」 F25号
「ミステリアスな話」 F25号
「届かないさけび」 F20号
「人間」 F20号
「秋風」 S10号
「異次元」 F130号
下記「パンドラの箱」含め大作2点も今回含まれます。新館にて展示中!
「パンドラの箱」 F130号
画家は自身が納得のいくまで何枚も何枚も同じ作品を描き続けこれだ!という瞬間で筆をとめるそうです。例え制作時間の短い作品であったとしても、既にそれまでに膨大な時間が経過していることになります。また、今回の作品展ではモデルが予め設定されていたのは数点のみ。殆どの作品において従来通り画家が描きたい人物像を自由に思い思いのままに表現されております。
★アトリエを訪問しました!
作品展開催に伴いスタッフが画家のアトリエを訪問しました。
画家の田川のお宅に到着しますと住居に併設する高さ約7メートル、40平米程の広さを誇り都会的なセンスを放つアトリエがどーんと視野に飛び込みます。
アトリエの大きなガラス窓からは穏やかな田川の街の景色とやわらかな自然光が差し込まれてきます。
作品制作の基盤となる自由な発想は、自然の恵みを最大限取り入られた生活が根元にあるからこそのように思えました。
アトリエ入口の大きな栴檀の木が訪れる人を温かく出迎えてくれます。
アトリエ内部の様子
天上7メートルもあるアトリエ。自然光が美しく入る大きな窓が印象的です。
アトリエ内部の様子
画材の他、アンティーク家具、沢山の書籍が気持ち良い空間を保ちながらアトリエで静かに息づいていました。
画家手作りの味のある木製の柵のもとで、きゅうり、豆類など伸び伸びと育ってました。
敷地内には大きな栗の木もあり秋の食卓には欠かせない見事なお味だそうです!広大な庭の手入れは画家によるものです。
「井上敬一展」会期終了間もなくとなります!11月28日(日)まで開催!
偽りなくそして大胆に自由にキャンパスに向き合い続けた画家井上敬一が織りなす世界観を是非画廊で体感してください。週末には画家在廊予定です。
多くの皆様方のご来廊をお待ちいたしております。
]]>ウェブ版BT(美術手帖)でご紹介いただいているので、新規でお越しいただく方が週末を中心に多い状況です。企画内容詳細は、会場の解説パネルでくわしく述べておりますので、ここでは主に企画展を作り上げるまでの裏方のエピソードをお伝えします。
エントランス正面に展示中の猪熊作品『ZAZEN』 解説パネル(画材店で木パネを入手して、手作業で貼り付けたもの)
この展覧会は、香川県丸亀市にある丸亀市猪熊弦一郎現代美術館のご協力をいただけたので、実現しました。
コマーシャル・ギャラリーの企画にも関わらず、学芸員の方々に丁寧にご対応いただき、心から感謝しています。
学芸の古野さんには、リーフレットへ掲載したテキストを執筆いただきました(それも無償で)。吉澤さんには、
各種資料データをすごくてきぱきとご提供いただき、大変助かりました。今回テーマにしているパリ時代をリサーチするにあたり、マチス先生にいのくまさんが2回目にパリで会うのですが、その時期が明確にならず、ミモカ(猪熊弦一郎現代美術館)が所蔵しているいのくまさんの日記の該当部分を文字でおこしてもらうことになり
(プライバシーを配慮してそのままは見せれないとのことで)、私だけ見るだけにするということで、データ
をご提供いただいたり(黒く塗りつぶされている部分も多々あり)、やはり美術館の学芸員の方は、常に事実関係を検証されているので、こういった画家の歴史を深掘りする作業には、真摯にご対応いただけるのだと感心すると同時に、リーフレットに掲載したこの展覧会オリジナルのパリ時代年表の校正作業の際に的確な赤字を、それも迅速に入れていただいたことにも驚きました(大変助かりました)。
1939年3月23日 はじめてニースのマチス先生のアトリエを訪問した際の記念写真
この写真の左はじの人物は、外見からどうみても荻須高徳と思えるので、そのようにリーフレット原稿に記載していましたが、裏付ける資料が残っていないということで、ご指摘を受け、しぶしぶ該当箇所を削除したり。
和室の一部をアーカイブ化して資料展示
パリ時代のいのくまさんの代表作を所蔵している香川県立ミュージアムとミモカに申請し、複製した展示
所蔵館の許可申請が必要で、ミモカにも使用申請と著作権申請して使用料の支払いも必要です。
現代アート好きな方は、お気づきになるかも。東京都現代美術館で開催された「マーク・マンダース展」の際の
ドローイングの展示インスタレーションをまねた木製クリップどめ展示手法を採用
いのくまさんのアルバムから複写したマチス先生のアトリエ訪問時の写真を展示 関連するマチスの版画を
この展覧会のために仕入れ、展示しています。
この企画のために入手した貴重本を和室の窓際に展示 美術館ならガラスケースに入れて展示するところですが、ガラスケースがないので、フィルムでラップして裏にデープを貼って台に固定
この展覧会のために仕入れたマチスのデッサン
マチスの油彩2点、いのくまさんの60年代から70年代後半ニューヨーク時代の作品や版画作品など多数展示しており、ここでは紹介しきれないので、ぜひ、会場でご覧いただけると幸いです。
2年後ぐらいに、いのくまさんのニューヨーク時代(1955年〜75年)に焦点をあてた展覧会をみぞえ画廊東京店で開催したいと考えています。この時代は、ニューヨークのウィラードギャラリーと契約しており、2年に1回、計10回個展を開催しています。ご近所にはマーク・ロスコ、ジャスパー・ジョーンズがいたり、いのくまさんの自宅で川端康成の誕生会を開いたという話しもあり、エピソードはたくさんありそうです。
最後に、あらためて、ご協力いただいたミモカのみなさまに感謝申し上げます。この春、ミモカを訪問し、応接室にいのくまさん直筆の色紙に「美術館は心の病院」と書かれたものを拝見したとき、その色紙を大事に飾って
いるミモカにすごく感激しました。本当にその通りだと思います。画廊も心の病院となれるよう励みたいと思っております。
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池田悠人(いけだゆうと)氏ご紹介▼
福岡県出身。12歳の時、中学校の吹奏楽部でトロンボーンを始め、当時の吹奏楽部の顧問(村上大五郎先生)の影響でジャズに興味を持つ。高校2年からバストロンボーン奏者である江田雅哉氏に師事。その後、国立音楽大学ジャズ専修へ入学し中川英二郎氏に師事。エリック宮城氏率いるBLUE NOTE ALL STAR BIGBANDに参加し、中川英二郎、本田雅人、Pat Metheny、Marcus Millerら等、各氏と共演を果たす。現在は国立音楽大学を卒業し、福岡を中心に活動している。
迎えた当日、予約制のお席は満員となりました!
上川伸氏によるご紹介が始まり「彼はもう、体がジャズなんですよ!」と評され、期待高まる中、池田悠人さんによる演奏が始まると・・・
まるでジャズの本場ニューオリンズにいるのかと錯覚するほどのカッコよさ!
思えば新館が完成して初めての楽器演奏となりました。
トロンボーンの演奏はソロで聞けることがほとんどなかったのですが、これほどまでに情熱的で、きめ細やかな旋律とは思わず驚きと感動の連続、、
さらに、会場のBGMとして使用していた画家上川伸氏のオリジナル曲とのコラボレーションも実現!
新館にジャズの調べと電子音が満ち、作品に囲まれた空間が観客の方々と融合してゆくようでした。
最後には、感謝を込めて花束をお送りさせていただきました。素晴らしい演奏をありがとうございました!
演奏終了後は、アーティスト自身によるギャラリートークの流れに。
ご来廊いただき、誠にありがとうございました!
アーティストの次回在廊日は、10/16(土)、10/17(日)です。是非、快活で誠実なお人柄に触れてみてくださいね。
JUGEMテーマ:美術鑑賞
JUGEMテーマ:展覧会
JUGEMテーマ:美術鑑賞
心地良い秋晴れが連日続いてますが皆様お変わりなくお過ごしでしょうか。さて、みぞえ画廊福岡店では「上川伸展 MOSS GARDEN 壁にある庭」を10月17日(日)まで開催いたしております。上川伸の新たな世界をお楽しみください。会場には、画家本人が作曲した素敵な音楽♬がBGMとして流れています。
新館の様子
今回の作品展のテーマでもある「MOSS GARDEN」をまずはご紹介。日本庭園へと皆様を誘います!
「MOSS GARDEN」 30号変形 木質パネル、和紙、アクリル、箔 2021年作
日本の美意識を軸として平面作品の可能性を追求した新たなシリーズ。吸い込まれるような深い緑色と金箔から放たれる和モダンが印象的な作品です。
英国人ロック・ミュージシャンであるデヴィッド・ボウイ(2016年他界)のアルバム「ヒーローズ」の「MOSS GARDEN」に魅了された画家が、京都の禅寺を巡り東福寺本坊庭園の北庭「小市松の庭園」(作庭 家重森三玲 作)を鑑賞し感銘を受けたことが作品制作のきっかけとなりました。
禅の概念は日本のあらゆる文化の礎であり、「庭」はそぎ落として抽象化する日本の美意識の象徴のように思われます。日本の美意識の象徴的存在として「壁にある庭」を具現化したのが、「MOSS GARDENシリーズ」です。
「MOSS GARDEN」シリーズ作品の数々
◆参考情報
重森三玲(しげもり・みれい)
昭和を代表する庭園家(作庭家、庭園史研究家)。日本美術学校で日本画を学び、いけばな、茶道を研究し、その後庭園を独学で学ぶ。代表作に京都の東福寺方丈庭園、光明院庭園、大徳寺山内瑞峯院庭園、松尾大社庭園などあげられる。重森が作庭するにあたって追求した美は、「永遠のモダン」、また誰も行ったことがない新しい要素を取り込むことは重要なことである。しかしながら、それが独りよがりの意匠に走ってしまい、そこに思想性、哲学感、芸術性が感じられないのであれば、そんなものは作る必要性が無い。と彼は言った。創意工夫をする際に、日本の伝統を知り尽くしたからこそ、次なる一歩が踏み出せ「現代の古典」となりまさに「永遠のモダン」が生み出されたとされる。
(重森三玲庭園美術館公式サイトからの抜粋)
東福寺本坊庭園公式サイトhttp://www.tofukuji.jp/temple_map/hojo_north_garden.html
MOSS GARDEN:在 S10号変形 木質パネル、和紙、アクリル、箔 2021年作
柔らかい霧のその先に何かがあると感じる時、私たちは何を視ているのでしょう。「存在」とは、あらゆるものの集合が認識させているものではないかとも考えられます。写真ではわかりにくいですが、会場で近寄ってみると、中央部に薄っすらと円が浮き出ているのがわかります。
「凛」 10号変形 木質パネル、和紙、アクリル、箔 2021年作
細部精密に描かれた作品。半年かけて目の疼きに耐えながら画家は描き続けました。冬の寒さを耐えしのいでいる樹木が銀箔とともに「凛」とした空気感をありありと醸し出しております。是非ご来廊の上、もうじきやって来る冬にむけて作品と向き合ってみてはいかがでしょうか。
左:「MOSS GARDEN:流」 木質パネル、和紙、アクリル、箔 3号変形 2021年作
右:「綾」 木質パネル、和紙、アクリル、箔 3号変形 2021年作
「SEEDS」シリーズでは松ぼっくりがほっこり顔をのぞかせます。
その他、波によってつくられたかのような「綾」、西本願寺本三十六歌仙王朝継ぎ紙から着想を得て「MOSS GARDEN:流」、生命をつなぐ「SEEDS」などの新作、近作で新館の展示が構成されています。
本館ではエッセイシリーズなど展示作品が続きます。
エッセイシリーズ
気軽に描いたエッセイのような作品です。画家が大好きなデイビット・ボウイのジャケットに描かれたお花や、画家の幼少期に愛用した三輪車などがモチーフになってます。画家の内面を垣間見れるような身近で楽しい作品がずらりと並びます。
エッセイシリーズ 0号変形サイズのかわいらしい作品。
では最後に1点だけ上川伸の代表作をご紹介させていただきます。
筑豊をテーマとし、画家が故郷を見つめ直すことによって生まれた「THE WALL シリーズ」の「PEAKS」です。国のエネルギー政策の転換によって地域全体が激変。活気が徐々に失っていったもののそこには根強く「地の力」がみなぎっており、そこに生きる人々の生命力を作品で力強く表現されております。200号サイズの作品を3枚つなぎ合わせて1つの作品として展示する巨大な作品。
「PEAKS」 F200号×3枚 木質パネル、和紙、アクリル、油彩 2011年作
今回新館の奥の壁一面に飾られております。
上に向かって頑張ろうとする人々を表現。根本が広がってしっかりしてないと、上には上がっていけないと画家は考えます。圧倒的な存在感。大きすぎて、いまだ数回しか展示されたことが無いそうです。是非画廊にてご体感ください。
余分なものを取り除き、日本の美や歴史を画家のフィルターを通して平面に表現した「MOSS GARDENシリーズ」をはじめとし「WALL シリーズ」、「エッセイシリーズ」などと見応えのある内容となっております。多くの皆様方のご来廊を心よりお待ちいたしております。
◆参考情報
久留米市美術館にて上川伸、他九州出身の洋画家の作品を一挙ご覧いただける作品展開催中です。
久留米市美術館開館5周年記念 九州洋画? 「大地の力」
会期:9月18日(土)〜12月12日(日)
詳細は下記ご参照ください。
https://www.ishibashi-bunka.jp/kcakm/exhibition/20211217-2/
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JUGEMテーマ:美術鑑賞
爽やかな秋晴れと共に第6回「アートフェアアジア福岡2021」が9月22日から開幕しました。今年で創業10周年を迎える博多阪急が提唱する「明るい未来を、アートとともに」という構想から生まれた「HAKATA ART STATION」(9/15-9/28迄)のメイン企画として開催された「アートフェアアジア福岡」。最終日まで、沢山の方々にご来廊いただきました。日本全国45店もの画廊が集結し選りすぐりのアート作品を阪急博多でたっぷりとご覧いただける現代アートの秋の祭典となりました。
アートフェアアジア福岡2021 公式サイト
出展ギャラリーなどの詳細は上記公式サイトにてご確認ください。
今回は博多阪急8階催場並びに7階イベントホール「ミューズ」の両方を利用し広いスペースでの展示が叶いました。みぞえ画廊では7階【ブースNO.706】にて野見山暁二、弓手研平、中村宏太の作品を展示いたしました。
まずはその3名の画家の作品の一部をご紹介します。
野見山暁二 「巨匠のエネルギーを体感!絵の奥に息をひそめるものは何か?」
昨年12月に画家が100歳を迎え、それを記念する「100歳記念 すごいぞ!野見山暁治のいま」展が東京・京都の2カ所で開催された他、みぞえ画廊でも先月「野見山暁治の21世紀」を開催し多くの方々にご来廊いただきました。
今回のフェアでは1960年代から昨年2020年画家が99歳の時に制作された作品まで一挙展示中です。時代順に展示しておりますが、斬新な作品の数々はどれも新鮮な感動を呼び起こします。
「生まれながらに」油彩 F8号 37.9 x 45.5cm
会場に訪れた皆様も、タイトルと作品との間に生まれる「間」のようなものも実際に感じ取り、芸術の秋には相応しいゆったりとした心地よい時を過ごされていました。
弓手研平 「あらゆるものは、すべて土の上に在る」
「あらゆるものは、すべて土の上に在る」その画家の考えのもと、すべての作品を土を描くことから始める作品は、完成までに1年以上もかかります。50層以上も絵具を重ねて描かれており、独特の色味、質感を生みだしています。毎回大人気の林檎の木モティーフや、画家のアトリエにほど近い奈良・二上山の風景、親しみを持って描かれる百済観音のモティーフや画家が旅先で描いたドローイング作品、他新作も含め約15点展示いたしました。
「三日月夜の林檎の木の下で」 油彩 F50号 116.7x91cm
なかでも圧倒的な存在感を醸し出す大きな作品サイズ50号の「三日月夜の林檎の木の下で」からなかなか離れられないお客様も多く、一度ご覧になられてはまた戻ってこられたりと、心に沁み渡る安らぎを皆さん感じてくださっていました。
中村宏太 「極限の先にある美しさ」
"瞬間美"を真鍮、ガラス、和紙などを用いて制作された7作品を展示中です。美しいものと醜いもの、生と死、静と動…相対する物同士が混在する様がストレートに表現されています。弾丸を放つという生命を奪う行為であるはずの時間と軌道、それらが描く儚い造形美は、鑑賞者の方々によって様々な意味を持つことでしょう。
「Perforate」 30×30×180? 真鍮
金メッキされた7枚の真鍮板を弾丸が貫通していく様を表してます。弾丸は炸裂し衝撃が弱まっていき、7枚目の板に食い込み止まります。板は合わせ鏡のようになり、弾丸や貫通痕が反射し透き通って多方向で美しく輝きます。
「境界」 弾丸、ガラス、フィルム 各 45 x 45 x 1 cm
ガラスの青緑色のひびの冷たさとフィルムの熱き色が混在します。ギリギリでガラスのフォルムを保ちつつ壊れ、美しさと暴力的危うさが相反する作品です。それはまるで「境界」に立つ私たちのようでもあります。
家入一真X小笠原治 アートにみせられる起業家たち トークショー
9月22日に上記IT起業家が語る「アートにみせられる起業家たち」という記念トークショーが開催され、約100名の参加者の方々が参加されました。弊画廊代表の阿部も司会進行として大緊張しながら登壇させていただきました。
さらに、翌日にはサラリーマンアートコレクターとして知られる宮津大輔さんが、会場の各ブースを開設して巡るサプライズツアーも!宮津さんならではの鋭い観点からのアート見方によって来場者の皆様も引き寄せられました。みぞえ画廊のブースにも来てくださいました。
会期中リピーターとなる方もおられたりと、大変盛況のうちに閉幕となりました。
ボランティアスタッフの皆様を含め関係者の皆様、なによりご来場くださった多くのお客様に、心より感謝申し上げます。
]]>JUGEMテーマ:美術鑑賞
引き続き、インターンシップ生Sさんによる常設展の紹介レポートです。
大学では日本画専攻ということで、専門的な画材の説明は画材の私たちも勉強になりました。
是非ともご一読ください。
インターンシップ生Sさんによる常設展の紹介レポート
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
<常設展について>
みぞえ画廊さんの常設展で展示されている作品ですが、多種に渡るジャンルです。版画、油彩、ミクストメディア、日本画などなど。立体作品も取り扱っています。美術館で展示されるような物故作家並びに、現在活躍されている作家の両方の作品も鑑賞できて贅沢だなと思いました。今回、常設展で私自身が気になった作品をご紹介します。
堤 康将「境界」
日本画
箔を腐食させた作品を多く制作されています。
この作品は、画面上部に魚が、下部にはハヤブサが見られます。
魚とハヤブサの位置関係が逆転しています。
はじめは違和感なく見えていましたが、意識すると不思議な作品に見えます。
南 聡「凪」
日本画
南先生といえば、墨や岩絵具、極薄の和紙を重ねるなどの表現方法で
植物や小さな生き物に焦点を当てた作品をよく拝見していたので、
この抽象的な作品は少し新鮮に感じました。
銀粉を使われていますが、派手さを感じさせず、
優しい色調となっています。
金 明植「East Sidhe Story F-17」
油彩
色遣いがお菓子のようで可愛い印象です。
画廊の階段や壁ともマッチしてます。
ペインティングナイフで描かれているのでしょうか。
筆のマチエールがなく、絵の具の光沢も素敵です。
河内 成幸。「自然の枠組 鳴門の華?」
木版凹凸摺り
版の木目の表情まで見ることができます。
羽音が聞こえてきそうな勢いで羽ばたく鶏たち。
その間には画面上部の花びらか、それとも鶏の羽なのか、
それらが舞っていることで、祝宴のような雰囲気が演出されています。
また、鳴門の渦潮には青を基調としつつ、
黄色、紫、緑がところどころ現れ賑わいを感じさせます。
<他、新館では物故作家の作品が展示されていました>
特に鴨居玲は私が中学生の時にTwitterで作品を見て、衝撃を受けた作家さんでした。昨年、久留米市美術館で展覧会も行われています。人間の内面や闇を描いた画家として知られ、作品に引きずり込まれる感覚が恐ろしくも癖になる作品を残しています。
以上がインターンシップ生Sさんによる常設展レポートとなります。
アートの世界で活躍したいという夢に向かって、地道に努力されてるSさんはとても美しく輝いてました!Sさんの今後のご活躍を、スタッフ一同お祈り申し上げます。これからも素敵な人生を歩んでください♪
◆予告〜次回の企画展〜◆
上川伸展「MOSS GARDEN」壁にある庭
会期:2021年10月2日(土)― 10月17日(日)
上川伸展「MOSS GARDEN」壁にある庭
場所:みぞえ画廊 福岡店
営業時間:10:00-18:00(会期中無休)
※会期中、土日は作家が在廊予定。
上川伸展「MOSS GARDEN」壁にある庭、10月3日にはトロンボーン奏者によるミニライブ(15名限定)を開催!
詳細は<こちらのページより>にてご確認ください。
みなさまのご来廊を心よりお待ちいたしております。
]]>JUGEMテーマ:美術鑑賞
前回に引き続きインターンシップ生Sさんによる画廊滞在日記<後半>をお届けします!是非ご一読ください。
【 画廊滞在日記 3日目 】
先日に引き続きAFAFのお手伝いです。DMや書類の封入作業と店番兼ブログ編集をしました。また、荷造り用の手締めPPバンドとストッパーを使用し作品の梱包作業も行いました。何事もなく届けばいいなと思いながら締め上げました。
接客の機会もあり、お客様とお話することができました。
【 画廊滞在日記 4日目 】
作品の入庫に関する作業を教えていただきました。手袋をして作品のサイズを測り、記録を取りました。その後、AFAFの封入作業を黙々とこなした後、他のギャラリーさんを訪問しAFAFの備品を取りに行きました。はじめての外出です。みぞえ画廊のロゴ入りの車で出発。車内で私が大学で学んでいる日本画のことや、作品について尋ねてくださって嬉しかったです。
みぞえ画廊の社用車
〜みぞえ画廊さんと手袋〜
DMを折るときに手袋。作品の入庫作業に手袋。備品運びに手袋。度々登場する手袋。
手袋をこんなに使うとは思いませんでした。仕事の効率化だけでなく、みぞえ画廊さんのものを大事に思う精神も感じました。
多種多様に渡る手袋
【 画廊滞在日記 5日目 】
最終日。DM封入作業とブログ編集がメインでした。接客もできました。
〜インターンシップ活動のまとめ〜
5日間あっという間だったのに、最終日には少し寂しくなるものなんですね。はじめてのインターンシップがこんなに楽しくていいものかと思うほど充実した時間になりました。画廊ついても、仕事の仕方についても学ぶことがあり勉強になりました。
また、みぞえ画廊のスタッフの皆さんは温かい方ばかりでした。
絵とコーヒーが好きな人に悪い人はいないのかもしれません。
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JUGEMテーマ:美術鑑賞
【福岡店】インターンシップ生Sさんの画廊滞在日記 その1
ここ数年、みぞえ画廊ではインターンシップ制度を設けており、今年も5日間という短い期間でしたがインターンシップ生Sさんが画廊に滞在し、お仕事の一部を体験していただきました。感性の鋭いインターンシップ生のフレッシュな滞在日記を皆様へお届けします。ぜひご覧ください。
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
〜まず始めにみぞえ画廊さんの印象〜
中国の領事館と大韓民国の領事館に挟まれた通り、今まで通り過ぎてしまっていたみぞえ画廊ですが、中に入ると白い壁に映える作品の数々。美術館、博物館では照明の関係もあり暗い空間が多いのですが、みぞえ画廊は優しい照明と自然光で気持ちの良い空間となっています。建物は吹き抜けになっていたり、梁が見える構造になっていたり、お庭は和洋折衷な感じで素敵でした。また、置いてある椅子がマッキントッシュの名作ヒルハウスのようで家具にもこだわりがあるようです。(インターンシップ生S)
【 画廊滞在日記 1日目 】
朝礼から清掃、ブログの書き方などレクチャーしていただきました。みぞえ会長がお見えになり、お話させていただきました。とってもお元気で気さくな方でした。
事務所に画集などがあり、その中でもギャラリーフェイクという漫画は「ギャラリストにとって教科書みたいな漫画」とのことで少しだけ読ませていただきましたがこれは面白いです。ハマってしまうと思いました。
(私物入れのロッカーにびっしりと!)
お昼過ぎ、接客業務。ギャラリー経営されてらっしゃるお客様におすすめの作家さんを教えていただきました。はじめてお茶出し、緊張しました。お客様とみぞえ画廊のスタッフさんとの距離感が近く、会話がスムーズで見習いたい。と思いました。その後、みぞえ画廊が事務局になっているアートフェアアジア福岡(通称AFAF)の案内ちらしを三角に折りました。
【 画廊滞在日記 2日目 】
アートフェアアジア福岡のお手伝いがメインになりました。
出展される画廊45件宛てにDMを送る準備をしました。丁寧且つ正確な作業を心がけました。また、1セット何分でできるか実際に最初に時間を計っておいて、後半にも計るとうい時間を意識した作業を行いました。DMの多種多様な作品画像をみただけでワクワクしてきます。
〜スタッフの皆さんとコーヒータイム〜
(みぞえ画廊 代表Aさんの愛用カップ)
「スタッフの皆さん、コーヒーを沢山飲まれるな…何回飲むんだろう?」という印象を持ちました。
どうやら代表のAさんがコーヒー好きでらっしゃるようです。
そして、私はコーヒーメーカーのフィルター替えを忘れ、みなさんに「あ、よくやってしまう!」と笑われました。お恥ずかしい。
次回に続きます!
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蝉の声が夏の暑さをより一層引き立てる今日この頃。みなさまいかがお過ごしでしょうか。
さて、みぞえ画廊では「野見山暁治の21世紀」を8月9日(月)まで開催いたしております。本展では2000年以降の作品に焦点を当て、大作を含む39点の作品をご覧いただきます。
昨年12月に画家が100歳を迎え、それを記念する「100歳記念 すごいぞ!野見山暁治のいま」展が東京・京都の2カ所で開催されました。それらで発表された新作の一部が本展に展示されており、福岡では初めての公開となります。
本館では、2019年頃から2021年までの近作を展示しています。
大きなキャンバスで描くことを好む画家らしく大作は見ごたえがあり、かつ4号の作品は小品ながら豊かな広がりを感じさせます。
本館の様子
本館の様子
7月19日には野見山先生も来廊されました。
駆けつけてくださった沢山のお客様と、賑やかな時間を過ごされていました。(テレビ局の密着取材も行われていました。)
作品の前で取材陣に応えるご様子は各紙面に取り上げられていました。
「還ってくる日」 2020年作 油彩 F60号 「目鼻はついた 」 2020年作 油彩 F60号
躍動感に溢れた大作。左の作品は、白地の余白が多く残されているのが印象的です。右の作品は、暗い雲から抜け出した光が、作品の中央部に集められているかのように思えます。2020年に完成したこうした作品の数々は、画家の今後に向けての新たな挑戦を感じさせます。
軽妙なタイトルの付け方にクスリと来たり、考えさせられたり。皆様はこの絵から何を感じ取られることでしょう。さまざまな角度から作品と対話してみていただければと思います。
「ぼくが生まれた頃 」 2020年 油彩 F60号
画家は1920年(大正9年)福岡県穂波村(現・飯塚市)生まれ。父は炭鉱業を営んでおり、画家は筑豊炭田の中心部でトタン屋根と真っ黒に汚れたトロッコが列をなす「ボタ山」が見える景色の中で育ちました。その人工的な風景はその後も画家の原風景となったようです。この作品においても、「ボタ山」をモチーフの一つとして表しているかのようです。
右:「誰にも負けない」2008年 油彩 S120号
左:「まぎらわしい場所」2001年 油彩 S120号
新館では、2001年から2018年頃までの作品を展示しています。120号の大作2点は鑑賞者を飲み込んでしまいそうなエネルギーを放っています。
「まぎらわしい場所」
場面の異なった大海原と人工物とが折り重なるように描かれ、巨大なキャンパスに奥行きを感じる作品です。
画家は自身の画文集にて、「描きたくて近づいたものより、遂に振り向こうとしなかったもののほうに、ある意味でその画家の本性が見出せるように思う。」と記しております。
(引用文献:「野見山暁治画文集」p22より 著者:野見山暁治 2011年 求龍堂)
「誰にも負けない」
この作品も「まぎらわしい場所」と同様、サイズ1.94mx1.94m というとても大きな作品です。
「以前からうすうす感じてたことだが。巨大な何かが自然の奥で息をひそめている。その巨大なものをみつけだそうとしてぼくは画面にむかっているのではないか。」
(引用文献「野見山暁治画文集 目に見えるもの」著者:野見山暁治 2011年 求龍堂、「野見山暁治作品集」絵をかくこと 1994年 講談社)
まさに作品の世界観を感じさせるような一文からは、糸島のアトリエで穏やかな海を臨みつつもその奥底にある何かを常に追求されている様子が窺えます。そして100歳を迎えた今も尚、キャンバスに向い続けています。
是非この機会に画廊へお立ち寄りいただき、エネルギー沸き立つ数々の作品をごゆっくりご覧ください。
本展最終日の8月9日16時より、野見山暁治先生が再び来廊されます!
是非ご来廊くださいませ。
【参考情報】
西日本新聞社 2021年7月22日(木)に野見山先生の寄稿が掲載されました。
「ぼくのオリンピック」
1936年ベルリンオリンピックから1964年東京オリンピックに纏わる貴重なご体験がユーモラスなタッチで軽快に記されてます。下記新聞原稿画像をクリックいただきますと詳細ご覧いただけます。
数限定グッズ、書籍販売開催中!残りわずかです!
本館では画家の作品をモチーフとしたグッズ、並びに画家のエッセイやアトリエ日記の書籍も販売中です!
数に限りがございますのでご興味おありなお客様はお早めにお求めください。
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【東京店】わからないほど、おもしろい!抽象画ってなんだ?展
梅雨本番、皆様いかがお過ごしですか?
さて、6月19日(土)より開催しております『わからないほど、おもしろい!抽象画ってなんだ?』展も最終日を迎えてしまいました。
このタイトル通り、お客様との「何でしょう??」と、コレ!という答えのない会話はとても楽しい時間となりました。
今回展示した作品は国内外22人の作家、29作品。いずれも抽象画というジャンルを生み出し、リードしてきた作家ばかりです。
猪熊弦一郎(1902-1993)、宇治山哲平(1920-1986)、須田剋太(1906-1990)、古川吉重(1921-2008)、難波田龍起(1905-1997)、宮崎進(1922-2018)、大沢昌介(1903-1997)、平野遼(1927-1992)、坂本善三(1911-1987)、伊藤久三郎(1906-1977)、中村一美(1956-)、野見山暁治(1920-)、山口長男(1902-1983)、木村忠太(1917-1987)、田渕安一(1921-2009)、田中敦子(1932-2005)、今井俊満(1928-2002)、菅井汲(1919-1996)、ジョエル・シャピロ(1941-)、ウィレムデ=クーニング(1904-1997)、フェルナンレジェ(1881-1955)、ワシリー・カンディンスキー(1866-1944)、パウル・クレー(1879-1940)
|
作品と向き合うとそのエネルギ―が私の頭を揺さぶり、潜在意識を呼び覚まされ、心や体で何かを感じるように思えています。これが抽象画の魅力なのでは?!・・と思え、すっかりこの「なんだ?」の虜になっています。
展示作品はどれも魅力があり、その魅力は様々・・全てをご紹介するには表現力が乏しい気がいたしますので、ここではお気に入りの一作、猪熊弦一郎『自然と都市』ご紹介したいと思います。
思わず「カワイイ!」と声を発してしまうこの作品は、短冊状のカルトン(木板)に細かな絵が描かれ蛍光イエローとピンクが目を引きます。短冊状のカルトンはパズルのように組み合わされ、その組み合わせを試行錯誤されたのかな?と想像するのも楽しいです。
コラージュされたテープ、短冊状のカルトンのつなぎ目のちょっとした凹凸がこの作品に表情を与えています。サインの位置や綴り方にも注目です。
猪熊先生はニューヨークにいらした際、割箸ですら手にするたびに、「これは本当に日本の持つもっともシンプルな一つの美であると思うである。」とおっしゃっていたそうで、シンプルな形、割れるときのパチンという音、2本に割れる様、素材に至るまで私たちが何気なく日頃手にしているものでさえ、作品の種にしまうところから作品だけでなく、先生そのものの生き方にも興味が沸いてきます。
猪熊弦一郎作品は師と仰ぐマティス作品と共に10月の企画展でまた皆様にお目にかかります。乞うご期待!
そして、最後に・・・野見山暁治先生。
今回取り上げた作家たちとの交流もあった唯一お人柄に触れることが出来ている先生です。
ご紹介したい『風紋』(2017年)は昨年12月に100歳を迎えられ、年始からその記念の個展、展覧会が日本橋〜京都〜横浜で開催された際、多くの方を楽しませた作品です。「風紋」というと「風によって地表に形成される模様」のことですが、この『風紋』は風ごとマルっと、または風が空中に描き出す様そのものと言っていいほど動きのあるとても優しく、力強い作品です。先生の目には肉眼では見えないものが見えている・・そう感じたのは昨年夏、糸島のアトリエで先生に初めてお目にかかった日がきっかけでした。アトリエとお住まいの間にあるテラスから景色を眺めるのが日課という・・そこで見える景色は視覚だけではなく、体のあちこちが感じる全ての感覚なのではないか?!・・・制作意欲旺盛の先生、今後の作品も注目です。
野見山先生のお話は7月17日(土)から『野見山暁治の21世紀』を開催する福岡店のスタッフにバトンタッチしたいと思います。お楽しみに・・。
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JUGEMテーマ:美術鑑賞
今年、福岡は早い時期から梅雨入りとなりました。紫陽花がいとおしく咲く季節、みなさまいかがお過ごしでしょうか。
みぞえ画廊では「小松孝英 個展」そして「塩月桃甫とその時代展」を同時開催しております。またとない二人のアーティストの共演を是非ともご堪能ください。
本館にて「小松孝英 個展」6月27日(日)開催中です。
"生態系を描く"その原点に戻るべく、0号サイズのキャンバスに蝶が一羽づつ丁寧に微細に描き込まれています。
静寂な里山で生きる小動物の世界へと誘います。
小松 孝英 (こまつ たかひで)
1979年宮崎県生まれ。九州デザイナー学院アーティスト学科卒業。20代の頃よりロンドンやニューヨーク、香港など世界10ヵ国で個展開催やアートフェアに出品している。国連施設や延岡市、アジア企業などにコレクション多数。国文祭・芸文祭みやざき日南市総合プロデューサー。延岡市観光大使。
ドキュメンタリー映画「塩月桃甫」脚本・監督。
▶映画「塩月桃甫」公式 Webサイト
「里山の玄武 」 2021年 S10号 アクリル・箔・キャンバス
玄武は北方を守護する水神。四神の一つとして古代中国より言い伝えられてきました。玄武はカメの甲に蛇が巻きついた霊獣で、亀は「長寿と不死」を、蛇は「生殖と繁殖」の象徴を表しております。
今回の作品では玄武の蛇を鰻に、亀を鼈で表現。日本では昔から食されてきた、人間と深いつながりのある生き物たち。
「炭化」「酸化」
画廊本館入られて奥の方に進まれますとご案内させていただきました蝶や生物が描かれた絵画とは異なるイメージをもつ抽象作品をご覧いただくことになります。
それでも尚、アーティストの作品に対するコンセプトは変わりありません。アーティストのコンセプトは里山でのあらゆる生物と朽ちた人工物などとの共存、共生、循環です。
抽象作品の「炭化」「酸化」は、人間が人工的に作り上げた物体が時間の経過により朽ちて変容していく様子を表現されたものです。実際にご覧いただき皆様は何を感じられることでしょう。。。今回は静寂な里山に入り込んだ気持ちで是非画廊へお立ち寄りください。
「ハヤ」 2018年 M60号 アクリル・キャンバス
「蝶出目金」 2017年 10x16x11 cm レジンキャストにアクリル
ハヤが泳ぎ立つ瞬間美から夏の里山の清々しさを感じられる作品です。
上品な淡いブルーが安らぎを与えてくれます。
さらに新館にて「塩月桃甫とその時代展」6月27日(日)まで開催中です!
本館でご覧いただきましたアーティスト小松孝英が監督、脚本を手掛けたドキュメンタリー映画「塩月桃甫」の画家本人並びに同時代に生き、関わりのあった画家たちの貴重な作品を展示いたしております。
塩月桃甫は戦前の日本統治時代の台湾に初めて西洋美術を普及させ、台湾美術展覧会を創設し台湾美術界に大きな影響を与えた日本人画家です。大正10年、塩月桃甫は日本政府側の教育者として台湾に渡り、台湾原住民族やその文化に魅せられていきますが、日本は同化政策さらには戦争へと突き進んでいき、激動の時代を生き抜くことになります。画家が駆け抜けた時代背景を想像しながら、是非ご覧ください。
塩月桃甫と石川欽一郎の作品展示の様子
塩月桃甫 1886-1954年 (しおつき とうほ)
宮崎県西都市に生まれる。本名は永野善吉。宮崎師範学校卒業後、塩月家の婿養子となり東京美術学校図画師範科に入学。卒業後に9年間教職に就いたのち大正10年35歳で台湾に渡る。以来終戦まで約25年間台湾美術界の重鎮・教育者として台湾美術展覧会を創設するなど振興と近代化に貢献した。
塩月桃甫 「油津」 1928年 油彩 F6号
塩月桃甫 「ロボ(泰雅族口琴)」 1946年頃 板に油彩 32x23 cm
塩月桃甫 「柘榴」 油彩 21x25 cm
塩月桃甫と同時代に生き関わりのあった画家たちの作品展示の様子
台湾で初の官展「台湾美術展覧会」(総督府美術展)で塩月桃甫と関わりのあった画家達の作品を本展ではご紹介いたしております。通称「台展」といわれる「台湾美術展覧会」は1927年に石川欽一郎、塩月桃甫らが立ち上げた展覧会です。10回にわたって開催。1938年総督府美術展と名を変え6回開催されました。
石川欽一郎 「薔薇」 水彩 37x44cm
石川欽一郎
1871-1945静岡市生れ。独学で水彩画を学ぶ。1907〜16年の間に、陸軍参謀本部の通訳官兼務の形で台北中学校や国語学校で美術を教えた。さらに1924より1932年の2期に渡って台湾で美術教育に携わり、同地に西洋画を初めて紹介し、多くの弟子を育成したことで知られる。計17年間を台湾で過ごした。台湾で最初の大規模な美術展で、1927年に最初に開かれた「台湾美術展覧会(台展)」の主要な担い手の一人として準備に奔走し審査員を務めた。同展に出品した『河畔』は、その後行方不明になっていたが、近年90年ぶりに発見され、2017年に台湾で開催された「近代日本洋画展」に登場したことが話題となった。
梅原龍三郎 「姑娘」 1942年 素描 63x51cm
梅原龍三郎
1888-1986
京都市生れ。文化勲章受章。安井曾太郎とともに昭和洋画界の双壁をなし、豪華絢爛たる独自の芸術境を拓いた。塩月らの要請を受けて1935年第9回および1936年第10回台湾美術展審査員を務めた。
楊三郎「水影」油彩 60 x 48.5 cm
楊三郎 Yang San Lang
1907-1995
台北市生れ。小学時代、塩月桃甫の油絵に強く惹きつけられ、芽生えた創造への夢をもとめて1923年に日本留学した。1932年に渡仏し、印象派のコローやモネの影響を受ける。作品は「台展」や日本の「春陽展」などで数々の入選を果たした。帰国後、陳澄波や李梅樹、在台日本人画家の立石鐵臣らと台陽美術協会を設立した。その伝統は今も受け継がれ、台湾美術史の発展に尽力し多大な貢献をしたため、「台湾第一代油絵大師」として認知される。「国家文芸賞」特別貢献賞、文化勲章。
他、本展では安井曾太郎、小林萬吾、児島善三郎、里見勝蔵、桃甫の弟子となった3名の画家、瑛九、サイタ亨、西尾善積などの作品も一挙ご覧いただけます。
映画上映会を開催!
小松孝英が脚本、監督を手掛けるドキュメンタリー映画 「塩月桃甫」 をみぞえ画廊にて上映!
会場:みぞえ画廊 新館
日程:
2021年6月19日(土)15時〜満席
2021年6月27日(日)15時〜 ※お早めにお申し込みお願いします。満席になり次第締め切ります。
*参加無料 約80分
*上映30分前より受付
*定員15名、お電話にて要予約 092-738-5655
脚本・監督 小松孝英、語り 山本陽子(女優)、美術監修 阿部和宣、構成 柴田七美、ほか
福岡アジア美術館にて同映画 「塩月桃甫」を来月上映!
会場:福岡アジア美術館 あじびホール
主催:One Kyushu ミュージアム
日程:
*6月13日(日)に予定しておりましたが、感染症拡大の影響により7月の開催へと延期致となりました。
各回定員60名、Web専用フォームより要予約
出演:小松孝英、 倉方俊輔 (建築史家)、司会:松岡恭子(建築家)
「小松孝英 個展」並びに「塩月桃甫とその時代展」は6月27日(日)までみぞえ画廊にて開催いたしております。
観応えたっぷりの企画です。皆様のご来廊を心よりお待ち申し上げております。
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【東京店】八頭司昴展〜CHROMATIC,ACHROMATIC〜
緑豊かな季節となりました。
皆さまいかがお過ごしでしょうか?
さて、5月22日より開催しております八頭司昴展も好評なうちに最終日を迎えてしまいました。
まずハッと目を奪われるのが玄関正面の作品『The branches are melting into the sky』(枯葉は空に溶けてゆく)です。
そして、『CHROMATIC,ACHROMATIC』のタイトルの意味する『有彩と無彩』で表現された作品も面白く、もう一つ・・一文字違うことで意味が変わる、ほんのちょっとの違いやズレを表現した5作の顔シリーズはみんなを驚かせています。
また、ほとんどのお客様から聞かれる『色がきれい!』の言葉通り、色彩豊かに描かれた作品たちは私たちの心躍るものばかりです。
そして、今回人気で完売となったドローイングの作品たちは、とにかく線が美しい!それに余白(描かれていない面、線)の取り方が圧巻です!思わず彼の頭の中を覗いてみたくなります。彼はサラッと「毎日描けば誰でも描けるようになります」と言いますが、まず、その毎日ができない、何よりその感覚は努力ではできないもの・・・でも、その謙虚な言葉が彼の魅力なのかもしれません。
八頭司昴(Takashi YATOUJI)・・・天が授けた才能と感覚、そこに彼の日々の努力が重なり合い生まれた作品たちは今も輝き、未来がとても楽しみなアーティストと感じてきた日々・・その先もワクワクが止まりません。
皆様とそのワクワクを分かち合えましたら嬉しいです。
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2021年5月15日(土)より、豊福知徳展を開催しております。
みぞえ画廊福岡店では、3回目の個展となります。
5月18日は、豊福知徳先生の命日でもあり、3回忌となる本年から来年にかけて、各美術館でも氏の名前を冠したコレクション展が開催(※緊急事態宣言により中止や延期の可能性がございます。)されます。
初日は、新館にて、ドキュメンタリー映画「TOYOHUKU」を上映いたしました。
足元の悪い中、定員数いっぱいにお集まりくださいました。
上映会後の、福岡県立美術館学芸員の岡部るいさんをお招きしてのギャラリートークは、緊急事態宣言期間中ということもあり、オンラインを介しての開催となりました。豊福先生の生前の写真、所蔵作品のご紹介を交えての作品の考察などをお話しいただき、充実した内容となりました。豊福先生を生前から知る方から、最近になって存在を知ったという若い方まで興味深く聞き入られ、作品から感じられる息遣いがより鮮明なものに感じられたようでした。
※福岡県立美術館では来年1月より、氏の展覧会を予定されています。ぜひ足をお運びください。
郷土の美術をみる・しる・まなぶ2021「豊福知徳寄贈記念展 光の探求」
会期 2022年1月22日(土)〜3月13日(日)
豊福知徳先生は、1925年に久留米市で生まれ、青年時代は国文学を志していました。1944年、学徒出陣で特別攻撃隊を志願するも、飛び立つことなく終戦を迎え、喪失感に耐える日々を過ごしていた時、とある禅寺のお坊さんから彫刻をやってみるように勧められたことから、太宰府の観世音寺に疎開中だった冨永朝堂に弟子入りしたのが、彫刻家としてのスタートだったそうです。
「鑿は体の一部」と教えられ、はじめは鑿研ぎだけの修行。弟子たちは、一本の髪の毛を鑿で2本に割き、4本に割き、切れ味を競ったと伝えられています。生涯日本製の鑿を愛用していました。
1960年に<漂流>シリーズの一点によって高村光太郎賞を受賞し、同シリーズによってヴェネツィア・ビエンナーレに出品されました。その際、ミラノの画廊からの個展の提案や、木彫の大作3点が売約となったことをきっかけに、35歳であった彫刻家は、そのまま妻子を連れての彼の地での滞在を決意しました。
当時、フォンタナ、カステルラーニ、マンゾーニ等との交流や、ヘンリームーアやザッキンの作品から影響を受け、このままではダメだという焦りがあったことが後に語られています。そうして試行錯誤の末、彫刻を空間の構成構造のものとしてとらえた、独自の抽象形態を生み出しました。
以降40年もの間、ミラノにアトリエを構え活動を続けた氏の作品は、今なお国際的に高く評価されています。
さて会場には、本館と新館の両方で、1960年から2000年までの木彫やブロンズ、デッサンを展示しています。
ミラノでの初めての個展を控えて、作風の転換を求め焦燥感にあえぎながらデッサンを繰り返していたというエピソードがあるように、アトリエには大量のデッサンが保管されており、その一部をご覧いただけます。
代名詞である「穴」がはっきりと表れてくる過程のものでしょうか、同じ制昨年のよく似たデッサンも残されています。
模索するうちに個展の開催日が迫ってきたために、レリーフを作るほかなくなったと語られていますが、それも穴を彫刻的な構造とするアイデアに行き着くための運命的な布石であったのかとさえ思われます。
穴を穿つ独特の抽象的作品は、作品を作るごとに木の成長のように縦に大きくなっていましたが、徐々に横長のフォルムを持つ作品が現れはじめました。
繊細な鑿跡がさざ波のように揺らめき、全体に及ぶ緩やかな反りやうねりは、揺蕩うような伸びやかな横長の動きに生命感を与えています。白く着色されているので通称「鯨シリーズ」と言われることもあります。
緩やかなカーブ、鋭利なエッジ。これらの特徴について、日本の寺や石垣、刀などの伝統的なものからの影響についても指摘されることがあります。
九州産業大学での出講のために日本とミラノを往来する折には、日本の文化再見にも努めておられました。
ミラノに渡ったばかりの頃、日本的なものを排除するつもりで制作を進め発表するも、「日本的である」と評価されてからは、(それは良い評価でしたが)やはり抗えないものとして落胆すると同時に、自身の日本的な部分を強く自覚するきっかけとなったようです。
渡欧して数年後には剣道の教室に入り、昇段を重ねた後「春風館」という教室名で、ミラノの若者たちに剣道や居合を教えていました。毎朝の行水と真剣による素振りが日課だったそうです。
この手ぬぐいは、30年ほど前に豊福先生がひいきにしている武道具店に120枚を特別に発注したもので、剣道の面の下につけるためのものです。氏自身による書が染め付けられています。(ご提供:ブドウショップ(池袋・東京)様)
豊福先生は、「(彫刻は)魅力に取りつかれると、そこから逃れられない、そこから去りがたいものがある」と言葉を残されています。当時の時代背景や、資料から浮かび上がってくる先生のお人柄を知るにつけ、ますます作品の潔さと美しさに魅せられます。
本展は5月30日まで開催いたします。どうぞご覧くださいませ。
ご参考までに
過去にみぞえ画廊で開催した展覧会の様子がブログでご覧いただけます。↓
2021.05.03 Monday【みぞえ画廊】豊福知徳展
http://blog.mizoe-gallery.com/?day=20210503
2018.09.10 Monday【福岡店】 豊福知徳ギャラリーがOPENいたしました!
http://blog.mizoe-gallery.com/?day=20180910
2018.06.12 Tuesday豊福知徳展開催中です!
http://blog.mizoe-gallery.com/?day=20180612
2017.10.15 Sunday【東京店】豊福知徳 開催中!
http://blog.mizoe-gallery.com/?day=20171015
2014.04.17 Thursday豊福知徳展 開催されました!
http://blog.mizoe-gallery.com/?day=20140417
2013.08.20 Tuesday豊福知徳展を開催いたしました
http://blog.mizoe-gallery.com/?day=20130820
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【東京店】〜豊福知徳展〜開催中
今年は春の訪れも早く、日々新緑が色濃くなる季節を迎えております。
皆様いかがお過ごしでしょうか。
さて、4月17日より開催しております『豊福知徳展』は、1960年ベネチア・ビエンナーレ出品を機にイタリアへ移住、ミラノにアトリエを構え、世界に通じる彫刻家としてご活躍された豊福知徳先生の木彫、ブロンズ、ドローイング(鉛筆、ペン、パステル)、グアッシュ、アルミニウムの作品を多くそろえた企画展です。
開催前々日、その作品たちは福岡からやってきました。
その他の作品たちも開封するたびスタッフからそれぞれ思い思いの感想が漏れ、この会期の楽しみが湧き上がる展示作業となりました。
玄関に飾った『春風』(立像)『作品』、和室に置かれた『横たわる構成?’93』は想像を超え遙かに大きな存在感に驚かされました。
代表作とも言える楕円の穴が多くあいた作品は先生が全く新しい世界を開こうと模索を重ねる中で偶然ぽっかりとあいた穴が始まりとなりました。
「偶然から生まれた空間の効果に目を見張った。厚板のむこうの空間と手前の空間が、穴を通してつながった。空間が透過するような面白さが生まれた。穴が増えると、新しいリズムが生まれる。ノミの跡のリズムも合わさって、新鮮な空間が構成となった。」〈東と西のはざまで〜彫刻家・豊福知徳聞書(西日本新聞社)より〉
この言葉の通り、庭に面した窓際に展示した『無題』『作品’77』はそれを通すといつもと違った景色が見え、なぜか飽きない・・・つい時間を忘れ佇んでしまうほどです。また、目を閉じても、その残像が瞼に浮かび上がり、空気の流れとノミの跡、穴が織りなすリズムが心地よく感じられ、とても不思議です。
これが「(彫刻は)魅力に取りつかれると、そこから逃れられない、そこから去りがたいものがある」と先生がおしゃっていた彫刻の魔力(魅力)なのでしょうか。
この他、見所は沢山ありますが、その中からいくつかご紹介したいと思います。
人型に楕円の穴があいた『立像』は、具象から抽象表現へ移行した後、再度具象を試みた時に生まれた作品です。形は具象、質的には抽象の表現が向き合う者にやすらぎを与え穏やかな気持ちにさせてくれます。
『横たわる構成』『横たわる構成?’93』は鯨シリーズと名付けられたうちの二作です。海面に鯨が浮いたような形で白く着色しているので「白鯨」と呼ぶことにしたようですが、どうやら鯨ではなさそうです。ゆるいうねりのあるこれらは、つい側に寄り添いたくなり、そこから離れ難くなります。
この他、木彫の作品には先生のあそび心が垣間見えるものもあります。木の割れをとめる為の技法(チギリ)をあえて蝶がとまっているかのようにアクセントにしてしまった玄関横に置かれた『構成』です。この他にも見えないようにこの技法が使われている作品がありますので探してみるのも楽しいかもしれません。
ブロンズ作品は木で原型が彫られ、まるで木で出来ているの?!と疑うほど目を見張るものばかり、ユーモアを感じる作品もあり、私たちを楽しませてくれています。
数点の『デッサン』は「作品が次の作品のドローイングになることがある」とおしゃっていたこともあり、ある意味希少と言っていいものばかりかもしれません。一枚の紙に書かれた濃い鉛筆の線は空気をまとい、異次元の世界へ連れて行ってくれるかのようです。
他にも綴りたいことが沢山ありますが、この辺で・・・。
どの作品も力強く、温もりを感じるものばかり・・・百聞は一見に如かず・・・是非、実際に見て、感じていただけたら幸いです。
5月18日、先生の三回忌を迎えます。先生の作品を通じて皆様とのご縁が深まり、新たな出逢い、発想が生まれることを楽しみに残りの会期、福岡店での会期を迎えたいと思います。
皆様のお越しを心よりお待ちしております。
【東京店】豊福知徳展 2021年4月17日(土)〜5月9日(日)
【福岡店】豊福知徳展 2021年5月15日(土)〜5月30日(日)
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新緑が目にあざやかな季節となり、画廊の庭の薔薇も優美な香りと共に咲き誇ってまいりました。皆様お変わりなくお過ごしでしょうか。さて、みぞえ画廊では「ゴールデンウィーク大感謝祭」と題して、日頃よりご愛顧をいただいておりますお客様へ感謝を込めて、版画、素描を中心に、現代・物故・海外作家など、幅広いジャンルの作品をお求めやすい価格にて展示いたしております。ご自身へのご褒美や「母の日」のプレゼントとして逸品の贈り物にいかがでしょうか?
〈主な出品作家〉
梅原龍三郎 / 小磯良平 / 田崎廣助 / 香月泰男 / 児玉幸雄 / 平野遼 / 織田廣喜 / 瑛九 / 坂本善三 / 須田剋太 / 菅井汲 / 靉嘔 / 野見山暁治 / 加山又造 / 堀文子 / 山口薫 /吉田博 /キース・ヴァン・ドンゲン / アントニ・タピエス / アントニ・クラーベ / ポール・アイズピリ / アンドレ・コタボ / ピエール・アレシンスキー / ベン・シャーン / ジェフ・クーンズ 他 *出品作家は変更する場合がございます。
アンディ・ウォ−ホル
「Flowers 11.69 サンデーモーニング版」
シルクスクリーン 89 x 89 cm
120,000円(JPY)→ 80,000円(JPY)
キース・ヴァン・ドンゲン
「ショートヘア」
リトグラフ 37 x 27cm
600,000円(JPY)→ 400,000円(JPY)
ベン・シャーン
「思いがけぬ邂逅 (「マルテの手記」より) 」
リトグラフ 1968年 54.2 × 42.5 cm
150,000円(JPY)→ 100,000円(JPY)
ベン・シャーン
「遠くから近ずいてくるのが見える別離(「マルテの手記」より) 」
リトグラフ 1968年 54.2 × 2.5 cm
150,000円(JPY)→ 100,000円(JPY)
アンドレ・コタボ
「ニース風景」
リトグラフ 50.2 x 71 cm
100,000円(JPY)→ 60,000円(JPY)
山口 薫
「晝の月と馬」
版画 54.7 x 47 cm
150,000円(JPY)→100,000円(JPY)
浜田 昇児
「湖畔」
日本画 P10号 40.9 x 53 cm
800,000円(JPY)→ 400,000円(JPY)
平野 遼
「ミコノスにて」
水彩 34.3 x 28 cm
90,000円(JPY)→ 60,000円(JPY)
▶新館にて常設展開催中
現代アート、抽象画作品の他、昭和を代表する洋画家長谷川利行、糸園和三郎による作品も一挙ご覧いただけます。本館アートフェア作品と合わせて是非ご覧ください。
〈主な出品作家〉
糸園和三郎、長谷川利行、織田廣喜、阿部平臣、野見山暁治、木村忠太、須田剋太 、中村一美、永武、今井俊満、井上敬一、小松孝英、弓手研平、柴田七美、八頭司昂他。
お客様のご来廊を、心よりお待ちいたしております。
会期中のみぞえ画廊は新型コロナウィルス感染拡大防止のため、ご来廊のお客様には入店時に以下のお願いをしております。
1.マスク着用、手指消毒
2.ご芳名帳へ氏名・ご住所等の記帳
皆様に安心して展覧会をご覧いただけるように、ご理解とご協力の程、何卒よろしくお願い申し上げます。
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今年は例年より、桜や藤の開花が早いようです。
いかがお過ごしでしょうか。
みぞえ画廊 福岡店では現在、城ヶ?悟展「こころという空に」を開催中です。
実に5年ぶりの個展開催となりました。
しかしそれはブランクではなく、作家自身の考えを温める時間でもありました。
会場に並んだ作品は、どれも充実していて、それを如実に裏付けていました。
3/28〜31は、城ヶ?悟先生が在廊されました。
先生の気さくなお人柄は、作品の雰囲気そのままという感じがします。
身の回りの小物を描いた作品。何気ないのに、心をとらえて離さない。城ヶ?作品には、いつも無駄のない余白があって、時にそっと寄り添うように、鑑賞者の自由な鑑賞を受け入れているかのようです。
「赤い実」
油彩 10号変形 53×18cm 2021年
最近はお花の絵をよく描かれるそうです。アトリエに飾ったお花は、完全に枯れてしまうまでは、捨てられないと言われていました。
「船旅」
油彩 F4号 24.2 x 33.3 cm 2021年作
ドレスの女性が、ややっと遠くを見渡しています。二人はどんな会話をしているんだろう?物語の一瞬を切り取ったようで、想像を掻き立てます。
「花を見つけた」
油彩 変10号 17.7 x 52.5 cm 2021年作
自身のお子様が幼少期に描いたものをヒントにすることもあるそうです。中央に描かれた蝶は、現実にはこんな形をしていないのに、なぜか自分の中の蝶の記憶と結びついて、愛しい気持ちにさせられます。
「ユニークなものとは、人と違うことではなく、共通しているものをどれだけ持っているかということです。」
「自然に見えるとは、共感できるということ。」(取材中の言葉より)
「海からの風」
油彩 F6号 41 x 31.8 cm 2021年作
今回は、今までと少し違う、若干写実的な描き方の作品も並びました。
しかしただの写実的表現ではなく、今まで培われたものが滲みでてくるような、豊かな広がりが感じられます。
『人生最後に見たい絵って、どんなものだろう?』
親しい画家仲間で集まったとき、そんなお話になり、新作のテーマの一つにもなりました。
現実には深刻な問題があり、それを警告するやり方もある一方で、それらを感じている人たちは、なにを求めているのか?絵描きとして何かの役に立ちたい。そんな思いで描き続けていると言います。
「『現実には、希望がある』ということ。可能な限りマチエール(絵肌)でそれを表現したうえで、捉えどころのないものの余地を残しておきたい。描きたいものを描き、残した余白にその人の物語を見つけてほしい。」
余談ですが…城ヶ?先生の作品に登場する鳥さんが、会場にも羽ばたいています。もう一匹はどこでしょう?ぜひ会場で探してみてくださいね。
ふと、空を見上げた時のような気持になっていただけましたら、幸いにございます。
4/11まで、開催しております。どうぞお出かけくださいませ。
【みぞえ画廊 展覧会情報】
城ヶ?悟展 こころという空に
会期:2021年3月27日(土)〜4月11日(日)
営業時間: 10:00-18:00 会期中無休
会場:みぞえ画廊 福岡店(本館にて)
★別会場・関連イベントのお知らせ =福岡アジア美術館 個展=
「つくられしものたち」 城ヶ?悟展
会期:2021年4月1日(木)〜4月6日(火) 会期中無休
営業時間: 9:30-18:00 ※最終日は17:00まで
会場:福岡アジア美術館8階 交流ギャラリー(入場無料)
福岡アジア美術館でも個展を4/6まで開催、新旧20点の大作を展示されています。
4/4には同会場内で伊藤ゆりあさん演奏のピアノコンサートが催されました。絵画とピアノの調べが響きあい、訪れた鑑賞者の方々は、大きな拍手で感動を共有されていました。
なにか励まされるような、温かい作品が並んでいます。こちらも是非ご鑑賞くださいませ。
]]>会期中のみぞえ画廊は新型コロナウィルス感染拡大防止のため、ご来廊のお客様には入店時に以下のお願いをしております。
1.マスク着用、手指消毒
2.ご芳名帳へ氏名・ご住所等の記帳
皆様に安心して展覧会をご覧いただけるように、ご理解とご協力の程、何卒よろしくお願い申し上げます。
三寒四温の言葉通り、真冬に戻ったかのような寒い日があれば、春本番のような暖かい日もあり・・・
福岡店の庭の木々も若葉が育ち始め、つぼみが膨らみ始めています。
みぞえ画廊 福岡店では現在、「わからないほど、おもしろい!抽象画ってなんだ?展」を開催中です。
みなさん、抽象画はお好きですか?
そもそも、抽象画って何でしょう?
ちゅう-しょう【抽象】
(abstraction)事物または表象の或る側面・性質を抽ぬき離して把握する心的作用。
その際おのずから他の側面・性質を排除する作用を伴うが、これを捨象という。
一般概念は多数の事物・表象間の共通の側面・性質を抽象して構成される。〈哲学字彙〉↔具象↔具体。
(広辞苑より)
すでに迷子になりそうですが・・・・もう一つ
ちゅうしょう-が【抽象画】
対象の再現ではなく、幾何学的・有機的形態を用い、形と色を自律的に扱って、自然界とは別個の効果を表そうとする絵画。
1910年代初めにカンディンスキー・モンドリアン・マレーヴィチらが創始。
(同じく広辞苑より)
抽象画って誕生してからまだ100年とちょっとなんですね。
アートの歴史からすると比較的新しい表現方法と言えます。
野見山暁治先生のお言葉を拝借すると・・・
「僕の絵は具象なのか抽象なのかとよく聞かれますが、目で見たものしか描いていない。
絵を描くということは、その目に見えたものの奥に潜むカタチを、画面に引きずり出すことなんです。」
描かれているものは確かに存在していて、それをアーティストのフィルターで
通したものが画面上で表現されている、ということでしょうか。
NY滞在歴の長い、あるアーティストが面白いお話を聞かせてくださいました。
「ビジネスの街ニューヨークでは商談中にオフィスに具象の作品(特に人物)
があると商談が成立しない」と言われているそうです。
理由はわかりませんが、興味深いお話です。
いろいろと難しいことを申し上げましたが、画廊は様々なアーティストの
色彩豊かで特徴的な作品で埋め尽くされています。
日田出身の画家、宇治山哲平やジョエル・シャピロ・・・。
世界的な彫刻家、豊福知徳が抽象表現の彫刻を制作し始めた頃の貴重な作品も・・・!
さきほどお言葉をお借りした野見山暁治先生の作品や、田淵安一、今井俊満・・・。
猪熊弦一郎、坂本善三、菅井汲・・・など。
ここからは、実際に展覧会にお越しになったつもりで
作品を鑑賞なさってみてください。
この絵をみてどんな発見がありますか?
田淵 安一 「子供の時期」
油彩 100 x 50.3 cm 1954年作
タイトルから、どんな印象をうけますか?
野見山暁治 「おかしな景色」
グワッシュ 57 x 76.3cm 1990年作
絵からどんな形が見えてきますか?
猪熊 弦一郎 「EXPRESS WAY Q」
アクリル 102 x 76.5 cm 1967年作
色彩から何を連想しますか?
中村 一美 「死を悼みて灼熱の荒野に立ち尽くす者?」
アクリル 116 x 92 cm 2003年作
絵の中でなにが起こっていると思いますか?
フェルナン・レジェ 「Les papillons dans la roue (étude) (車輪の中の蝶、習作)」
紙にグワッシュ 30 x 45.5 cm 1944年作
いかがでしたか。
100人の方がご覧になれば、100通りの感想を抱かれる。
それが抽象画ではないでしょうか。
作品を通して作家の考えていること、ご自身が感じたこと、など
様々なことに思いを馳せること、
それがアートを鑑賞する楽しみ、なのだと思います。
ぜひお越しいただき、ご自身の目で観て感じていただければと思います。
また、新館では現代作家の作品を集めた常設展を行っています。
本館の抽象画展に合わせて、こちらも抽象表現の作品を中心に展示しています。
小嶋勇 「LOST GARDENー1」 ミクストメディア
104x197cmの大作です。
田部光子、光行洋子 両先生の大作や上川伸、南聡先生・・・。
そのほか、奥山民枝、片山雅史、弓手研平、小松孝英、中村宏太 など
各先生方の近作を中心に約20点展示いたしております。
こちらも併せてご覧くださいませ。
【展覧会情報】
わからないほど、おもしろい!
抽象画ってなんだ?展
会期:2021年2月20日(土)〜3月7日(日)
営業時間: 10:00-18:00 会期中無休
会場:みぞえ画廊 福岡店(本館にて)
]]>会期中のみぞえ画廊は新型コロナウィルス感染拡大防止のため、ご来廊のお客様には入店時に以下のお願いをしております。
1.マスク着用、手指消毒
2.ご芳名帳へ氏名・ご住所等の記帳
皆様に安心して展覧会をご覧いただけるように、ご理解とご協力の程、何卒よろしくお願い申し上げます。
新館・糸園和三郎展は2月3日(水)まで会期延長しました!
本館・常設展では、糸園和三郎と親交の深かった画家たちの展覧会を開催中!
先日ブログでもご案内させていただきました、糸園和三郎展は無事に最終日を迎えました。
糸園氏の作品に吸い寄せられるように、展覧会に何度もお越しくださるお客様の姿もあり…おかげ様でご好評につき、糸園和三郎展は2月3日(水)まで会期延長しております。是非、お立ち寄りください。
さて、みぞえ画廊 本館では糸園和三郎と深く親交のあった画家たちの展覧会も開催中です。特集として井上長三郎、さらに自由美術協会、新人画会、土日会などで関わりのあった牛島憲之、山口薫、脇田和、森芳雄、香月泰男、麻生三郎、野見山暁治、豊福知徳、福井良之助、櫻井孝美らの作品を本館・常設展にて展示しております。企画展と合わせてご覧ください。
今回は、井上長三郎にスポットを当てたいと思います。井上長三郎は社会意識を鋭く突いた諷刺絵画を、ユーモア交えた独特な画風で描いた画家です。激動の社会の中、制作に心血をそそいだ井上長三郎の作品約10点がご覧いただけます。
井上長三郎(いのうえ ちょうざぶろう)1906〜1995
神戸に生まれ、大連で少年期を過ごした後に上京し太平洋画会研究所で学びます。
「池袋モンパルナス」と呼ばれるアトリエ村文化が栄えた地域に暮らし、戦前はフォービスムやシュルレアリスムに影響を受けた絵を独立美術協会展、美術文化協会展を中心に発表。氏の戦中の作品の中には厭世的だと言われ、出品を撤回されたものもあったそうです。
戦争画一色の時代になっても画家仲間である靉光や松本竣介、糸園和三郎らと共に1943年に新人画会を結成し、展覧会を開きます。これは戦時下であっても自主的な表現活動をするための場でした。
戦後は自由美術家協会に参加し、ベトナム戦争の事件を描いた社会性のある作品や、礼服姿の議員たちを風刺したユニークな絵画を残した。千葉県で逝去し享年89でした。
「牛」 油彩 P8号
牛を太い輪郭線と斬新な色彩で表現。
闘争心に燃えているような描写が、井上長三郎ならでは。
「ローマ風景」 油彩 F6号
井上長三郎が得意とする風景画。
余計な被写体を省いて、豊かな色彩でキャンバス一杯に表現された作品。
緊急事態宣言の最中ではありますが、みぞえ画廊では皆様に安心してご来廊いただけるように定期的に換気をして画廊内の通気性を良くしております。込み合うこともございませんので、お散歩がてらお立ち寄りくださいませ。
【会期延長!〜2月3日(水)まで】
新春企画「−没後20年− 糸園和三郎展」
営業時間: 10:00-18:00 会期中無休
会場:みぞえ画廊 福岡店(新館・本館にて)
会期中のみぞえ画廊は新型コロナウィルス感染拡大防止のため、ご来廊のお客様には入店時に以下のお願いをしております。
1.マスク着用、手指消毒
2.ご芳名帳へ氏名・ご住所等の記帳
皆様に安心して展覧会をご覧いただけるように、ご理解とご協力の程、何卒よろしくお願い申し上げます。
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JUGEMテーマ:展覧会
1月も半ばを過ぎ、寒いながらも春の訪れを感じる頃となりました。
皆様はいかがお過ごしでしょうか。遅ればせながら、皆様にとりまして幸多い一年になりますようお祈りいたします。
さて、コロナ禍での2021年幕開け、初仕事は今回初お披露目となった藤田嗣治(以下、藤田)の『横たわる裸婦と子犬』の搬入作業となりました。
これは藤田が「素晴らしき乳白色」と称賛され名声を確立した1921年に描かれた裸婦像の初期の作品と考えられます。同じ頃に描かれた『横たわる裸婦と猫』(1921年 プチ・パレ美術館(ジュネーブ)蔵)と『ジュイ布のある裸婦』(1922年 パリ市立近代美術蔵)は多くの方が目にされたことがある作品と思います。
今回の新春名品展でお披露目となったこの作品は、乳白色のベッドリネンにアフロヘアを思わせる真っ黒な髪とクールビューティーな顔立ちが特徴的な裸婦とその足元に白い子犬、背景には墨を思わせるような黒が使われ、『横たわる裸婦と猫』の構図とほぼ同じ、モデルとなった女性も同一人物(パリのギリシャ外交官の娘、当時19歳)と考えられています。
描かれた裸婦像は肌全体にほんのりとピンク味を帯び、日本画や浮世絵の美人画を思わせる顔立ち、櫛を持って頭の上に両腕をかざした姿が少し恥じらう仕草にも見えます。彼女の顔や手足は繊細にかつ表情豊かに描かれ、この裸婦を初々しく感じさせてくれています。
そして、名脇役と言える裸婦の足元に描かれた白い子犬は一瞬『猫??』と思ってしまうほど丸っこく、ふわモコの愛らしい姿です。
会期が始まり、いらしたお客様たちからも「カワイイ!」「珍しい!」というお声が多く聞かれ、皆様の目を奪っています。
藤田の作品では一般的に猫の作品が多く知られていますが、犬の絵はあまり知られていないこともこの子犬に目が奪われる理由のひとつかもしれません。このことをきっかけに、藤田に関わる画集や資料を見返してみると・・「もしかして?!この子ではないか?!」と思う犬の絵を見つけましたので、ご紹介したいと思います。
一作は『5人の裸婦』(1923年)の右端、お行儀よくお座りしたキリッとした白い犬が描かれています。
もう一作は2人目の妻フェルナンド・バレーと並んで描かれた作品『家族(室内、妻と私)』(1923年)の右端、テーブルに乗り出す少し大人顔の白く丸いふわモコの姿が描かれています。家族と題した作品に描かれたこの犬は藤田とフェルナンドが飼っていた可愛い存在だったに違いないと思いたくなります。
そして、この二作の白い犬がこの子犬と同じ犬であることの根拠はあいにく持ち合わせていませんが、「この子なのでは!?・・」とワクワクし、この子犬だけが描かれた作品が存在するらしいと耳にした今では、「見てみたい!」と思うのと同時に、この子犬は藤田とどんな風に暮らしていたのか?・・と玄関に展示した作品を前に想像を膨らませるのでした。
緊急事態宣言発令直後にこの会期が始まり、多くの方に見て頂ける状況ではありませんが、いらして頂いたお客様と作品を通じて楽しいお話が出来ること、多くの気づきを頂けることに感謝いたします。また、このブログを通じ、いらして頂けない方々には作品のこと、会期の雰囲気などお伝え出来ましたら幸いです。
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冬晴れの空に映える蝋梅が、優しい香りを放つ季節となりました。
みぞえ画廊 福岡店では、年明け最初の展覧会として、新春企画「−没後20年− 糸園和三郎展」を新館にて開催中です。洋画家・糸園和三郎の作品が静謐で誌的な世界へと誘います。本企画では糸園が1960年代〜1980年代に描いた、円熟期〜晩年にかけての作品25点をご覧いただけます。
▶2016年3月にみぞえ画廊で開催した「没後15年 糸園和三郎展」の様子はこちら
−糸園和三郎 アトリエでの風景 1978年撮影−
糸園は静かに、物事の本質をとらえる目を持っていた画家でした。
糸園和三郎はどのような画家人生を送ったのか・・・
1911年 大分県中津市生まれ、呉服商を営む裕福な家庭で育つ。
少年時代に骨髄炎を患ったものの、1927年画家を志し上京し、川端画学校、前田写実研究所に学ぶ。
1930年 春陽会展に初入選。画家として生きていく確かなものをつかむ。
1931年 独立展に出品。1939年美術文化協会の結成。1943年新人画会を結成。
1945年 東京大空襲により、ほぼすべての作品を焼失。また、戦時中は戦争画を一切描かなかった。
戦後、自由美術家協会会員となり、1957年脳動脈瘤が見つかり、絵が描けなくなるリスクを懸念し手術は受けず、中津で一年半の療養生活を送る。
1957年〜'81年 日本大学芸術学部で後進の指導にあたる。
1964年 この年より無所属。1976年糸園に師事した卒業生たちが「土日会」を結成。
1980年代は右眼の視力を殆ど失い、晩年は左眼も衰えることとなるが、絵を描き続ける。
2001年 肺炎を患い89歳にて他界。
では、今回の展示作品の中から下記数点をご紹介させていただきます。
「双頭の牛」 油彩 F4号
2つの頭を持つ牛。今にも走り出すかのような躍動感にあふれています。
2021年は丑年ということで、縁起の良い一枚。
「山の雪」 油彩 F4号
山肌から春の訪れを感じます。
雪化粧の白〜アッシュグレーの配色バランスがとても美しい。
「飛び立つ水鳥」 油彩 F8号
水鳥の群れが一斉に羽ばく瞬間美。
羽先など細部にわたる描写も必見です。
「丘の午後」 油彩 F6号
芝を照らす光と影、その濃淡のグラデーションと絵肌が見事です。
全体のバランスが美しく保たれています。
「花店」 油彩 F10号
静かに佇む花売りの娘。
糸園が彩る紫色は、優美さと妖しさを合わせ持ち
見る者の目を捉えて離しません。
「子犬のいる裏庭」 油彩 F6号
目をこらすと左下に1匹の子犬が描かれています。
絵の具を塗り重ねられた石垣からは、時の流れを感じるようです。
「パルテノン風景」 油彩 F8号 1982年作
石柱の温度まで伝わりそうな、写実的な一枚。
60年代までは抽象的な作品を描いていた糸園が
歳を重ねるごとに写実的になって行ったことが伺えます。
このような絵を描いたのはどんな画家だったのかとその軌跡を追うにつれ、皆が敬愛してやまない人格者であった事を知ります。「物静かで、思慮深く、温かい。」北九州自由画室、日大芸術学部、土日会で後進の指導をし、その薫陶を受けた人たちは口々にその人格を讃えています。
自宅兼アトリエには、糸園を慕ってやまない教え子たちが日夜出入りしていたそうです。
本展覧会は、みぞえ画廊が長い歳月をかけて収集した作品を一挙にご覧いただけます。緊急事態宣言の最中ではありますが、皆様のご来廊を心よりお待ちいたしております。
【展覧会情報】
新春企画「没後20年 糸園和三郎展」
2021年1月16日(土)〜31日(日)
10:00-18:00 会期中無休
会場:みぞえ画廊 福岡店
会期中のみぞえ画廊は新型コロナウィルス感染拡大防止のため、定期的に換気をして画廊内の通気性を良くしております。また、ご来廊のお客様には入店時に以下のお願いをしております。
1.マスク着用、手指消毒
2.ご芳名帳へ氏名・ご住所等の記帳
皆様に安心して展覧会をご覧いただけるように、ご理解とご協力の程、何卒よろしくお願い申し上げます。
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旧年中はコロナ禍の中、皆様に支えていただきましたことを心より感謝申し上げます。
一日も早い収束を願うとともに、皆様のご健康をお祈りいたします。
新年早々、九州エリアは"大寒波"に襲われて近年まれな積雪となりました!
窓を覗くと、なんとお庭は一面の銀世界。
福岡でここまで積雪になることは珍しいのです。さ、さむい〜〜!
とはいえ、滅多に見ることのできない白銀の景色は
見る者の気持ちを、つい高揚させてしまうものです。
池松 一隆と宮?甲の彫刻作品にも雪化粧が…。
誠に勝手ながら、積雪の影響で1月9日は臨時休業とさせていただきました。
配送業・交通機関も一部ストップしていたようです。
雪の中のお仕事、本当にお疲れ様でした。
11日現在は雪もすっかり溶けて、あっという間に画廊は日常へ戻りました。
さて、みぞえ画廊 本館では新年明けて最初の、常設展がスタートしました。
16日から始まる糸園和三郎展に先駆けて、
糸園の作品を数点と、親交のあった作家たち
(井上長三郎、牛島憲之、山口薫、脇田和、森芳雄、野見山暁治、豊福知徳など…)
の作品を展示中です。
さらに現代作家(井上敬一、永武、城ケ崎悟、櫻井孝美、柴田七美、八頭司昂など)の
作品も展示しております。寒い日が続きますが、新春の常設展をぜひご覧ください。
<次回の展覧会>
1月16日(土)からはみぞえ画廊 福岡店・新館にて
「没後20年 糸園和三郎展」を開催する予定です。
省略された画面の中に対象の本質に迫るように描かれた心象風景。
その情感にあふれ、心に染み入る静謐で誌的な世界に一目で魅せられます。
一度で良いから会ってみたかったと、その人物に思いを馳せながら収集した作品約25点を展示いたします。
ご来廊お待ち申し上げます。
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さて、みぞえ画廊ではご愛顧をいただいておりますお客様へ感謝を込めて、一挙70作品程の豊富なラインナップをご用意したクリスマスアートフェアを開催中です。 年に一度の特別価格 (最大50%OFF)にてご提供させていただいております。大切な人への真心のこもったクリスマスプレゼントやご自身へのご褒美として一期一会の作品を求めてはいかがでしょうか?
今年は誰しもが経験したことのない、コロナ禍における静かなクリスマスをお迎えのこととご察しいたします。そんな世情だからこそ、部屋に飾るお気に入りの絵画の存在は、何ものにも代えがたいものです。心にやすらぎやともしびを照らす1枚。画廊はそんな絵画とお客様の新たな出会いの場でもあります。
今回の展覧会ではジェフ・クーンズ「Balloon Dog (Blue) (リプロダクション)」のような現代アートをはじめ、ピカソ、ダリ、シャガール、ウィレム・デ=クーニング、ポール・アイズピリなど西洋の作家によるリトグラフを中心に…。
国内作家では中村研一、中村琢二、児島善三郎、福井良之助、糸園和三郎、児玉幸雄などの油彩による近代美術コーナーもあり、さらに福岡県立美術館で絶賛展覧会中の吉田博の木版画、またクリスマスプレゼントに最適な1万円の現代版画の小品コーナーなど、幅広いジャンルにて取り揃えております。
ジェフ・クーンズ
「Balloon Dog (Blue) (リプロダクション)」
レジンキャスト 29.5 ×3 1.4 × 12.3 cm
ネオ・ポップの巨匠ジェフ・クーンズよる作品です。
★新たに入荷したゴールド、オレンジ、緑、黒からお選びいただけます。
パブロ・ピカソ
「想像の中の肖像」
リトグラフ 66 × 50.3 cm
キュビズムを連想させるピカソらしい秀作。
ダンボールに描かれた肖像画シリーズをリトグラフでお届けします。
ポール・アイズピリ
「パリの屋根 」
油彩 54.5 × 46 cm
パリ画壇の中でも、具象絵画で親しまれた巨匠ポール・アイズピリの作品。
独自の色彩が織りなす重厚感が見事です。
ウィレム・デ=クーニング
「The Man and The Big Blond」
リトグラフ 64.5 x 76.7 cm
アメリカで活動したオランダ出身の画家、デ・クーニング。
激しい筆致と鮮やかな色彩で描かれた「アクション・ペインティング」として名高い作品です。
レオナール・フジタ
「子供部屋」
リトグラフ 48 × 33 cm
レオナールの色彩豊かな複製画です。
お孫さんへのクリスマスプレゼントとしていかがでしょうか。
児玉 幸雄
「パリーの街」
油彩 F8号 37.9 x 45.5 cm
フランスの風景を描く画家は多く存在しますが、近代において人気の高い画家のひとりです。
情緒豊かなパリの街並みに思いを馳せてください。
吉田 博
「冨士拾景 船津」
木版 40.5 × 27 cm
吉田博の代表的なシリーズ版画「冨士拾景」の内の作品「船津」です。
山口 長男
「作品」
水墨画 38 × 27 cm躍動感溢れる斬新なデザインです。
= 主な出品作家=
パブロ・ピカソ/サルバドール・ダリ/ジョアン・ミロ/マルク・シャガール/レオナール・フジタ/トゥールーズ・ロートレック/フェルナン・レジェ/ウィレム・デ・クーニング/アントニ・クラーベ/アントニ・タピエス/ジェフ・クーンズ/ベン・シャーン/ジョエル・シャピロ/ポール・アイズピリ/ジャン・カルズー/アンドレ・ブラジリエ/ジャック・デペルト児島善三郎/小磯良平/中村研一/中村琢二/森田茂/野間仁根/荻須高徳/彼末宏/児玉幸雄/脇田和/福井良之助/糸園和三郎/井上長三郎/平野遼/藤田吉香/織田廣喜/浜田知明/宮崎進/中根寛/瑛九/猪熊弦一郎/今井俊満/須田剋太/大沢昌介/難波田龍起/坂本善三/津高和一/靉嘔/加納光於/吉田博/川瀬巴水/高山辰雄/堅山南風/堀文子/麻田鷹司、他
上記以外にも多様な作家を取り揃えております。お気軽にお問い合わせください。
▶新館にて常設展開催中
新館では、ピカソ、ユトリロ、クラーベ、クレー、ワイズバッシュ、牛島憲之、池田龍雄、麻生三郎、糸園和三郎などによる作品を展示いたしております。クリスマスアートフェアの作品と合わせてゆったりとご鑑賞ください。
池田龍雄「ブラフマン」
1974年 アクリル
戦争を背負い、芸術を通して社会にメッセージを送り続けて来た、池田龍雄氏が92歳で逝去されました。
心からご冥福をお祈りいたします。
氏が45歳から手がけた連作「BRAHMAN(ブラフマン)」シリーズは300点にも及び、90歳を超えても描き続けました。
みぞえ画廊・新館にて1点、ただいま展示中です。
▶クリスマスプレゼント抽選会開催中
会期中、豪華景品が当たるクリスマスプレゼント抽選会も行っております。絵画・お花・ワインのいずれかを3,000円以上ご購入いただいたお客様には「クリスマスプレゼント抽選」の特典がございます!
<景品>
特賞リトグラフ、 Baccarat のグラス、オリジナルワイン、ポインセチア、みぞえグループオリジナルカレンダー又はクーポン券等
またとないこの機会にお仲間をお誘い合わせの上、是非、みぞえ画廊へお立ち寄りください。
お客様のご来店を心よりお待ちいたしております。
[展覧会情報]
クリスマスアートフェア2020
2020年12月5日(土)〜25日(金) 会期中無休
営業時間: 10:00-18:00
会場:みぞえ画廊 福岡店
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さて、みぞえ画廊 福岡店では「ambivalence 中村宏太展」を11月23日(月・祝)まで開催しております。学生時代からニューヨークで現代アートを学び、9.11の同時多発テロも自ら体験した中村宏太の、弾丸による造形美を一挙ご覧いただく作品展です。みぞえ画廊では初めての個展開催となります。
本展では弾丸が放たれる"瞬間美"をアルミや真鍮などの金属、ガラス、シリコン、和紙などを用いて制作されました。美しいものと醜いもの、生と死、静と動…など相反するambivalenceを表現し、相対する物同士が混在する様をストレートに表現。「極限の先にある美しさ」をご覧いただけます。
弾丸を放つという生命を奪う行為であるはずの時間と軌道、それらが描く儚い造形美をたっぷりとご覧ください。
「炸裂」
20x20 ? 2009年
弾丸が金メッキされた板に食い込み、衝撃によりすり鉢状の曲線が作られています。
生と死が同時に存在し、そこから生まれる極限の「美」は余分なものを削りとられたシンプルなもの、予期されるものでないと中村宏太は考えます。
「Perforate」
30×30×180? 2017年
金メッキされた6枚の真鍮板を弾丸が貫通していく様を捉えた。弾丸は炸裂し衝撃が弱まっていき、6枚目の板に食い込み止まります。板は合わせ鏡のようになり、弾丸や貫通痕が反射し透き通って多方向で美しく輝きます。
「境界」
45×45×1? 2019年
ガラスの青緑色のひびの冷たさとフィルムの熱き色が混在します。ギリギリでガラスのフォルムを保ちつつ壊れ、美しさと暴力的危うさが相反する作品です。それはまるで「境界」に立つ私たちのよう。
「音速 S」
40×40×1? 2019年
観る人自身が映り込み、観る人側と反対側の空間の相反する世界観を表現。
「白」
29.5×29.5×0.5cm 2019年
ガラス、フィルムに弾丸が放たれた作品。透明で儚さをも感じる作品。
ほか、展示作品は約50点に及びます。みぞえ画廊でも過去に類のない3D展示でお届けする立体アート空間をご体感ください。
さらに11月21日(土曜日)14時からは中村宏太氏によるギャラリートークも開催します。
どうかこの機会をお見逃しなく!
▶ギャラリートーク 11月21日(土)14時〜開催!
作家自身による解説を行います。7日に行った初回のギャラリートークでは多くのお客様にご参加いただき、作品に対する質問や感想を交えながら氏との熱いディスカッションも見られました。
▶みぞえ画廊リニューアルオープン記念展・特別展示も只今開催中!
本館2階では中村宏太氏の祖父にあたる洋画家・中村琢二、そして大伯父の中村研一の展覧会も会期中ご覧いただけます。
中村琢二「伊豆の富士」
中村琢二氏の持つ人柄がにじみ出るような、
あたたかくも的確に遠近を捉えた色彩と、
やわらかなタッチで描かれた日本各所の風景画7点を展示中です。
中村研一「昭南」
1943年に描かれた、シンガポール(昭南)の海を描いた貴重な風景画をはじめ
夫人をモデルにした人物画など計6点を展示中です。
↓中村宏太展の予告動画をご覧いただくと、世界観をより一層感じていただけると思います
中村 宏太(なかむら こうた)
1975年 鎌倉市生まれ。1999年 Syracuse University ファインアート科 油画専攻 卒業。2003年 New York School of Visual Arts 修了。2010年 東京藝術大学大学院美術研究科油画研究領域修了。2015年 太陽の塔に対峙せよ!展(岡本太郎記念館) 入選。2017年「アートオリンピア2017」銅賞、FAN美術館収蔵。2018年 バングラデシュ・ビエンナーレ出品。ニューヨーク、国内外の展覧会多数。東京を拠点に活動。
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JUGEMテーマ:展覧会
日ごとに秋の気配が深まる今日この頃ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
この度、現在のギャラリーの隣に新たなギャラリーを開設し、規模を拡張してのリニューアルオープンをいたしました。
新たにオープンする新館は、天井高5Mの吹き抜けを持つ解放感溢れる空間です。
大きな松の梁を架け、欅の大黒柱、天井の葦簀(よしず)など、和の素材をふんだんに使った、
心落ち着く空間です。
夜間はライトアップされ、閑静な街の雰囲気をより一層演出します。
こちらでは現在、コレクション展を開催しています。
開設以来、和洋を問わず世界中から良い作品を収集し、アートを求める人がいつでも作品と出会える場を目指してまいりました。
現在のみぞえ画廊の逸品を揃え、展示しています。
パブロ・ピカソ 「男の顔」 油彩 1972年
アルベルト・ジャコメッティ 「ディエゴの胸像」 ブロンズ 1956年
鴨居 玲 「教会」 油彩 1976年
長谷川 利行 「麦酒工場」 油彩
(他、ルノワール、シャガール、キスリング、坂本繁二郎、香月泰男、猪熊弦一郎、山口長男、野田英夫、
糸園和三郎、平野遼、織田廣喜、須田剋太、宇治山哲平、三岸節子、堀文子、野見山暁治、豊福知徳、
浜田知明、吉村芳生 の作品を展示しています。)
本館ではセレクション展を開催しています。
優れたアーティストとの出会いは、画廊の成長には欠かせません。私たちが選び、ともに歩むアーティストたちの
作品をご紹介しています。
弓手 研平 「干す女」 「林檎の木と水溜り」
奥山 民枝 「水平線上の出来事」 「大気の記憶」
片山雅史 「花卉図-天上の花?-4」 「花卉図-天上の花?-5」」
小松孝英 「青筋揚羽吸水図」
(他、井上敬一、永武、オーガフミヒロ、上川伸、金明植、小嶋勇、小林敬生、柴田七美、城ケ崎悟、田部光子、中村宏太、
南聡、望月菊磨、八頭司昂 (五十音順、敬称略) の作品を展示しています。)
2008年のオープン以来、たくさんのお客様、アーティスト、関係者の方々に支えられ、今日のみぞえ画廊があります。
この場をお借りして御礼申し上げます。
これからも、流行や市場に左右されない、いつの時代も人に感動を与えることのできる普遍的な価値をご提供してまいります。
新しくなったみぞえ画廊へぜひお越しくださいませ。
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作品のすべてに人物が描かれていますが、それはほとんどがシルエットのように描かれています。でもよく見ると、絵の具の動きが生き生きと伝わってきます。なぜこんな描き方をするのでしょう?
参考動画も是非ご覧ください!
物心ついた時から画家になりたいと思いながら育った柴田七美さん。いざアーティストとして駆け出したときに「なぜそれを描くのか?」とコンセプトを強く求められる風潮を受け悩んだ時期もあったそうです。
「逆に何でも良い」
そう答えを出した末にたどり着いたのは、「絵を描くのが好き」という純粋な動機でした。
描かれているのは、記憶を頼りに雑誌やインターネットから集めた写真などを分解し再構成することで作り上げた架空の人物。
絵具の動きと、色と形という、絵画を構成する最低限の要素を決定するためだけのモチーフとして、あえて虚構の存在を描くことにしたのだそうです。
この手法で描いた新作を2016年の個展「モンタージュ」で発表し注目され、翌年は絹谷幸二賞にもノミネートされました。
過去のブログ記事はこちらです。
故郷福岡では4年ぶり、2回目の個展となる本展でも、寄せつめたパーツを組み合わせて作り上げた架空の場面がモチーフとなっています。パーツの一つ一つは、過去に見た演劇や映画のワンシーン、本の挿絵などの記憶の断片をすくい上げたもの。
今回はより形への意識が強くなった感覚があったために、展覧会タイトルは「フォルム」と題されています。
ストーリー性のある作品を見ていると、やっぱり何が元になっているか気になってしまいますね。
物事はあらゆる角度から捉えられるもの、自由に観て感じてくださった方からの感想が聞けるのも新鮮で楽しく受け止めているといいます。
作品を見たお客様の反応は「もっとギトギトしているかと思っていた!」「絵の具の質感が所々ガラスみたいにつるんとして見えるけどどうやって描いているの?」など、絵具そのものにも視線が集まっています。
よく見ると、同じ黒でも、絵具の柔らかさと硬質さが混在しているのが分かります。硬質な箇所はつるんとしていてガラス質のように見えますが、全て油絵具の性質を生かした質感によるものです。
絵の具の性質を最大限に利用し、勢いと繊細さを持って徹底的に「どう描くか」にこだわる描き方。作家自身が、描くことは呼吸に似ていると捉えているように、絵具の動きとアーティストが筆を動かす動作は対であり、あるいは絵画とアーティストの対話と捉えることができるかもしれません。
ぜひ会場で、その対話に参加してみてくださいね。
柴田七美展は9/27までの開催となっており、その後東京店では10/10の開催を予定しております。
展覧会の開催前日に受けた取材では、「みぞえ画廊東京店で開催される個展では、また新たに新作をたくさん描き下ろす予定です」と真っ直ぐな意気込みを語ってくださいました!
是非ご覧ください!
JUGEMテーマ:展覧
9月に入った途端に蒸し暑い日が続いています。福岡には大型台風10号が近づいています。
そんな中、みぞえ画廊 福岡店では「野見山暁治展―絵描きと絵の旅路―」を開催しております。
きっかけは、とある野見山暁治コレクション。縁あって、私たちの元にやってきました。
戦後間もない頃の作品からパリ時代を含む、1940年代から90年代迄の油彩、水彩約45点。そこには、絵描きの歩んできた道のりと、夢や希望がたくさん詰まっていたのです。今年100歳を迎える画家、野見山暁治が見てきた世界を心ゆくまでご覧ください。エッセイ・書籍から抜粋した氏の文章とともに作品をいくつかご紹介します。
まずは、本展覧会で一番古い作品となるこちらの油彩画です。終戦から約1年後に描かれています。
『関門海峡』
油彩 1946年作 F10号
「関門海峡を見下ろす丘の上で、ぼくは手にした美術雑誌を拡げ、黒く塗り込めた裸のカラー図版を見た。
国が滅びて二、三年たつ。ろくに食べる物も、着る物もなく、絵具は容易に手に入らないのに、これからは文化国家。絵描きは絵を描くなり、気儘にやれと言われても、この先どうなるのか、だれにもわからぬ恐ろしさだった。どこを歩いても焼け野が原だ。こんな残骸をどう描けば風景として、明日につながるのか。」
(麻生三郎−「ひとり」が描かれた頃 『異郷のひだまり』 生活の友社、2011年)
1952〜64年の滞仏時代の素描や油彩も豊富に展示しています。1ヵ月かけて舟で日本からフランスへ渡ったのち、最初の1年は油彩を描かずパリやその近郊を見てまわっていたそうです。
『ヴァンス』
油彩 1954年 32.7 x 50.2 cm
パリとは太陽の輝きが違う。ニースの学生宿を根城にして、終日泳いだり寝転んだり、浜辺に倦きると近くの小高いヴァンスの街に出かけて、強い日差しの中をマチスの教会で贅沢な涼しさを味わった。
( 二年目の夏 『いつも今日 私の履歴書』 日本経済新聞社、2005年)
そして、帰国する数年前に氏はパリのギメ東洋美術館で一枚の北宋画と出会います。
その頃から描かれる線は、一見すると水墨画のようにも見えるとてもやわらかい筆に変化していきます。
『樹』
油彩 1963年 M40号
岩とも山ともつかない大きなものにへばりついている樹々、水の流れ、いやなにか血管のような、葉脈のようなもの、西洋の風景が表現している具現性には乏しいが、それを超えて薄気味悪い、うごめくような命がある。
自身、東洋人でありながら、いまいる地球の裏っかわにそんな国があることに初めて気づいた。
(ミュゼ・ギメー 『いつも今日 私の履歴書』 日本経済新聞社、2005年)
『オランダの風景』
油彩 1963年 P15号
見えるモノの正体を突きとめること。モノそれ自体は現実だが、その具体性というのが、ぼくにはよく分らない。それは仮装なのか、暗示なのか、あるいは現象として消えてゆく姿なのか。いずれにしてもぼくが描いているのは風景だ。
(絵を描くこと 『野見山暁治作品集』 講談社、1994年)
案内状に書かれた予告通り、8月22日の初日、野見山暁治先生が16時から画廊にいらっしゃるということで、テレビ局・新聞社の各メディアも取材に訪れていました。
20代の頃に描いた油彩画と野見山暁治先生。今年で100歳になる氏の来訪に、画廊にはたくさんのお客様が駆けつけて下さいました。暑い中お越しいただいた皆様、本当にありがとうございます。
お客様おひとりおひとりに丁寧に挨拶や写真撮影、サインに応じられて、その後の新聞各社のインタビューには疲れた顔ひとつ見せず、展示中の作品について、時代背景やその時の胸中を語られました。
2階はリトグラフィ集「On y va (オニバ)」と「Ca et la(サエラ)」より数点を額装して展示しています。先生がリトグラフ工房に足しげく通い丹念に制作された、味わい深い版画作品を楽しんでいただけます。
さらに、野見山暁治先生のエッセイやアトリエ日記の書籍も画廊にて販売中です!
「ただ描いていたら歳月がたった。ぼくが歳月を踏みこえたわけではない。」
作品集にはそんな言葉が記されています。
本展覧会では画家 野見山暁治が駆け抜けた半生を、作品を通してたどっていただけると思います。会期終了後もコレクションはそのままみぞえ画廊にございますので、気になる作品があれば気軽にお問合せください。
現在、福岡県立美術館では9月27日まで野見山暁治の水彩・素描の展覧会も開催されています。みぞえ画廊の展覧会の前後に合わせてご覧ください。
さらに、福岡の街にはパブリックアートとして氏が手掛けたステンドグラス作品を見ることができます。近くを通りかかった際は足を止めてその存在感を体感してみてください。
飯塚市役所のエントランスロビーのステンドグラスの写真 (↑)と
そのメイキングインタビューの動画 (↓)です。
野見山暁治 (のみやま ぎょうじ)
1920年福岡県生まれ。
東京美術学校油画科卒。’52〜’64年滞仏。安井賞。’68〜’81年東京芸術大学奉職。芸術選奨文部大臣賞。福岡県文化賞。毎日芸術賞。文化功労者。’14年文化勲章。
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JUGEMテーマ:展覧会
セミの鳴き声も日々大きくなり、ようやく夏らしい天気になってまいりました。
みぞえ画廊福岡店では、7月11日より 弓手研平展「土の声」を開催しております。
弓手研平氏の2年ぶりの個展とあって、初日から多くのお客様にお越しいただいております。
「あらゆるものは、すべて土の上に在る」
その考えのもと、すべての作品を土を描くことから始める作品は、完成までに1年以上もかかります。
50層以上も絵具を重ねて描かれており、独特の色味、質感を生みだしています。
毎回大人気の林檎の木モティーフや、アトリエにほど近い奈良・二上山の風景、親しみを持って描かれる百済観音・伎芸天の仏様。
100号の大作から小品まで合わせて40点以上の作品を展示しております。
また、ドローイング作品も16点、2階に展示しております。
長い時間をかけて制作される油彩とは違い、ドローイングは現場の空気を大切にされるため、必ずその場で描き上げられます。
ドローイングも土から描き始めるのですが、現地の土を絵具に混ぜることもあるそう。
今回は今年3月に行かれたラオスの風景を中心に展示しております。
また、今回はイベントも盛りだくさん!
まずは、7月12日(日)に開催いたしましたライブドローイング。
多くのお客様にご覧いただきながら、1時間ちょっとで描き上げた作品がこちら。
先生のいろいろなテクニックを間近でご覧になられていたお客様から、感心や感嘆の声があがり、完成時には会場中が
温かい拍手で包まれました。
次に、7月19日(土)映画「かぞくわり」福岡市美術館 ミュージアムホールでの上映会です。
弓手先生は、この映画でチーフプロデューサーと劇中画を担当されました。
映画の中にもふんだんに先生の作品が出てきます。
映画を見終わって感極まった来場者の方々が弓手先生と映画監督の塩崎祥平氏のサインを求めて長蛇の列となりました。
このあたりのお話は弓手先生のブログに詳しく書かれていますので、どうぞご覧ください。
↓
http://blog.livedoor.jp/k_yunde/archives/2020-07-20.html
見逃された方!まだチャンスがございます。
映画「かぞくわり」 上映会スケジュール
◆7月25日(土)・7月26日(日)
場所 みぞえ画廊 福岡店
13:00〜 受付
13:20〜15:30 映画上映
15:40〜弓手アトリエ最新映像初公開&トーク 塩崎祥平監督×弓手研平
映画の裏話や、塩崎監督が撮影・編集した弓手研平の制作過程の映像を初公開!
◆7月27日(月)
場所 くまもと森都心プラザ プラザホール
時間 受付 12:00〜
開演 12:50〜
終了 15:45
※みぞえ画廊にて前売り券販売中です。
弓手先生のアトリエでの創作風景を塩崎監督が撮られたドキュメンタリー「えかきの思考」も上映予定です。
その予告編がありますので、ぜひご覧くださいませ。
弓手研平展「土の声」は、7月26日(日)までみぞえ画廊福岡店にて開催中です。
ぜひお越しください。お待ちしております。
会期中のみぞえ画廊は通常通り10:00〜18:00まで営業いたします。新型コロナウィルス感染拡大防止のため、定期的に換気をして画廊内の通気性を良くしております。また、ご来廊のお客様には入店時に以下のお願いをしております。
1.マスク着用、手指消毒
2.ご芳名帳へ氏名・ご住所等の記帳
皆様に安心して展覧会をご覧いただけるように、ご理解とご協力の程、何卒よろしくお願い申し上げます。
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新型コロナウィルス感染抑制の兆しが少しづつ見えて来た今、私たちは福岡の文化を担うアートギャラリーとして、この疲弊した社会にフレッシュな空気を取り入れたいと思い立ちました。非常事態宣言が解けて最初の展覧会は、みぞえ画廊では初の個展となる新進気鋭のアーティスト・八頭司 昂(やとうじ たかし・29歳)の展覧会を開催することにしました。みぞえ画廊では過去の展覧会で最年少アーティストの個展となります。
八頭司昂さんの魅力と言えば、その鮮やかな色彩と自在に画面を這いまわる線によって表現される斬新な作風です。人物・風景・植物・動物と言った身近なモチーフを分解し、線と色面で再構成された画面には、ポップアートの様な軽やかな描写と、近代絵画の様な重厚な筆致、抽象と具象が混在します。
八頭司さんは現在、佐賀を拠点に活躍しています。
22歳の時に田川市美術館主催の"英展"において大賞を最年少で受賞し、早くからアーティストとしての頭角を現していました。
八頭司さんが絵を描く時はまず対象となるモチーフを観察・分解し、独自の視点で色彩と線を再構築するところから始まります。そして、それを実現するために画材の研究にも余念がないのです。
"ポートレート"と題したこの展覧会については、アトリエで撮影したインタビュー動画をご覧ください。
「これまで群像とか集合体を描くことが多く、そこに生まれるカオスや抽象性と具象性の間を行き来するところに興味を持って描いていました。今はもっと集中してひとつひとつを描きたい。作品を見比べて楽しんでもらえたら」と八頭司さん。
それでは、人物のポートレートににフォーカスしてみましょう。
この4枚は現役NBA選手のポートレートです。選手の紹介をすると…
左からThomas Bryant(トーマス・ブライアント)、Bradley Beal(ブラッドリー・ビール)、Davis Bertans(ダービス・ベルターンス)、Jordan McRae(ジョーダン・マクレイ)。
どの選手もワシントン・ウィザーズにゆかりのある(現役〜元在籍の選手など)4人だそうです。八頭司さん本人もバスケット少年だったそうで、好きな選手を独特な色面とレイアウトで描いているのが伝わります。これらの人物画からは実と虚、個と集を思わせる大胆な画面構成、細部はまるで細胞のひとつひとつが這う様に冷静かつ微細に描き込まれています。
ちなみに、このブラッドリー・ビール選手はファンからは"Big Panda"と呼ばれていて、大食漢でパンダのようにたくさんものを食べる様子をみて名づけられたそうですよ。ご本人も気に入っており、パンダのアクセサリーをつけているとか…。ワシントン・ウィザーズ所属のエースです。
この大胆に顔面が切り抜かれているラトビア出身のダービス・ベルターンス選手のニックネームはRatvian Laser。レーザー光線のように外から打つ3Pシュートがよく入るためそう名付けられたそうです。そして"シュートが吸い込まれるように入る"のをイメージしてこのような構図で描いたそうです。(へ〜!とうなずいてしまいました。)
土日の在廊日には、横5mに及ぶパネル達にライブペインティングをして公開制作に挑んでいます。ご本人のアトリエからいつも愛用している道具や椅子、画材を一式持ってきてもらいました。
塗りたての油絵具は独特の光沢感と匂いがあります。
描いているのは名もなき樹木たち。「木の絵を見て"ここに生えているこの木"という様に比較対象を彷彿とさせることがあまりないと思います。比較せずに表現だけに集中できること、そして抽象的な表現や色彩を入れても違和感がないから今は木を描いています。」とのこと。
対象の稜線を追うような独特の筆致が印象的です。一見個性的な油彩の作品でもその確かな描写力が生かされています。
毎回の制作状況を動画にまとめているので、こちらもぜひご覧ください↓
※この続きは、YouTubeのみぞえ画廊チャンネルからチェックができます!
また、2016年作の横8mにも及ぶ絵画「This is what I believe in」には、あえてアーティストが加筆し作品を"今の時代"に塗り替えていく工程もご覧いただけます。この作品は画廊の壁1枚には収まらなかったので、今回はL字で展示するに至りました。
リペイントの様子はこちら↓
加筆について、本人はこのようにコメントしています。
「この作品はいろんな場所で展示をし、加筆しています。その大きさゆえか、自分自身で描いたもののはずなのにコントロールが効かず、いつまでもどこか描かねばならない気持ちになります。作品はどこかで区切りをつけ、完結するものだという認識を改めさせられたのです。作品の完結は私が決めなければいけません。そして時間が経つごとに自身の絵に対する認識やそれに伴う描き方は変わります。そういった変化を受け止めてもらえる作品だと思い、今回リペイントするに至りました。」
子どもから大人まで、この絵を見て「これは〇〇ですか?」「人の顔?」「動物?」と沢山のご質問をいただきますが「その人が見えるように見てもらって大丈夫です。観る側のフィルターを通すことで作品は完成しますから。」と八頭司さんは言います。
とあるお客様を後ろからパシャリ。お召しになっているシャツにご注目ください!アパレルブランド"FUJITO"では、八頭司さんが描いたツツジの絵がプリントされたオリジナルシャツを展開しているそうです。ミリタリーシャツの男らしさの中に可憐な一輪の花が目を奪います。
→FSB Utility Shirt Takashi Yatoji ver. 詳しくはこちら
次はドローイング作品にフォーカスしてみましょう!
八頭司昂さんの描くドローイングは非常に繊細で独特な線によって構成されます。
お気付きですか?
これからを元に、色をつけてペイントをした作品がライブペインティングをしているパネル達なのです。
↓↓↓↓
…わかりましたか?
「同じモチーフで表現方法が違うのを見比べるとより面白いと思ってそうしました。」と制作途中のパネルを観ながら八頭司さんは語ります。
※ちなみに写真下側にあるスツールのカバーは八頭司さんのお母様のお手製パッチワークだそうです。そのパッチワークグループのご友人も多数ご来廊いただきました。
ありがたいことに会期中は、西日本新聞、毎日新聞、読売新聞、佐賀新聞の4紙で掲載されて、
地元のTNC局からはテレビ取材を受け、福岡のローカルニュースとして放映していただきました。
メディア関係者みなさま、取材をしていただいてありがとうございました。
まさに郷土が期待する新進気鋭のアーティストと言える、八頭司昂さんの個展「ポートレート」は6月14日(日)まで、みぞえ画廊 福岡店で開催中です!ライブペインティングも完成に向けて、13(土)、14(日)でアーティストが在廊し公開制作に挑みます。皆さまのご来廊をぜひお待ちしております。
JUGEMテーマ:展覧会
JUGEMテーマ:美術鑑賞
VOLTA2020出展レポート第2弾になります。
今回は『ホイットニー美術館』についてお話したいと思います。
ニューヨーク滞在2日目、みぞえ一行はハドソン川にほど近いホイットニー美術館を訪れました。
現在開催中の、"VIDA AMERICANA: Mexican Muralists remake American Art, 1920-1950"(アメリカにおけるメキシコ壁画運動と美術)という展覧会に、みぞえ画廊の作品を1点展示いただいております。
メキシコ壁画運動とは、20世紀前半に巻き起こったアートムーブメントの一つです。
当時、第一次世界大戦の勃発や大恐慌の到来など世界は激動の時代を迎えており、メキシコでも民主化に向けた革命がおこりました。市民(先住民)に目を向けたメキシコ独自のアートスタイルが産声を上げ、そこから多くの壁画が制作されるようになります。そしてこの運動は当時のアメリカにも大きなうねりとなって押し寄せました。
この展覧会では、当時の運動を主導したメキシコ壁画アーティスト達の作品をはじめ、その影響を受けたアメリカ人アーティスト達の作品が多く展示されており、アメリカ芸術の発展と歴史的背景のつながりを紐解くような見ごたえのある内容となっています。
広々とした館内をめぐること数十分...。
発見しました。ここにいました。
メキシコ壁画運動を支えた日本人アーティストがひとり。それが野田英夫(1908-1939)です。彼はこの運動の先導者であるディエゴ・リベラ(1886-1957)の助手として活躍しました。
こちらが貸出中の作品、野田英夫の『スコッツボロボーイズ』です。
(1933年作 グワッシュ 290x416mm)
これは1931年にアラバマ州で起きた、黒人少年9人が白人女性2人を暴行したとして逮捕された冤罪事件を題材としています。この事件は当時のアメリカの人種差別問題を反映した事件として世論を騒がせました。野田英夫はこの作品を通して、日系画家として迫害と排斥にさらされてきた自らの境遇に黒人少年たちを重ね、アメリカ社会を痛切に批判しました。
左手に描かれているこの人物が、この事件の主犯格の少年であるとされています。
険しい表情ですが、決して屈しないという何か強い意志のようなものを感じます。
今回は休館日にも関わらず、日本から来た私達のために特別に案内していただきました。
みぞえのコレクション作品が海を渡り、歴史を伝える展覧会の一員として展示されているのを目の当たりにし、心なしか誇らしい気持ちになりました。無事に戻ってきてくれることを願うばかりです。
このような有難い機会を与えてくださったホイットニー美術館の方々に感謝です。
]]>その呼びかけも新たな日常と化してまいりました、いかがお過ごしでしょうか。
イベント中止や延期の知らせが続き、不自由さを感じる毎日にため息が出ますね。
しかし、こんな時だからこそ、家族との時間をゆっくり過ごしたり、自分を見つめなおす豊かな時間にできたら、この逆境が大きな転換点になるかもしれません。
そこでみぞえ画廊福岡店では、ゴールデーンウィーク期間限定企画として「春の版画市」開催する運びとなりました。
インターネットやSNSを駆使して、ご自宅でも、作品の鑑賞と購入をお楽しみいただけるようにいたしました。
今こそ、アートのある生活をはじめましょう。
現代作家から西洋の巨匠まで、幅広い版画作品約70点を、特別価格にて展示販売しております。
耳慣れない作家でも、実は海外で高く評価されていたりと、驚くべき掘り出し物が多数!
「虹のアーティスト」として内外で評価をされ続ける、靉嘔のコーナーも人気です。
どの作品もスペシャルプライスです。
本展公開からすぐに、お電話で売約が決まり始めました。
家の中に長くいると、ふと絵を飾ってみたくなりますね。
#家で楽しもう
そんな毎日を彩れましたら、幸いです。
ぜひみぞえ画廊WEBサイトをご覧ください♪
〈出品作家〉
ジョアン・ミロ/サルバドール・ダリ / レオナール・フジタ / マルク・シャガール/ ジョルジュ・ルオー / マックス・エルンスト / モーリス・ド・ヴラマンク / ラウル・デュフィ/ トゥールーズ=ロートレック / フェルナン・レジェ / サム・フランシス / ピエール・アレシンスキー / ベン・シャーン / ジョエル・シャピロ / アントニ・クラーベ / アントニ・タピエス /ジャン・ピエール・カシニョール / ポール・アイズピリ / ベルナール・カトラン / ポール・ギアマン / ジャック・デペルト / ジャン・カルズー
猪熊 弦一郎 / 野見山 暁治 / 靉嘔 / 加納 光於 / 三尾 公三 /三岸 節子 / 小磯 良平 / 東郷青児 / 脇田 和 / 平野 遼 / 柳原 義達 / 絹谷 幸二 / 小杉 小二郎 / 船坂 芳助 / 野中 ユリ、 他 現代作家
会期中のみぞえ画廊は新型コロナウィルス感染拡大防止のため、定期的に換気をして画廊内の通気性を良くしております。また、ご来廊のお客様には入店時に以下のお願いをしております。
1.マスク着用、手指消毒
2.ご芳名帳へ氏名・ご住所等の記帳
皆様に安心して展覧会をご覧いただけるように、ご理解とご協力の程、何卒よろしくお願い申し上げます。
JUGEMテーマ:美術鑑賞
JUGEMテーマ:展覧会
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桜も満開になり、いよいよ春本番の季節となりました。
皆様、いかがお過ごしでしょうか。
みぞえ画廊福岡店では、4月12日(日)まで、「望月菊磨展〜過去と現在〜」を開催中です。
1945年福岡県生まれの氏は、現在も神奈川県大磯のアトリエで精力的に新たな作品に取り組まれています。
大きく分けて「換気装置シリーズ」「破壊シリーズ」「メタルドローイングシリーズ」があり、みぞえ画廊の過去のブログでも詳しくご紹介しております。
今回は「過去と現在(いま)」と題し、1971年東京芸術大学大学院修了制作作品の「META SHOCK」から、
最新作の喚起装置シリーズ「輝・環」を含む約50点を展示し、氏の半世紀にわたる創作活動の軌跡をご覧いただけます。
「META SHOCK」 1971年 真鍮・鉄
東京芸術大学大学院修了制作作品。当時の毎日新聞の美術記者によって名付けられた「破壊シリーズ」第一作
サロン・ド・プランタン賞受賞
東京国立近代美術館、カリフォルニア大学付属美術館などで巡回展示
氏が現代美術の世界に進んだ、記念碑的作品。
喚起装置「輝・環」 2020年 真鍮
氏の最新作。ざらつき、マットな土台部分から、光り輝くリングが出現しているような神秘性を感じる作品。
「幻のタモリカップ」 2015年 真鍮・金箔
「日本一楽しいヨットレース」をテーマにした、タモリさん企画のヨットレース「タモリカップ」(2009年〜2018年)
そのトロフィーも氏が手掛けていました。2015年大会が諸般の事情により中止になり、氏の手元に残された作品です。
そのほか、人気の「メタルドローイング」シリーズや、小さな立体作品の「思うままに」シリーズなどもございます。
また、今回の展示はご友人でもある詩人の橋本明氏の詩や俳句とコラボレーションし、より一層深く望月菊磨の世界観に
浸っていただけると思います。
このような時節柄ではございますが、ぜひ足をお運びいただき、ご高覧いただければと思います。
]]>JUGEMテーマ:展覧会
Good to see you, New York!!
福岡でのオープンから11年。東京でのオープンから7年...。
この度、みぞえ画廊がニューヨークに初上陸を果たしました!
【VOLTA】
3月5日(木)〜3月8日(日)の5日間、【VOLTA NEW YORK 2020】に出展いたしました。
2008年よりスタートしたこのVOLTAはコンテンポラリーアートを主軸としたアートフェアで、毎年世界各国から個性豊かなギャラリーが顔を並べます。今回は、53のギャラリーが会場に集結しました。https://ny.voltashow.com/about/
【会 場】
会場はハドソン川にほど近い「Metropolitan West」。
ハドソン川沿いは美術館や観光施設が点在するほか公園が多く整備されており、市民の憩いの場としても親しまれています。写真2枚目は「イントレピッド海上航空宇宙博物館」。少々見えにくいですが、実際に使用されていた航空母艦をそのまま博物館にしています。さすがニューヨーク...!なんというスケール...。
みぞえ画廊のブースは#2.13。会場2階の中央あたりのスペースでした。
ブース間の距離が近く、ギャラリー同士でも盛んにコミュニケーションがとられていた印象です。
会場に来ていたアーティストの方たちも自由にブースを行き来していました。
みぞえの正面ブースはトルコ・イスタンブールからのギャラリーで、気の良い中年男性とスタイリッシュな若い女性の二人組。おふたりともギャラリストでしたが、会期中ダンスミュージックを流し始めたりと、なんとも気さくで自由な方々でした。成程こういうフレキシブルさがあってもよいのかと、筆者は人知れずグローバルな刺激を受けておりました。
【作 家 紹 介】
みぞえ画廊からは日本人ならではの美意識が息づく2名のアーティストの作品を展示しました。
◆奥山民枝
一人目は、あらゆるエネルギーを内包する壮大なコンセプトを持つ女性アーティスト、奥山民枝。
今回展示したのは太陽と雲をモチーフとした作品。どこまでも引き込まれるようなその画面に、自然の神秘と“いのち”を見つめ続ける氏ならではの感性と技術が見事に結晶しています。慈しみと愛情にあふれながら、どこかミステリアスな雰囲気をまとう作品から目が離せません。
奥山民枝の太陽の作品は、ある見方をすると不思議な現象を体験できます。
それは太陽の中心部分を集中して見続けると、輪郭がぼやけていき画面が一色になっていくというもの。
体験されたお客様は、
「き、消えた!」
「これはどういうことなの??」
などと、ナイスなリアクションをたくさんしてくださいました。
ご友人を連れて戻ってこられる方や、中には “Transforming Art”(変容する芸術)と素敵な表現をしてくださった方も。
◆弓手研平
2人目は、アジアに根付く文化を掘り下げ独自の技法で描く、弓手研平。
氏は人の営みをとらえるべく、我々が当たり前に踏みしめている「土」という存在にフォーカスを当て作品を描きます。1年掛けて50層以上も絵の具が塗り重ねられたその作品には、力強さと親しみやすさが共存する二つとない世界観が息づいています。
作品を前にして、のぞき込むようにじっと目を凝らされる方が続出しました。
何層にも塗り重ねられた油絵具のマチエールを見て、「これは本当に油絵具だけなのか?」と驚かれる方もたくさん。
重厚感のある額との関連性を問われるお客様もいらっしゃいました。
氏の代表的なモチーフになりつつある林檎の木の作品に対し、平和や安らぎを感じるといったコメントが多いことも印象的でした。
コロナウイルスの懸念もあり、アジア人に対する偏見など国内外でネガティブなニュースが多く飛び交っていましたが、現地ニューヨークでは全くそんなことはありませんでした。VOLTA運営スタッフをはじめ、出展ギャラリーやお客様にも温かく迎えられ、VOLTA NEW YORK 2020は幕開けとなりました。当初の半分の人数(3名)で乗り込んだニューヨーク!もはや運命共同体でした。次回は会場の様子や、オープニングパーティ、同時開催されていたアートフェアについてご紹介したいと思います。
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